しんぞうしゅよう
心臓腫瘍
心臓に発生する腫瘍の総称
8人の医師がチェック 106回の改訂 最終更新: 2018.12.03

心臓腫瘍の基礎知識

POINT 心臓腫瘍とは

心臓腫瘍は心臓に発生する腫瘍の総称で、これには良性の腫瘍と悪性の腫瘍が含まれます。良性腫瘍の代表例としては、粘液腫や横紋筋腫、線維腫などがあり、悪性腫瘍の代表例としては、肉腫や悪性リンパ腫などがあります。腫瘍の種類や大きさによって症状は変わりますが、主なものとして発熱や体重減少、呼吸困難、胸の違和感があり、影響が大きくなると心タンポナーデや心膜炎、不整脈といった病気をともなうことがあります。画像検査(心臓超音波検査やCT検査、MRI検査)や病理検査(腫瘍の一部を取り出して顕微鏡で調べる検査)によって診断が行われます。治療の基本は手術ですが、良性腫瘍で症状が軽い場合には経過観察をすることもあります。手術以外では抗がん剤治療や放射線療法を使って治療をし、心臓血管外科で治療が行われます。

心臓腫瘍について

  • 心臓に発生する腫瘍の総称
  • 心臓自身から発生する場合(原発性心臓腫瘍)と、他のがんが心臓に転移する場合(転移性心臓腫瘍)がある
  • 良性原発性心臓腫瘍の例
    • 粘液腫
    • 乳頭状線維弾性腫
    • 横紋筋
    • 線維腫
    • 血管腫
    • 奇形腫
    • 脂肪腫
    • 傍神経節腫
    • 心膜嚢胞 など
  • 悪性原発性心臓腫瘍の例
  • 転移性心臓腫瘍:ほかの臓器にできたがんの転移
  • 原発性心臓腫瘍は2000人に1人未満の頻度でできる
    • 粘液腫が最もよくみられ、原発性心臓腫瘍全体の50%を占める
  • 転移性心臓腫瘍は100人あたり1人~数人の頻度でみられる
  • 女性が男性より2~3倍多い

心臓腫瘍の症状

  • 頻度の多い、左房粘液腫では腫瘍の一部が脳の血管へ飛ぶことによる脳梗塞症状がきっかけで見つかることがある
    • 右房にできれば肺塞栓を起こすことがある
  • 良性原発性心臓腫瘍の場合に起こる症状
    • 発熱
    • 寒気
    • 眠気
    • 関節痛
    • 体重減少
    • 呼吸困難
    • 胸の違和感
  • 悪性心臓腫瘍の場合に起こる症状:上記に加えて以下の症状が起こる
  • 心不全などを合併することがある

心臓腫瘍の検査・診断

  • 画像検査
    • 心臓超音波検査
    • 胸部CT検査胸部MRI検査
  • 生検腫瘍良性か悪性か調べる
    • 腫瘍の一部を採取して、顕微鏡で調べる

心臓腫瘍の治療法

  • 可能な場合は手術による切除が原則
    • ただし、良性腫瘍で症状がない場合には経過観察を行う場合もある
    • 手術を行っても、再発することが多い
  • 化学療法抗癌剤
  • 放射線療法
  • 良性腫瘍で完全切除できれば、通常の社会生活が可能な場合が多い
    • 良性であれば3年生存率95%
  • 悪性腫瘍の場合は、あまり経過が良くないことが多い
  • 定期的な心臓超音波検査による経過観察が必要

心臓腫瘍のタグ

心臓腫瘍に関わるからだの部位