B型肝炎でよくある症状について:発熱、倦怠感、吐き気、腹痛、口臭など
B型肝炎では
このページではB型肝炎の初期の症状から進行した際の症状まで説明しますので、検査を受けるタイミングや病気の進行度を知る参考にしてください。
1. B型肝炎の人に出やすい初期症状
B型肝炎の初期に出る症状は風邪などの誰もがかかる病気の症状に似ているため、なかなか病気の存在に気づけないことも少なくありません。B型肝炎の初期症状の中でも代表的なものは以下になります。
- 発熱
倦怠感 (だるさ)- 食思不振(食欲低下)
- 悪心・嘔吐
これらは全身に
発熱
B型肝炎ウイルスが体内に入ると、
炎症は
倦怠感(だるさ)
全身で炎症が起こると身体がだるくなることがあります。インフルエンザのときに身体にだるさを覚えるのと同じ要領です。炎症の程度が強くなればなる程だるさは強くなるので、あまりにだるく感じる人は要注意です。特に日常生活を送れない程だるい場合には医療機関を受診して原因を調べてもらうようにしてください。
食思不振(食欲低下)
B型肝炎による炎症が強い場合や肝不全(肝臓の機能が落ちた状態)になった場合には食欲が低下することがあります。肝不全になると食事をとっても消化することができなくなっているので、程度によっては入院して点滴治療で栄養を補う必要が出てきます。
悪心・嘔吐
食欲低下と同じく炎症が強い場合や肝不全が起こっている場合には、気持ち悪くなったりそれに伴って吐いてしまったりします。悪心や嘔吐が強い場合には食事をとることができないため、入院治療の必要性が出てきます。
2. B型肝炎が進行したときや慢性化したときに出やすい症状
B型肝炎が進行した場合には、全身の症状のみならず肝不全による症状が出てきます。また、この症状は慢性化しつつ小康状態を保っていた肝炎が悪化した際にも出てきます。
特に起こることが多い症状は「右の脇腹の痛み」と「皮膚の黄色変化」です。
右季肋部痛(右脇腹の痛み)
肝臓は右側の一番下の肋骨の裏側あたりにあります。
そのため肝臓で炎症が起こるとそのあたりが痛むこと(右季肋部痛)があります。これは肝臓に限らず胆嚢の病気でも起こりやすい症状です。上で述べた全身の症状に加えて右の脇腹が痛んだ場合には肝臓の病気の可能性があるので、医療機関を受診するようにしてください。
黄疸(皮膚の黄色変化)
肝機能が悪化して肝臓での解毒作用が低下すると、
黄疸は一部の貧血(溶血性貧血)でも起こりますが、B型肝炎の人に黄疸が見られた場合には肝臓の機能の低下が疑われます。皮膚や白目が黄色くなっている人は必ず検査を受けるようにしてください。
3. 肝炎が劇症化(劇症肝炎)したときに起こる症状
B型肝炎ウイルスに感染すると、まれに(頻度としては肝炎の症状が出る人の中で数%程度)劇症肝炎になることがあります。劇症肝炎とは肝臓に起こる炎症によって肝機能が著しく低下する状態のことです。劇症肝炎では上に挙げたような症状よりも強い症状が見られるようになり、命の危険性が出てきます。
劇症肝炎が起こったときに出やすい症状には次のものがあります。
- 口臭(肝性口臭)
- 羽ばたき振戦
昏睡
これらの症状はどういったものかについて下の段落で詳しく説明します。
口臭(肝性口臭)
劇症肝炎のように著しく肝臓の機能が低下した人では口臭が強くなることがあります。これは
羽ばたき振戦
劇症肝炎よって肝機能が著しく低下した影響が脳に及ぶことがあります。これを肝性脳症といいます。(肝性脳症について詳しく知りたい方はこちらを読んでください。)肝性脳症になると羽ばたき振戦という症状が見られるようになります。
肝性脳症がある人が腕を伸ばして手首を背屈する(手を上げるようにそらす)と手がバタバタと動くことがあり、これを羽ばたき振戦といいます。この症状は肝性脳症の比較的初期から見られるのが特徴です。
昏睡
肝性脳症が進行すると興奮状態に至り、最終的には意識を失います。脳への影響が非常に強くなると、声をかけても身体を揺すっても、何をしようと寝たままの昏睡状態に至ります。この状態になった場合には自力で改善することはないため、救急車を呼んだりかかりつけの往診医を呼んだりする必要があります。
【参考】
・Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases 8th edition
・国立感染症研究所 「B型肝炎とは」