ろっかんしんけいつう
肋間神経痛
肋骨と肋骨の間に通っている神経に生じる痛み
8人の医師がチェック 88回の改訂 最終更新: 2020.02.17

肋間神経痛の症状:痛み方や場所(胸・背中・脇腹・脇の下など)

肋間神経痛は突然、胸や脇腹が痛くなります。症状は激しい痛みであったりピリピリとした痛みであったりと様々です。肋間神経痛の症状は他の病気でも現れることがあり他の病気と見分けることも重要です。

1. 肋間神経痛はどんな痛み?:しびれ・突発痛

肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)の感じ方には個人差があります。痛みは以下のように表現されることがあります。

  • 刺すような痛み 
  • ぴりぴりとした痛み 
  • しびれたような感じ

肋間神経痛は肋間神経に傷がついたり圧迫されることが原因です。神経のダメージの程度によって症状の出方が変わります。

肋間神経痛は突然現れることもあります。

2. 肋間神経痛で痛くなる場所は?:胸・肋骨・背中・脇腹・脇の下など

肋間神経痛は胸や脇腹が痛むことが多いです。他の場所にも痛みが出ることがあります。肋間神経は背骨から出て肋骨(ろっこつ)に沿うような位置を走行しています。肋間神経痛は肋間神経が傷害された場所によって症状がでる場所が変わります。胸や脇腹以外では背中・脇の下が痛むことがあります。肋間神経は肋骨に近い場所にあるので肋骨が痛んでいるかのように感じるときもあります。

3. 肋間神経痛と似た症状が現れる主な病気:狭心症、心筋梗塞、気胸、胃十二指腸潰瘍など

肋間神経痛はほかの病気と症状が似ていることがあり、他の病気を見逃さないことが大事です。ここでは肋間神経痛と似た症状が現れる主な病気を紹介します。

  • 感染症
  • 心臓の病気
  • 肺の病気
  • 食道や胃十二指腸の病気
  • 骨の病気
    • 軟骨炎(ろくなんこつえん)
  • 原因のはっきりしないもの
    • プレコーディアル・キャッチ症候群

肋間神経痛と症状が似ている病気の中には緊急で対応が必要なものも含まれています。症状が似ているため検査をしないと見分けることが難しいことがあります。今までに経験のない胸痛などが現れたときには速やかに医療機関を受診することが大事です。

帯状疱疹(たいじょうほうしん)

帯状疱疹は神経節に潜んでいた水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化して痛みや水疱(すいほう)などができる病気です。水痘帯状疱疹ウイルスは水ぼうそうを起こすウイルスでもあります。帯状疱疹は抗ウイルス薬で治療することができます。帯状疱疹を肋間神経痛と見分けることが治療において大切です。帯状疱疹では特徴的な皮疹がでるので診察で区別することが可能です。

少しややこしい話ですが帯状疱疹が治った後の後遺症として肋間神経痛が起こることがあります。帯状疱疹後の肋間神経痛を帯状疱疹後神経疼痛(PHN: Postherpetic Neuralgia)とも呼びます帯状疱疹後の肋間神経痛の痛みは数カ月から数年に及ぶことがあります。

帯状疱疹の詳細な情報については「イオントフォレーシスなど、帯状疱疹後神経痛の治療を解説」も参考にしてください。

狭心症(きょうしんしょう)

心臓に酸素や栄養を送る血管を冠動脈といいます。狭心症は冠動脈が何らかの原因で狭くなったりして心臓に十分な酸素が供給できなくなる病気です。

狭心症の主な症状の一つに胸が締め付けられるような痛みがあります。痛みは数十分でおさまることもあります。肋間神経痛でも突然胸に鋭い痛みがはしることがあり狭心症と症状が似ていることがあります。

肋間神経痛と狭心症は身体診察や心電図、血液検査などの検査を組み合わせて見分けます。

心筋梗塞(しんきんこうそく)

心臓に酸素や栄養を送る血管を冠動脈といいます。心筋梗塞は冠動脈に閉塞が起きて心臓の細胞(心筋細胞)が障害を受ける病気です狭心症と似ている点がありますが冠動脈が閉塞して途絶えている点が異なります。

心筋梗塞の症状は胸痛です。肋間神経痛の胸痛と似ていることがあります。心筋梗塞の胸痛は時間が経過しても収まることはありません。心筋梗塞は重症になると死に至ることもある病気です。一刻も早く医療機関を受診して治療を受けることが大切です。

肺塞栓(はいそくせん)

肺塞栓症は血の塊が心臓から肺に向かう動脈に詰まる病気です。エコノミークラス症候群と言う呼び名で耳にしたことがあるかもしれません。

塞栓は重症の場合には命に関わることもあります。長時間同じ姿勢で過ごした後に身体の体勢を変えた後に発症することがあります。

肺塞栓症の症状の一つに胸痛があります。肋間神経痛でも胸痛が現れることがあるので区別しなければならないときがあります。肺塞栓には他にも息切れや動悸、めまいなどの症状が現れます。診断のために検査が必要なことがあります。胸が痛くて息切れなどがあるときには肺塞栓も疑わなければならない病気の一つです。

気胸

気胸は肺に穴が開いて肺を覆う胸腔(きょうくう)というスペースに空気がもれ出る病気です。気胸は肋間神経痛と同じく発症すると突発的な胸痛などが現れます。気胸では他に息苦しさや呼吸困難、咳などの症状も現れます。

肺に穴が開く気胸が起きると肺の周りの胸腔に空気が漏れ出て肺が縮んでしまいます。胸腔にたまる空気の量が多いと心臓や肺が圧迫されて重症になります。緊張性気胸と言います。

胃食道逆流症(逆流性食道炎)

胃食道逆流症胃液が本来の流れとは逆に食道に流れる病気です。胃食道逆流症の原因は下部食道括約筋の機能が落ちることです。下部食道括約筋は食道と胃のつなぎ目を締める筋肉で胃液の逆流を防止しています。

胃食道逆流症ではみぞおちや胸に痛みがでることがあります。みぞおちや胸の痛みは肋間神経痛と共通する症状です。胃食道逆流症は緊急で治療が必要な病気ではありませんが、炎症が強くなると出血をしたり食道にひどい潰瘍をつくることがあります。胃食道逆流症内視鏡胃カメラ)などを用いて診断します。

胃・十二指腸潰瘍

胃・十二指腸潰瘍は胃や十二指腸の粘膜の防御機能が低下して、粘膜が消化液により障害を受けてクレーターのようなくぼみができる病気です。胃・十二指腸潰瘍の症状はみぞおちの辺りの痛みなどが典型的ですがまれに胸が痛くなることもあります。胃・十二指腸潰瘍は内視鏡検査で診断を行い、胃薬などで治療することができます。

肋軟骨炎(Tietze症候群)

肋軟骨炎(ろくなんこつえん)は肋骨を構成する軟骨の部分に炎症が起こる病気です。肋軟骨炎は40歳を超える女性に多いとされます。

肋骨は骨の部分と軟骨の部分で構成されており、肋軟骨は体の前側の中心に近い部分にあたります。肋軟骨炎は1つまたは複数の肋軟骨が痛みを伴って腫れます。肋軟骨炎は自然に治癒することが多いです。

参照:ハリソン内科学 第2版

プレコーディアル・キャッチ症候群

プレコーディアル・キャッチ症候群は原因のはっきりとしない胸痛が突然起こる病気です。プレコーディアル・キャッチ症候群はあらゆる年齢に起きうる病気ですが若い人に多く、特に6-12歳が発症しやすいとされています。

プレコーディアル・キャッチ症候群の胸痛は30秒から数分ほど続きますが自然と治まることが多いです。胸痛は安静時に多く現れ睡眠中には起こらないことも特徴の一つです。

プレコーディアル・キャッチ症候群の診断には心電図・レントゲン検査などで他に原因となる病気がないことを確認します。検査の結果明らかな原因がなく症状が合致しているのであればプレコーディアル・キャッチ症候群が考えられます。

プレコーディアル・キャッチ症候群は悪化したり後遺症が残る病気ではなく、治療も必要としないことが多いです。