デノスマブ製剤(骨粗しょう症治療薬)
骨を壊す過程(骨吸収)を亢進させるRANKリガンド(RANKL)という物質の働きを阻害し骨量などを改善する薬
デノスマブ製剤(骨粗しょう症治療薬)の解説
デノスマブ製剤(骨粗しょう症治療薬)の効果と作用機序
デノスマブ製剤(骨粗しょう症治療薬)の薬理作用
骨粗しょう症は骨を壊す細胞(破骨細胞)と作る細胞(骨芽細胞)のバランスが崩れることで、骨がもろくなってしまい転倒することなどにより骨折する危険性が高くなる。
骨芽細胞から産生されるRANKリガンド(RANKL)という物質は破骨細胞の形成、機能などを促進する。何らかの原因によりRANKLが過剰に産生されると過剰な骨吸収につながる。
関節リウマチの関節箇所では活性化されたT細胞及びB細胞の浸潤や滑膜線維芽細胞の異常な増殖などが起こっているが、これらの細胞においてRANKLが高発現していて、破骨細胞の形成・機能・生存が亢進されることで、関節近傍の骨破壊を誘発するとされている。
本剤はRANKLに結合しRANKLの働きを阻害することで破骨細胞による骨吸収の亢進を抑制し、骨密度を高めることにより骨粗しょう症を改善する作用をあらわす。またRANKLの働きを阻害することで、関節箇所の破骨細胞による骨吸収を抑え、関節リウマチにおける骨びらんの進展や関節の骨破壊を抑える作用をあらわす。本剤の投与により低カルシウム血症があらわれる場合があるため、(血清補正カルシウム値が高値でない限り)カルシウム及びビタミンD製剤を併用することになる。(通常、デノタスチュアブル配合錠が併用される)
尚、デノスマブは多発性骨髄腫や骨巨細胞腫の治療薬(商品名:ランマーク)としても使用するが、それぞれの疾患で使用する用法・用量などが異なる。
本剤は特定物質に結合する抗体として造られたモノクローナル抗体であり、特定分子の情報伝達を阻害する分子標的薬となる。