こうしんへるぺす
口唇ヘルペス
成人で最もよくみられる単純ヘルペスの一種。
9人の医師がチェック 21回の改訂 最終更新: 2018.09.04

口唇ヘルペスの症状:痛み、水ぶくれ、かさぶたなど

口唇ヘルペスが起こると唇がピリピリしたり、チクチクした違和感のあとに皮膚の赤みや水ぶくれができます。見た目では何もない皮膚がピリピリしたりするため、はじめは何の症状かわからないかもしれません。水ぶくれは全体的なただれに変化してかさぶたになります。症状が強いと発熱やリンパ節の腫れを起こすこともあります。ここでは口唇ヘルペスの症状についてみていきます。

1. 口唇ヘルペスの症状の経過

口唇ヘルペスでは水ぶくれができる前に皮膚のピリピリした違和感やかゆみなどの前駆症状を感じることがあります。その1-2日後に皮膚が赤みを帯び水ぶくれができます。水ぶくれは中央が凹んでいたり、水ぶくれのまわりが赤くなっていたりします。水ぶくれの中身は水っぽいものから次第にに変化し、破れると皮膚がじゅくじゅくしてただれたようになり、その後かさぶたになって治ります。通常1週間程度で治癒します。

まず、水ぶくれができる前に起こる前駆症状ついて説明をします。

皮膚のかゆみ

水ぶくれや皮膚の赤みなどの症状が起こる1-2日前に、前駆症状として皮膚のかゆみが起こります。皮膚の違和感のみの場合があります。

皮膚の痛み

水ぶくれができる前に、前駆症状として口唇のあたりに「ピリピリ」したり「チクチク」したりする痛みが起こります。口唇ヘルペスの多くは下唇の外側1/3にできるため、その部分に痛みの症状が起こります。

次に前駆症状の後に続く症状について一つひとつ説明します。

皮膚の赤み:紅斑(こうはん)

皮膚の違和感、かゆみ、痛みなどの前駆症状の1-2日後に続いて、同じ場所に赤みを帯びた皮疹が起こります。唇全体が腫れたようになることもあります。

水ぶくれ:水疱(すいほう)

前駆症状のかゆみや痛みが起きた1-2日後に、皮膚の赤みが起きてその上に小さな水ぶくれが多数できます。専門的な言葉では水疱や疱疹(ほうしん)と呼びます。水ぶくれの大きさは様々ですが、水ぶくれが集まり、それぞれの水ぶくれの真ん中は少し凹んでいることがあります。

皮膚がただれる、膿む:膿疱(のうほう)、びらん

水ぶくれの中身は最初は水のようなものですが、次第に粘っこいものに変化して膿疱になったり、自然に破れたりします。自然に破れた部分は全体的にじゅくじゅくして、ただれたようになります。

かさぶた

水疱がやぶれた部分にかさぶたがつくようになります。かさぶたがつくようになると、かゆみを感じることがあるかもしれません。

口内炎

口唇ヘルペスに初めて感染した場合には口内炎を起こすことがあります。口内炎にみなさん一度はなったことがあると思いますが、口唇ヘルペスでも同じような口内炎が口の中にできます。再発した場合でも人によっては口内炎を起こすことがあり、口唇には水疱ができずに口内炎のみの症状のこともあります。

唇や舌の先にたくさんの口内炎ができた場合には、単純ヘルペスウイルスの初感染による「ヘルペス性歯肉口内炎」の可能性があります。ほおの粘膜や上顎の粘膜にも口内炎ができて、発熱や倦怠感、強い痛みで食事がとれなくなります。ヘルペス性歯肉口内炎は子供に発症することが多いのですが、最近では大人になってから初めて単純ヘルペスウイルスに感染する人が増えたことから、大人でもこのような発症の仕方をする場合があります。

口の中に多くの口内炎ができて食事がとれない場合などは「ヘルペス性歯肉口内炎」の可能性がありますので、早めに医療機関を受診してください。子どもの口の中にたくさんの口内炎ができている場合は、他にも手足口病ヘルパンギーナなどの可能性もありますが、水を飲まない、食事をとらないなどの症状がある場合には早めの受診をお勧めします。

発熱

口唇ヘルペスのみで発熱を起こすことは稀ですが、初感染時の口唇ヘルペスで発熱を起こすことがあります。また、初感染時にヘルペス性歯肉口内炎になった場合には38度台の発熱を起こすことがあります。この場合には発熱とともに全身のだるさなどを感じることがあります。

リンパ節の腫れ

口唇ヘルペスのみでリンパ節の腫れを起こすことは稀です。初感染時にヘルペス性歯肉口内炎になった場合には首のリンパ節が腫れて、首を押すと痛みがある場合があります。

2. 子どもや赤ちゃんがヘルペスに感染した時の症状

子どもが単純ヘルペスウイルスに初感染した時はヘルペス性歯肉口内炎になることが多いです。口唇ヘルペスを起こすこともあり、この場合は大人と同じようなかゆみや痛みではじまり、皮膚の赤み、水ぶくれの後にただれてかさぶたになります。かさぶたになる前の水疱にはウイルスが多く含まれているため、唇の皮膚からまわりの粘膜や皮膚へ感染が広がります。子どもの場合には水ぶくれやただれている部分を手で触ってしまうので、口以外の部分にまで広がることが大人より多いです。

例えば口唇にできた口唇ヘルペスを舌でなめるため、口唇ヘルペスが口の周りに広がります。また、口唇ヘルペスをもっている場合に指しゃぶりをすると指にウイルスが感染し、ヘルペス性ひょう疽が起こります。ヘルペス性ひょう疽になると指の痛みと腫れが起こり、その他に口唇ヘルペスと同様の赤み、水ぶくれ、ただれの症状が起こります。このように子どもの場合は大人より周りに広がりやすい特徴があります。

3. 口唇ヘルペスと他の病気との違い:ニキビ、帯状疱疹など

口の周りにできる病気はさまざまであるため、自分で口唇ヘルペスだと思っていてもなかなか治らない場合には他の病気の可能性があります。口唇ヘルペスに似た病気に下記の3つがあります。

これらの病気との区別について説明します。

尋常性ざ瘡:ニキビ

ニキビは医学用語で尋常性ざ瘡と呼ばれます。口唇のそばにできたニキビは口唇ヘルペスと間違うことがあるかもしれません。一般的にはニキビは皮脂が多いことと、毛穴がつまることでできるため脂腺が多い部位にできます。口の周りでは通常顎のあたりにできることが多いです。

帯状疱疹

帯状疱疹は口唇ヘルペスと同じヘルペスウイルスの仲間が原因で起こります。そのため、口唇ヘルペスと症状が似ています。具体的にははじめに違和感や痛みが起きた後に、皮膚の赤みや水疱ができ、その後につぶれてかさぶたになります。通常は体内の感覚神経が通っているところに沿って帯状に水ぶくれができるため、口唇ヘルペスより広い範囲に症状が起こります。痛みも口唇ヘルペスより強いことが特徴です。

接触性口唇炎

接触性口唇炎は食物や化粧品など日常的に使用しているものに対して、アレルギー反応として口唇が腫れる病気です。原因になるものはマンゴーや桃などの果物、リップクリーム、口紅、歯磨き粉などです。原因となるものを食べた後や、使った後に起こることが特徴です。口唇ヘルペスでは口唇の一部に水疱ができますが、接触性口唇炎では上下の口唇全体が腫れて、むくみ、赤くただれるのが症状の違いです。