はんかいしんけいまひ
反回神経麻痺
声帯(声を出すための器官)を動かす反回神経という神経が麻痺すること
11人の医師がチェック 109回の改訂 最終更新: 2020.06.14

反回神経麻痺の基礎知識

POINT 反回神経麻痺とは

声帯(声を出すための器官)に司令を伝えたりする反回神経が麻痺した状態です。原因がわからない場合もありますが、主な原因として甲状腺がん、食道がん、肺がん、大動脈瘤や、甲状腺や大動脈の手術、気管挿管などがあります。主な症状は声のかすれ、むせこみ、呼吸時にヒューヒューする音などです。診断には鼻からのどに細いカメラ(ファイバースコープ)を入れて、声帯の動きを診ます。また、原因を調べるために、胸部CT検査、頸部超音波検査、上部消化管内視鏡検査、頭部CT、MRI検査などを行います。原因が明らかな反回神経では原因を治療するとよくなる場合があります。反回神経麻痺に当てはまる症状がある人は耳鼻咽喉科を受診してください。

反回神経麻痺について

  • 声帯(声を出すための器官)を動かす反回神経という神経が麻痺すること
  • 主な原因
  • その他にも首の手術(甲状腺、副甲状腺、内頚動脈狭窄症)などの合併症として起こることもある
  • 反回神経麻痺を疑った場合は、肺がん食道がんといった悪性腫瘍の存在を考える必要がある

反回神経麻痺の症状

  • 発声の異常
    • 声が出にくくなる、声がでなくなる
    • 声がかすれる(嗄声)
  • むせ、誤嚥(飲み込んだものが気管に入りやすくなる)
  • 喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという特徴的な呼吸音になる)
  • 息切れ
  • まれではあるが、両側の反回神経が同時に麻痺した場合には窒息に至ることがある

反回神経麻痺の検査・診断

  • 反回神経麻痺があるかどうかを確認する検査
    • 声を録音し、どれくらい声を出し続けられるか調べる
    • 喉頭ファイバー:ファイバースコープを使い、声帯の動きを調べる
  • 反回神経麻痺と診断されれば、その原因を調べることが重要
    • 画像検査
      • 頚部超音波検査
      • 胸部レントゲン胸部CT検査   など
    • 血液検査
      • 水痘帯状疱疹ウイルスによる麻痺の可能性もあるので、疑わしい場合は抗体を調べる
    • 頭部CTMRI検査:脳腫瘍脳梗塞(特にワレンベルグ症候群など延髄の梗塞など)で起こることもある
    • 原因がはっきりしなければ特発性ということになる
  • 嚥下障害合併することがあるので、嚥下機能の検査も行う

反回神経麻痺の治療法

  • 原因に対する治療と対症療法がある
    • 原因が分かれば原因に対する治療を行う
  • 対症療法
    • 手術:必ずしもすぐに行うわけではなく、自然に治るのを待つ場合もある
      • 声帯にコラーゲンを注入する
      • 頚部を切って、声帯にシリコン板を入れる
      • 披裂軟骨内転術(声帯の隙間を狭くする手術)
    • 場合によっては必要な治療
      • ステロイド薬を使用することがある
      • 発声練習
  • 両側反回神経麻痺では窒息の危険があるので、気管を切ってチューブを入れるなどの処置が必要となる

反回神経麻痺のタグ

反回神経麻痺に関わるからだの部位