肺がん患者の睡眠の質に対する歩行訓練の効果
台湾の研究班が、肺がん患者の歩行訓練の研究結果を『British Journal of Cancer』に報告しました。
この研究では、肺がん治療中の患者111人が対象となりました。
対象者はランダムに2グループに分けられました。
- 通常のケアをするグループ
- 家庭でウォーキングをしながら毎週運動指導を受けるグループ
12週間の治療のあとで睡眠の質の調査により効果が比較されました。
ウォーキングで睡眠の質が改善
治療の結果、ウォーキングをしたグループで、自己申告による睡眠の質と、睡眠時間が改善していました。治療開始から3か月後と6か月後に改善が見られました。
研究班は「ウォーキングプログラムは肺がん患者の睡眠の質を主観的にも客観的にも改善する効果的な治療であり、肺がんリハビリテーションで選択できる要素として考えられる」と結論しています。
がんになっても運動は大事
ウォーキングが肺がん患者の睡眠の質を改善したという結果でした。
肺がんの治療では全体的に体力をつけることも大切な要素です。たとえば手術で肺が小さくなったり、安静にすることで筋力が落ちてしまうため、手術前になるべく運動をして体を鍛えておくことが勧められます。
がんを直接狙う治療だけでなく、全身の状態をよくすることも組み合わせることで、苦しい治療にも耐えて前向きに生活を続ける助けになります。
執筆者
Effect of walking on circadian rhythms and sleep quality of patients with lung cancer: a randomised controlled trial.
Br J Cancer. 2016 Nov 3. [Epub ahead of print]
[PMID: 27811855]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。