しーはんしょうこうぐん
シーハン症候群
出産時または産後の大量出血やショックにより、下垂体が障害されて起こる産後下垂体機能低下症
1人の医師がチェック 12回の改訂 最終更新: 2026.07.11

シーハン症候群の基礎知識

POINT シーハン症候群とは

出産時または産後の大量出血やショックにより、下垂体が障害されて起こる産後下垂体機能低下症です。下垂体ホルモンの分泌が低下することで、母乳が出にくい、産後に月経が再開しない、強い倦怠感、低血圧、低血糖、寒がり、便秘、むくみなどが現れることがあります。診断では、分娩時の出血や輸血の有無、産後の症状を確認し、ACTH、コルチゾール、TSH、FT4、LH、FSH、プロラクチンなどのホルモン検査や下垂体MRIを行います。治療では、不足しているホルモンを補充し、特に副腎皮質ホルモンの不足がある場合は優先して対応します。シーハン症候群は産婦人科や内分泌内科で治療が行われます。

シーハン症候群について

  • 出産時または産後の大量出血やショックにより、下垂体虚血性に障害される病気
  • 産後下垂体機能低下症の代表的な原因
  • 主に下垂体前葉の機能低下をきたす:ACTH、TSH、LH、FSH、プロラクチン、成長ホルモンなどの分泌低下
  • 急性に発症する場合もあるが、産後数か月から数年後に診断されることもある
  • 先進国では産科医療の改善によりまれな疾患である
  • 出産時大量出血への対応が不十分な地域では現在も重要な疾患である
  • 産後大量出血の既往がある女性で、産後の乳汁分泌不全や無月経がある場合に注意が必要
  • 診断が遅れやすく、慢性的倦怠感低血圧として見逃されることがある

シーハン症候群の症状

  • 乳汁分泌不全:産後に母乳が出にくい、または出ない状態
    • プロラクチン分泌低下による症状
    • 早期の手がかりになりやすい
  • 無月経・月経不順:産後に月経が再開しない状態
    • LH、FSH分泌低下による性腺機能低下
    • 不妊や性欲低下を伴うことがある
  • 倦怠感・筋力低下:慢性的な疲れやすさ
    • 成長ホルモン低下、甲状腺機能低下、副腎不全などが関与
    • 産後疲労として見逃されることがある
  • 低血圧低血糖ACTH低下による副腎皮質機能低下に伴う症状
    • 食欲低下、吐き気、体重減少、ふらつき
    • 感染症や手術などのストレス時に副腎クリーゼを起こす危険性がある
  • 甲状腺機能低下症状:TSH低下による中枢性甲状腺機能低下症
    • 寒がり、むくみ便秘、眠気、体重増加、徐脈
  • 意識障害
  • 低血糖
  • 低ナトリウム血症

シーハン症候群の検査・診断

  • 問診:産後から症状出現までの経過の確認
    • 分娩時の大量出血、輸血、ショックICU管理の有無
    • 産後の乳汁分泌不全、無月経、強い倦怠感低血圧症状の確認
  • 身体診察
    • 血圧、脈拍、体重変化、脱水所見の確認
    • 体毛減少、皮膚乾燥、むくみ、乳汁分泌の確認
    • 全身状態と副腎不全徴候の評価
  • 血液検査
    • 複数の下垂体前葉ホルモン低下を確認する検査
    • 電解質・一般血液検査:ナトリウム、血糖腎機能、肝機能、血算の確認
    • 低ナトリウム血症低血糖貧血などの評価
  • MRI検査
  • 下垂体の萎縮などの確認

シーハン症候群の治療法

  • ホルモン補充療法(副腎皮質ホルモン甲状腺ホルモン・性ホルモン・成長ホルモン)
    • 不足している下垂体ホルモン系に応じた補充
    • 長期にわたる内分泌管理が必要な病気
    • 内分泌専門医による調整が重要
  • 急性副腎不全への対応

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