子宮頸がんの症状について
子宮頸がんは検診などから無症状で見つかることがありますが、一方で症状をきっかけにしてみつかることもあります。このページでは、子宮頸がんでみられる代表的な症状と、段階別に「進行したときの症状」「
目次
1. 子宮頸がんでみられる代表的な症状
早期の子宮頸がんはしばしば無症状なことがあるので、
子宮頸がんの主な自覚症状は次のものです。
【子宮頸がんの代表的な症状】
- 不正性器出血
- 膣分泌物(おりもの)の異常
- 下腹部痛
月経(生理)や分娩(出産)、産褥期(出産直後)以外で起こる性器からの出血を「不正性器出血(不正出血)」といいます。不正性器出血は性交後に見られることもあれば、性交に関係なく出ることもあります。また、がんには出血しやすかったり、
子宮頸がんが周りに広がると、下腹部痛(下っ腹の痛み)を感じるようになります。下腹部痛は他の病気でも見られますが、子宮頸がんが原因の場合は長く続くことが多いです。
上で説明した3つの自覚症状は他の病気が原因になることもあります。例えば、不正性器出血は「子宮筋腫」や「萎縮性膣炎」「子宮頸管炎」「妊娠」などでもみられますし、膣分泌物の異常は「クラミジア
2. 子宮頸がんが周りの臓器に広がったときの症状について
がんが子宮頸部から外に広がると、隣り合っている膀胱や直腸に入り込んでいきます。がんが組織に入り込んでいく現象を浸潤といいます。膀胱や直腸にがんが浸潤すると、
3. 子宮頸がんが転移したときの症状について
がんが、できた場所から離れた所に移動して増殖することを転移といいます。転移には
なお、ここでは転移にともなう症状を説明していますが、定期的な検査で無症状のうちに転移が見つかることもあります。
リンパ節転移の症状
人の身体にはすみずみまでリンパ管が張り巡らされており、その中にはリンパ液が流れています。リンパ管がいくつか合流すると、
リンパ節でとどまったがんが増殖しても(リンパ節転移)、症状はないことがほとんどです。しかし、進行してリンパ節がかなり大きくなったり、いくつものリンパ節に転移が起こると、リンパ液の流れが悪くなった影響で足の
遠隔転移の症状
がんができた場所から遠く離れた場所に移って増殖することを遠隔転移といいます。子宮頸がんは肺や肝臓、腹腔(お腹の臓器の隙間)などに転移しやすいことが知られており、転移した部位によって現れる症状が異なります。例えば、肝臓に転移をした場合にはお腹の張りを自覚します(お腹の張りは時間とともにあまり変化しないことが多いです)。他方、肺に転移をした場合には、咳や血液混じりの痰などが現れます。
4. 子宮頸がんが再発したときの症状について
子宮頸がんは再発することがあり、症状をきっかけにして再発が見つかることもあれば、無症状で見つかることもあります。
再発しても無症状のことがある
がんが再発しても、ある程度の大きさにならなければ症状は現れないことが多いです。定期の画像検査で、とても小さな再発が見つかった人のほとんどが無症状です。無症状であっても、再発が小さなうちに見つかると、治療を早く始められるメリットがあるので、定期的な受診は欠かさないようにしてください。
再発が現れた部位によって症状が異なる
全身のどこにでもがんは再発する可能性があり、再発した部位によって症状が異なります。例えば、肝臓に再発した場合は腹痛や腹部の張りを自覚しますし、肺に再発した場合は、呼吸しにくくなったり血液が混じった痰がでたりします。
がん治療後の症状は再発によるものなのか
がんの治療後に何らかの症状が現れたからといって、それが再発によるものとは限りません。例えば、腹痛は単なる便秘でも起こりますし、呼吸がしにくくなるのは肺炎でも起ここります。がんの治療後に症状が現れると、どうしても再発と結びつけて考えてしまいがちですが、他にもいろいろ原因が考えられるのです。気になる症状がある人はかかりつけのお医者さんを受診して原因を調べてもらってください。
5. 子宮頸がんの末期の症状について
子宮頸がんに限らず「がんの末期」には明らかな定義がありません。ですので、ここでは末期の状態を、抗がん治療(手術や
また、末期の患者さんは、心細さや孤独感などを感じやすくなります。患者さんが落ち着きやすい雰囲気を作って、精神的なサポートをすると、心理的な負担が軽くなります。例えば、患者さんが大切にしていたものを手元に置いたり、好きな香りで部屋を包むといったことも過ごしやすい雰囲気に繋がります。雰囲気の上手な作り方がわからない場合は、ただそばにいてあげるだけでもよいです。「自分は一人ではない」という安心を感じてもらうことが大切です。
がんの緩和治療や末期の過ごし方についての詳しい説明は「こちらのページ」も参考にしてください。
参考文献
・日本婦人科
・国立がん研究センター内科レジデント/編, 「がん診療レジデントマニュアル(第7版)」, 医学書院, 2016年
・日本産婦人科学会,日本産婦人科医会/編, 「産婦人科