誤嚥性肺炎患者によくある症状
一般的な肺炎では、熱が出る、咳や痰が出る、息苦しいなどの症状が出やすいです。しかし、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)にかかりやすい患者さんでは、誤嚥性肺炎になっても肺炎と分かりにくい症状が多く注意が必要です。
1. 誤嚥性肺炎はどんな人がなりやすい?
誤嚥性肺炎は基本的に高齢者に起こる病気です。2011年以降、肺炎は日本人の死亡原因数として第3位を占め続けています(1位は
肺炎による死亡の96%以上は65歳以上の高齢者であり、高齢者肺炎の多くに誤嚥の関与があるので、誤嚥性肺炎は日本の高齢者死亡原因として大きな割合を占めていると言ってよいでしょう。
高齢者で起きやすい誤嚥性肺炎ですが、特に以下のような背景のある方は誤嚥性肺炎を起こしやすくなっています。
- 脳の病気(脳卒中後遺症、認知症、パーキンソン症候群など)
- 寝たきり状態
- 口の中の異常(入歯が合わないなどの噛み合わせ障害、口の中の
癌 など) - 胃や食道の問題(胃切除後、胃癌や食道癌、逆流性食道炎、食道憩室など)
- 薬剤の副作用(睡眠薬や鎮静薬、口が乾燥する薬など)
- 鼻や口からチューブで栄養を摂っている状態

参考文献
・厚生労働省. 人口動態統計2016(平成28年)
・J Am Geriatr Soc 2008 ; 56 : 577-579.
2. 誤嚥性肺炎になると起こる症状
一般的な肺炎では、熱が出る、咳や痰が出る、息苦しいなどの症状がかなり高い確率で見られます。しかし、誤嚥性肺炎にかかりやすい患者さんは、もともと脳卒中後や認知症などの脳の病気があったり、何らかの理由で寝たきりであったりして、症状をうまく自分で表現できない、あるいは分かりにくいこともしばしばあります。症状が分かりにくいというのは、ご自身でも肺炎に関連した症状に気づきにくかったり、家族や医療関係者から見ても分かりにくいということであり、注意が必要です。以下では、誤嚥性肺炎で見られることのある症状と、それらの注意点について解説します。
発熱
一般的に肺炎になった場合には38℃以上くらいの熱がでることが多いです。菌と戦うため体が体温を高くしていると考えられています。
誤嚥性肺炎でも熱が出ることが多いのですが、誤嚥性肺炎になる患者さんはもともと弱っていて肺炎になっても体がうまく発熱できないケースもあります。そのため、平熱や微熱なのに重症の誤嚥性肺炎だった、という場合もあります。
誤嚥性肺炎でも発熱することは多いですし、発熱は誤嚥性肺炎を見つけるための重要なサインですが、発熱していないから安心とは言えないのが誤嚥性肺炎の難しいところです。
咳、痰
肺炎の種類にもよりますが、咳や痰は肺炎になったときに見られやすい症状です。誤嚥性肺炎を診断するうえでもこれらの症状は重要なヒントになりますが、誤嚥性肺炎になる患者さんはもともと弱っていて咳が弱々しかったり出ないこともありますし、痰もうまく出せないことが多いです。咳や痰がまったく見られない誤嚥性肺炎もあるため、注意が必要です。誤嚥性肺炎で咳や痰が見られる場合には、痰がらみの湿った咳、黄色など色のついた痰が見られることが多いでしょう。
呼吸困難(息苦しさ)
肺の広い範囲で肺炎が起きた場合には、肺でうまく酸素を取り込めなくなるなどの理由で息苦しさが出てきます。呼吸は生きていくために欠かせないので、息苦しさは原因にかかわらず特に警戒するべき症状です。
広範囲におよぶ誤嚥性肺炎でもやはり息苦しさが出てくるはずですが、誤嚥性肺炎になる患者さんは寝たきりであったり、うまく意思表示できなかったりして、息苦しさを表現できないこともあるため注意が必要です。ご自身で息苦しいことを言い表せなくても、息づかいが荒い、呼吸回数が多い、などの様子から息苦しそうであることが分かる場合もあります。
倦怠感(だるさ)
肺炎になるとほとんどの方が元気のない状態になります。誤嚥性肺炎になる患者さんでは、だるい、元気がでない、などの症状を自分で言い表すことができず、なんとなく元気がなさそう、ということしか分からない場合もあります。発熱していればどこかに