2016.04.03 | コラム

いぼ痔(痔核)の診断と分類の方法:症状、年齢、検査から

痔核の診断について

いぼ痔(痔核)の診断と分類の方法:症状、年齢、検査からの写真

いぼ痔(痔核)の症状には出血や痛みなどがあります。いぼ痔の診断をする上で症状は大事な情報です。また、年齢も手がかりになります。いぼ痔の状態を観察して分類することで、治療法を選ぶ指標ともなります。

1. いぼ痔の症状とは?

いぼ痔(痔核)の症状は以下のものが代表的です。

  • 出血
  • 脱出
  • 痛み
  • 腫れ
  • かゆみ
  • 粘液の漏れ

出血は、排便時などに現れます。ただし排便時以外にも出血することはあります。いぼ痔からの出血の特徴として、血の色は鮮やかな赤のことが多いです。直腸や大腸からの出血ならば暗い色になることが考えられます。出血量は様々ですが、多くは排便時だけで止まります。トイレットペーパーに少し付くだけのこともあります。

脱出とは、いぼ痔の一部が肛門の外に出てしまうことを言います。いぼ痔の場所によっては常に外から見えていることもあります。排便時の脱出が多いですが、激しい運動や重いものを持って力んだりしたときに脱出することもあります。

痔核が脱出したときに痛みを伴うことがあります。人によって脱出のときにだけ痛むこともある一方、脱出はしなくても持続的に痛むこともあります。

いぼ痔に血栓(血の塊)ができることなどによって、いぼ痔が急に腫れて大きくなり、数日以上強い痛みが続くこともあります。

かゆみは、いぼ痔のため肛門周囲をきれいにできなくなることや、粘液の漏れによって起きる症状ですが、逆に洗いすぎたり拭きすぎたりすることでも起こるので注意が必要です。

 

2. いぼ痔と年齢の関係とは?

症状からいぼ痔(痔核)が疑われた場合、「いぼ痔はどんな人に見つかることが多いか」という情報が診断のヒントになります。大切なのは年齢です。いぼ痔は45歳から65歳に最も多く、20歳以下ではまれとされます。男女差はほとんどありません。

 

3. いぼ痔の診断はどのようになされるか?

上に挙げたような出血、かゆみ、痛みなどからいぼ痔が疑われた場合、必要に応じて検査を使って診断がなされます。いぼ痔の診断では、問診と肛門の診察が重要です。

肛門の診察は、具体的には視診、触診、指診(肛門周辺や肛門の中を指で触って調べること)、肛門鏡検査(肛門の中に肛門鏡を入れ、肛門の中を観察する検査)などです。トイレでいきんだときの状態を観察する方法(怒責診)もあります。正確な診断を行うには、指診では難しく、肛門鏡検査で診断されます。

血便などの症状がある場合に、いぼ痔のほかに見逃してはいけない病気として、大腸がんなどがあります。大腸がんなどが隠れていないかを調べるために大腸内視鏡検査が行われることもあります。

 

いぼ痔が診断されたあとは治療を考えることになります。治療を選ぶための指標として、いぼ痔の状態を観察して分類する方法があります。Goligher分類という方法がよく使われています。Goligher分類は下記のように痔核を4段階に分けます。

  • I度:排便時に肛門管内で痔核は膨隆するが、脱出はしない
  • II度:排便時に肛門外に脱出するが、排便が終わると自然に還納する
  • III度:排便時に脱出し、用手的な還納が必要である
  • IV度:常に肛門外に脱出し、還納が不可能である

専門用語が使われているので説明します。

還納とは、出てきたものを元に戻すことを言います。つまり、肛門から出てきた痔が元に戻るという意味です。用手的とは手で押さえるということです。つまりこの分類は、排便によって痔が肛門から脱出するかどうか、脱出した時に元に戻るかどうか、という視点で決められるということです。

Goligher分類などを使って痔核の状態を判定し、どの治療が適しているかを考える材料とすることができます。

 

以上でいぼ痔の症状について解説してきました。いぼ痔には必要に応じて薬や手術などの治療法があります。痛み、出血、脱出、かゆみなどが続いて困ったときは、いぼ痔の治療のためにも、ほかの病気がないか調べるためにも、医療機関を受診することをおすすめします。

 

参考文献:肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン2014年版(日本大腸肛門学会)

注:このコラムは2016年4月3日に公開されましたが、2018年2月6日に編集部が更新しました。

執筆者

Shuhei Fujimoto

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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