しぼうかん
脂肪肝
肝臓に脂肪が多く蓄積されている状態。放置すると肝炎・肝硬変・肝細胞がんなどの原因となる
7人の医師がチェック 156回の改訂 最終更新: 2026.02.24

脂肪肝の治療について:禁酒・食事療法・運動療法

脂肪肝の主な原因はアルコールと肥満です。アルコールが原因の場合は節酒や禁酒が治療として行われ、肥満が原因の場合は食事療法や運動療法を行います。

1. 節酒・禁酒

飲酒は脂肪肝の原因になります。アルコールによって脂肪肝になっている場合は、飲酒量を減らす(節酒)または飲酒をやめる(禁酒)ことが治療になります。脂肪肝は肝炎や肝硬変といった重い病気に進行することがあります。節酒や禁酒によって脂肪肝が肝炎や肝硬変に進行しないようにすることができます。

とはいえ、節酒や禁酒は簡単なものではなく、一人だけの力で達成するのが難しいです。どうしても難しい人は、家族など周囲の人の力を借りてみると良いかもしれません。周囲のアドバイスや注意によって、ついつい飲んでしまうという状況から回避できるようになる場合もあります。それでも飲酒をやめられないときには、精神科や心療内科を受診してサポートを受けることもできます。

アルコールの摂取量が多くなりすぎると、脂肪肝だけではなく、喉のがん咽頭がん喉頭がん)や食道がんなどの重い病気になりやすくなることが分かっています。アルコールは生活に楽しみを与えてくれる存在ですが、過量は心身を蝕みます。適量(1日に日本酒1合あるいはビール中瓶1本程度)を心がけて、週に2日は休肝日を設定するようにして下さい。

2. 食事療法

摂取する栄養が多すぎたり少なすぎたりすることで脂肪肝は起こります。このため、適切に栄養を摂取すること(食事療法)が大切です。

適正な摂取カロリーは年齢や体格、生活スタイルなどによって違ってくるので、「自分にとって適正なカロリーがどの程度」なのかを把握することが大切です。、脂肪肝と指摘された人はまず「過去と現在の体重の変化」と「過去と現在の食生活の変化」を振り返ってみて下さい。若かった頃よりも体重が増えている場合には、昔の食事と同じものを摂ってみると良いかもしれません。また、脂肪肝と診断されて正しく食事療法を受けるように提案された場合には、管理栄養士と相談して現状の把握と目標の設定を行って下さい。

目標となるカロリーが決まった後には、頭の中でできるだけ具体的な方法に変換するようすると効果的です。つまり「1日摂取カロリーを200kcal減らす」という目標設定を「ご飯の量を半分にする」「間食をしない」といったように具体化すると、食事療法を上手に行うことができるようになります。

簡単には食事療法を行えない場合には、周りの人に協力をしてもらうのはよい考えです。1人だとついつい甘えてしまう部分も、客観的な目が入ることで甘えにくくなります。

食事療法を行うとストレスを感じることがあります。ストレスが強ければ、小さな目標を設定すると良いかもしれません。目標をクリアする達成感は人をやる気にさせてくれます。メリハリのついた食事療法であれば継続しやすくなります。

3. 運動療法

運動療法は食事療法とならんで脂肪肝の治療として重要です。適度な運動によって脂肪肝を改善する効果が期待できます。特に肥満をともなった脂肪肝の人は積極的に取り組むことが勧められます。

運動療法はどのように行うと良いのでしょうか。個人の状況によって行うべき運動が異なってくるので、どの程度が良いのかを一概に述べることはできません。実際のところ運動療法に明確な定義はなく、どの程度の運動をどのくらい行うとよいかなどについては明らかになっていません。

参考までに以下のような種類と量、スケジュールで運動を行うと脂肪肝の改善に効果があったという過去の報告があります。

  • 運動の種類:有酸素運動
  • 1回あたりの時間:30-60分
  • 1週間あたりの回数:3-4回
  • 期間:4−12週間

上の内容についてもう少し詳しく解説します。

有酸素運動は軽度から中等度の負荷がかかる運動のことで、運動中は筋肉を動かすエネルギーとして酸素とともに糖分や脂肪が使われます。

有酸素運動の具体的な例としてはウォーキング・ランニング・水泳などがあります。一定時間以上有酸素運動を行うと、脂肪をエネルギーとして利用するので血液中のLDL-コレステロール中性脂肪、体脂肪の減少が期待できます。

とはいえ、上で紹介した内容を厳しく感じる人もいるかもしれません。最初から高い目標を立ててしまうと、思いどおりに進まなかったときにやる気を失ってしまい、運動療法を継続できなくなることも考えられます。運動療法は自分に合った量・時間・回数から始めることが大切です。継続できるような運動の内容・量・回数から始めて、その後少しずつ調整していくと良いです。

例えば、運動習慣がない人であれば最初は「週1回・歩行20分」くらいから始めてみるのもよいと考えられます。そして慣れてくれば「週2回・歩行20分」もしくは「週1回・歩行30分」など変えてみて自分にあった方法を探してみてください。

それでもどうにも運動が続かないという人もいると思います。どうしても続かないときには自分だけではなく周りの人に協力をしてもらうのも工夫の1つです。面倒に感じていた運動も家族や友人とともに取り組むと継続することができるかもしれません。

継続しやすいような自分なりの運動を探してみて下さい。

参考文献
・日本消化器病学会, NAFLD/NASH診療ガイドライン, 南江堂, 2014
van der Heijden GJ, et al, A 12-week aerobic exercise program reduces hepatic fat accumulation and insulin resistance in obese, Hispanic adolescents. Obesity. 2010;18:384-390
Johnson NA, et al. Aerobic exercise training reduces hepatic and visceral lipids in obese individuals without weight loss. Hepatology. 2009;50:1105-12