更年期障害の症状について:ほてり・発汗・不眠など
更年期障害の症状は多様です。顔のほてり、発汗、不眠、気分の変化、頭痛など人によって症状は大きく違います。程度もさまざまで、日常生活に支障が及んでいることは珍しくはありません。このページでは更年期障害であらわれやすい症状を詳しく説明します。
目次
1. 更年期障害の症状について

更年期とは閉経前後5年の合わせて10年間のことを指します。ただ、何年後に閉経になるかは簡単に予測できるものではありません。月経が来なくなっても閉経かどうかはっきりしない時期が続くことがあります。月経が12か月以上止まった時、振り返って閉経したことがわかるのです。このような理由から、更年期に入ったかどうかはわかりにくいのですが、月経周期の変化や、次に説明する更年期の症状などから見当がつくことが多いです。
更年期には、
【更年期障害の症状】
- ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)、発汗
- 不眠・イライラ・うつ
- 物忘れ
- めまい
動悸 ・胸が締め付けられる感じ(胸部絞扼感)- 頭痛・頭が重い・肩こり
- 背中や腰の痛み
- 関節痛
- 膣の乾燥感、性交痛
その他にも、吐き気、冷えなどさまざまな症状が出ることがあります。
以下では、リストにある症状を一つひとつ取り上げて説明していきます。
2. ほてり、のぼせ(ホットフラッシュ)・発汗
更年期の代表的な症状にホットフラッシュと呼ばれるものがあります。暑くもなく、運動したわけでもないのに、突然顔がかっとほてったり、のぼせたりします。また、大量の汗が噴き出すこともあります。これらは血管運動性神経症状とも呼ばれます。
血管運動性神経症状に対しては、
3. 不眠・イライラ・うつ
不眠も更年期障害の症状のひとつです。眠ろうとしてもなかなか眠れなかったり、または眠っている途中で目が覚めてしまったりします。
また、ちょっとしたことでイライラするようになったり、不安を感じやすくなったりすることもあります。うつ症状があらわれることもあります。
このような気分の変化を特徴とする病気は精神科や心療内科で専門的に診察しています。しかし、更年期に差し掛かる40-50代の女性であれば、産婦人科などで調べてもらうことも可能ですし、理にもかなっています。
4. 物忘れ
物忘れも更年期障害としてあらわれることがあります。ただし、物忘れに代表されるような認知機能の低下は正常な加齢現象でもあるため、閉経と関係しているか区別しにくい面があります。また、仮に閉経に関連していたとしても、認知機能に対するホルモン補充療法の効果は確認されていません。
したがって、物忘れの症状を感じたら、特に注意するべき点は、治療で改善できる病気を見逃さないことです。たとえば甲状腺機能低下症や慢性硬膜下血腫が物忘れの原因であれば、これらの病気の治療で物忘れが改善することがあります。
更年期障害でかかっている産婦人科があれば、担当の医師に相談するのもいいですし、神経内科や脳神経外科などに紹介してもらう方法もあります。認知症の詳細情報をあわせてご覧ください。
5. めまい
更年期障害では、ふらふら、くらくらするようなめまいを感じることがあります。
同じ「めまい」という言葉であらわされる症状でも、目の前がグルグル回転するようなめまい(回転性めまい)は、メニエール病や良性発作性頭位めまい症など耳の病気で起こりやすい症状です。
また、神経の病気や心臓の病気もめまいの原因になります。なかには深刻な病気もありますので、本当に更年期による症状なのかは注意して見極めなくてはなりません。産婦人科の診察を受ける時でも、めまいがあればしっかりと伝えてください。
6. 動悸・胸が締め付けられる感じ(胸部絞扼感)
更年期障害の症状として胸がドキドキする感じ(動悸)や締め付けられる感じがあらわれることがあります。
区別するべき病気は心臓の病気です。たとえば不整脈は動悸の原因になりますし、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)では、胸が締め付けられるような痛み(狭心痛)を感じます。そのため、こうした症状があって診察を受けると、
7. 頭痛・頭が重い・肩こり
頭痛、頭が重い感じ、肩や首のこりがあらわれる場合もあります。
肩こりが関係する頭痛として緊張型頭痛と呼ばれるものがあります。緊張型頭痛は更年期に関わらず多くの男女に起こる頭痛です。個人差はあるものの、頭全体が締め付けられるような感じや、頭が重い感じが特徴です。
更年期の女性に緊張型頭痛のような症状があらわれた場合、閉経が関係しているかどうか区別しにくいことがあります。治療としては、痛み止めの
8. 背中や腰の痛み
背中や腰の痛みは、加齢にともなう変化としても多くの人に現れます。画像検査などで明らかに観察できる変化がなく、原因を見分けられないこともよくあります。
骨や神経の病気によらない腰痛症に対する一般的な治療は、運動、温熱療法、痛み止めの薬などです。ぎっくり腰の詳細情報をあわせてご覧ください。
9. 関節痛
関節痛は更年期の女性によくある症状です。更年期症状としての関節痛のほか、加齢による変形性関節症の症状としてあらわれることがあります。
変形性関節症とは、膝関節や股関節などの
また、関節の痛みがあると「関節リウマチかな?」と思うかもしれません。更年期の女性がかかることもありますが、人数としては変形性関節症のほうが多いです。
10. 膣の乾燥感・性交痛
閉経にともなう変化として膣の分泌物の減少があります。これにより膣が乾燥して不快感が生じたり、性交時の痛みがあらわれたりします。
また、膣粘膜が弱くなるため炎症が起きやすく、萎縮性膣炎になることがあります。萎縮性膣炎の治療には、膣に入れる薬を使う方法やホルモン補充療法があります。性交時の痛みには潤滑剤を使うなどの対処も可能です。