太ももが痛い、しびれ、違和感がある

太ももが痛い、しびれ、違和感があるの基礎知識

概要

太ももの痛みやしびれ、違和感を経験する人は少なくありません。特に激しく運動した後は、筋肉痛として多くの人が一度は感じたことがあると思います。症状がすぐに回復したり、徐々に良くなっている人には受診の必要性は高くありません。一方で、症状が良くならない人は、治療が必要な病気が隠れている可能性があるので、受診を検討してください。
受診先としては整形外科が良いですが、周りに整形外科がない人や、かかりつけ医がいる人は内科で相談するのも良いです。必要に応じて整形外科を紹介してくれますし、痛み止めを中心とした対症療法を始めてくれます。


原因とメカニズム

太ももにある神経や筋肉が傷つくと、痛みやしびれ、違和感が現れます。神経や筋肉が傷つく原因には怪我や病気など様々なものがあります。

考えられる病気

太ももにある神経や筋肉にダメージを与える病気・怪我などが原因になります。

坐骨神経痛

坐骨神経は腰の骨から出て足に向かう神経です。坐骨神経が何らかの原因によって圧迫を受けると、坐骨神経に沿って痛みやしびれが現れます。この状態を坐骨神経痛と言います。太ももは坐骨神経痛の症状が現れやすい部位の一つです。坐骨神経を圧迫する主な原因は次のとおりです。

坐骨神経痛の主な原因】


坐骨神経痛が生じるメカニズムはそれぞれ異なるので、詳細が気になる人はリンク先で確認してください。

筋断裂(肉離れ)

筋断裂肉離れ)はスポーツや転落などによる怪我で起こり、痛みや違和感の原因になります。断裂した筋肉や内出血が神経を圧迫すると、しびれが現れます。

ロコモティブシンドローム

筋肉や骨、関節、軟骨など運動に関わる臓器の障害によって移動能力が低下した状態です。移動が難しくなるだけではなく、関節や筋肉に痛みやしびれなどの症状も現れます。

線維筋痛症

慢性的に全身の痛みとこわばりが生じる病気です。脳に痛みを伝える神経が過敏になることが原因だと考えられていますが、詳細は不明です。太ももに症状が現れることがあります。

帯状疱疹

水痘帯状疱疹ウイルスの感染によって起こる病気です。皮膚の痛みやしびれ、かゆみといった症状が現れます。太ももにも帯状疱疹が現れることがあります。

糖尿病

糖尿病血糖値が慢性的に高くなる病気です。身体の至る所で問題を引き起こします。末梢神経障害糖尿病の主な合併症で、太ももの感覚や運動を司る神経がダメージを受けると、しびれや痛みを自覚します。

薬の副作用

薬の影響で神経がダメージを受けることがあり、痺れや違和感として症状が現れることがあります。このような末梢神経障害が起こりやすい薬として、抗がん剤脂質異常症高脂血症)の治療薬、結核の治療薬が知られています。

怖い病気

坐骨神経痛の原因として挙げた脊髄腫瘍脊椎腫瘍化膿性脊椎炎といった病気は、進行すると命に危険を及ぼします。症状に当てはまる人はすみやかに受診してください。

受診の目安

症状が数日間でおさまる場合はそのまま様子をみることが可能ですが、症状が良くならない人は、原因を明らかにする必要があるので、受診してください。

診療科

整形外科か内科で相談してみてください。クリニックでも総合病院でも構いません。また、受診した結果、他の診療科での精査や治療が必要な人には適切な診療科を紹介してくれます。

検査

原因を特定するためには診察や検査が必要です。

診察

患者さんの症状や状況を聞き取ったり、患者さんの身体をくまなく調べたりします。困ったことがあれば、何でも率直にお医者さんに伝えてください。

レントゲン検査

X線を使った検査です。骨の形を調べるのに適していて、腰部椎間板ヘルニアの可能性がある人に行われます。


超音波検査(エコー検査)

超音波を用いた検査です。筋肉や血管の状態を調べるのに適しています。

血液検査

注射器で血液を抜き出し、血液成分を分析する検査です。糖尿病の有無や炎症反応などを調べる必要がある人に行われます。

治療

原因によって治療方法は異なります。腰部脊椎椎間板ヘルニア脊柱管狭窄症であれば手術が検討されますし、帯状疱疹化膿性脊椎炎であれば薬物治療が行われます。また、末梢神経の回復を促す目的で、ビタミンB12が含まれた薬が用いられることがあります。また、痛みがあれば、鎮痛薬(NSAIDs・アセトアミノフェン・プレガバリンなど)が使われます。

セルフケア

坐骨神経痛が原因であればストレッチが効果を発揮することがありますし、糖尿病が原因であれば病気のコントロールが肝になり、食事や運動療法が有効と言えます。 医療機関にかかる前にセルフケアを試してみたくなるかもしれませんが、まずはしっかりと原因を調べて、それに応じた正確な知識を学ぶことが大切です。症状がある人は、まず医療機関で相談してみてください。

初診推奨診療科の候補