2015.05.28 | ニュース

肺がん患者のうつ・不安症状は1日40分、週3日、3ヶ月のウォーキングで改善した

台湾の研究チームがランダム化比較試験で検証
from British journal of cancer
肺がん患者のうつ・不安症状は1日40分、週3日、3ヶ月のウォーキングで改善したの写真
(C) milatas - Fotolia.com

運動は、不安症状やうつ症状、がんに関連する症状に補助的な治療として加えられていますが、実際にどのような効果があるのかを明らかにした研究はあまりありません。今回の研究では、台湾の研究チームが、肺がん患者に対して12週間の運動プログラム介入を行ったところ不安およびうつの症状が改善したことを報告しました。

◆40分/日、3回/週、12週間のウォーキングエクササイズ

今回の研究では、116名の肺がん患者を58名ずつランダムに2群(ウォーキング群と通常ケア群)に振り分け、12週間後の効果を検証しました。

在宅で無理のない強度で、40分/日、3回/週、12週間のウォーキングプログラムを行った。

Hospital Anxiety and Depression ScaleとMDアンダーソン症状調査表の台湾語ヴァージョンで結果を評価した。

 

◆運動は不安症状とうつ症状を改善する

調査の結果は、以下のとおりでした。

ウォーキング群は通常ケア群と比較して、不安症状(3ヶ月時点:p=0.009、6ヶ月時点p=0.006)およびうつ症状(3ヶ月時点:p=0.00006、6ヶ月時点p=0.004)をそれぞれ有意に改善した。

ということで、今回の研究対象者では、運動が、不安症状やうつ症状といった精神症状を改善していたという結果でした。

筆者らは、「肺がん患者において、在宅で行うウォーキングプログラムは不安症状やうつ症状の管理に応用可能で効果的な介入方法であり、リハビリテーションとして不可欠な要素として考えられる」と述べています。

 

近年、がん患者さんに対するリハビリテーションは有効であるという報告が増えてきています。がん患者さんを日々診療されている医療従事者の方々は、がん患者さんに対するリハビリテーションについてどのようにお考えでしょうか?

執筆者

MT

参考文献

Randomised controlled trial on the effectiveness of home-based walking exercise on anxiety, depression and cancer-related symptoms in patients with lung cancer.

Br J Cancer. 2015 Feb 3

[PMID: 25490525]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。