あせとんけっしょうせいおうとしょう(しゅうきせいおうとしょう)
アセトン血性嘔吐症(周期性嘔吐症)
激しい嘔吐を繰り返す小児の病気で、周期性嘔吐症とも呼ばれる
11人の医師がチェック 73回の改訂 最終更新: 2020.12.23

アセトン血性嘔吐症(周期性嘔吐症)はどのような病気なのか

アセトン血性嘔吐症(別名:周期性嘔吐症、自家中毒)は嘔吐が繰り返し起こる病気です。アセトンとは脂肪を分解してエネルギーとして使う際に生成される物質であり、嘔吐を引き起こす原因となると考えられているものです。主に子どもの病気ですが、大人になってから診断を受ける人もいます。

1. アセトン血性嘔吐症の症状について 

アセトン血性嘔吐症では、数時間から数日間に渡り続く激しい嘔吐が特徴です。このような嘔吐の発作が期間をあけて繰り返し起こります。嘔吐と嘔吐の間の長さは人それぞれで、週単位で繰り返す人もいれば、年に数回の人もいます。

嘔吐中は吐くことで体内の水分量が減り、脱水症になってしまうことも少なくありません。また、吐いた後にぐったりして眠りがちになることもあります。加えて、頭痛・めまいなどの症状が現れる人もいます。嘔吐が続いている時のつらさとは対照的に、発作がおさまったあとは症状がまったくなくなるのも特徴の1つです。

2. 嘔吐の引き金となるものとは

アセトン血性嘔吐症では特定の出来事が嘔吐の引き金になることがあります。下記は引き金になりやすいと言われているものです。

【嘔吐の引き金となりうること】

  • 精神的なストレス
  • 睡眠不足
  • 空腹
  • チョコレート、チーズ、旨味調味料などの摂取
  • 月経
  • 感染(感冒や感染性胃腸炎など)

もしも嘔吐するたびに同じ出来事があった場合には、それが嘔吐の引き金となっている可能性があります。とはいえ、嘔吐前の出来事について時間が経つと忘れてしまうこともあるかと思います。できるだけ嘔吐した時の状況を記録に残しておいて、後で見返せるようにしておくとよいです。

3. アセトン血性嘔吐症の検査について

アセトン血性嘔吐症かもしれないと心配な人は、子どもであれば小児科に、大人であれば内科や消化器内科に相談してください。受診時には症状を詳しく伝えることが重要です。特に、嘔吐の頻度、嘔吐が続いた時間、吐いた回数の情報が診断の決め手となります。加えて、嘔吐を起こす他の病気がないかどうか調べるために、血液検査、腹部レントゲン検査、腹部超音波検査などの検査を受けることもあります。

4. 吐いている時の対処法について

水分・塩分・糖分をバランスよく摂ることが重要です。嘔吐で失われた水分と塩分を補うと、脱水症による重症化を防げます。また、糖分にはアセトン血性嘔吐症による吐き気を抑える効果があります。

この3つをバランスよく摂るには経口補水液が有用です。吐き気がおさまった時を見計らって少しずつ飲むようにしてください。なお、吐いているときには、固形物は無理して食べる必要はありません。

吐き気が強くて飲むことができない、あるいは飲んでもすぐに吐いてしまうような時は、吐き気どめの処方や点滴といった治療が必要になります。早めに医療機関を受診してください。

5. 治療薬について

嘔吐や吐き気に対しては、吐き気どめ(ドンペリドン:主な商品名ナウゼリン®)が役立ちます。内服薬と座薬があり、病状に応じて使い分けられています。たとえば、吐き気が強くて飲むのが難しいときには座薬が使いやすいです。手に入れるには、受診をしてお医者さんに処方してもらう必要があります。

参考文献

William J Hayes,et al.Cyclic vomiting syndrome: diagnostic approach and current management strategies.Clin Exp Gastroenterol. 2018;11:77-84.