[医師監修・作成]ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)とはどんな病気なのか? | MEDLEY(メドレー)
どらいあい(かんせいかくけつまくえん、るいえきげんしょうしょう)
ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)
涙が減り、目の表面が乾くことで様々な症状を引き起こしてしまう状態
4人の医師がチェック 116回の改訂 最終更新: 2021.06.18

ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)とはどんな病気なのか?

目が乾いて不快感を感じることはないでしょうか。その症状はドライアイが原因かもしれません。ここでは現代人の多くが抱えていると言われるドライアイの症状に加えて原因や検査、治療についても説明します。

1. 涙が不足するドライアイとは?

ドライアイ(dry eye)は英語で「乾き目」を意味し、病名としてそのまま用いられています。ドライアイは単純に目が乾くだけの病気ではありません。ドライアイに深く関わっている涙の役割を含めて説明していきます。

涙の役割は?1日にどれくらいの量が出るのか

涙は次のようにいくつかの役割を担っています。

  • レンズの役割をしてピントを結ばせる
  • 異物や病原体から目を守る
  • 栄養を目に補給する

涙は、泣くときにだけに出るものではありません。涙は日頃から分泌されていて目の表面に層を作ることで主に上の3つの役割を果たしています。ドライアイでは涙の量が減ったり、成分が変化してしまうことで、涙が持つ本来の役割が果たせなくなりさまざまな症状が現れます。

ちなみに涙は1日に3mLから6mL程度分泌されると言われていますが、個人差があります。

涙の成分について

涙はただの水ではありません。

涙はそれぞれ違う成分で3つの層を作って上で説明した働きを行っています。この3層を合わせて涙液層といいます。

涙液層の一番外側は脂で作られています。脂が最も外側を覆うことで内側にある水分の蒸発を防いでいます。真ん中の層は水分でできた層です。最も目に近い内側の層はムチンと呼ばれる物質で形作られています。ムチンにはその外側にある水の層を目の表面にとどめておく働きがあります。水の層を脂の層とムチンの層でサンドイッチすることで目の水分が保たれています。

ドライアイの定義

「ドライアイ研究会」によるとドライアイは以下のように定義されています。

  • ドライアイはさまざまな要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能障害を生じ、眼表面の障害を伴うことがある

ドライアイは単に涙が減ってしまう病気ではなく、涙によって作られる層の安定性が低下することによってさまざまな症状が起こる病気です。目の乾き以外にもものの見え方にも影響が現れます。

ドライアイに悩んでいる人はどれくらいいるのか

日本眼科学会によるとドライアイの症状に悩んでいる人は800万人から2200万人とされています。ドライアイには現代の生活環境や加齢などが関わっていると考えられているので、今後さらに増加していくことが予想されています。

ドライアイは男性に多いのか女性に多いのか

ドライアイは女性に多いとされています。

涙の蒸発を防ぐ脂の分泌には男性ホルモンが関わっていると考えられています。女性にも男性ホルモンはありますが、その量は少ないです。男性ホルモンが少ないため、女性の涙には脂が少なく涙が蒸発しやすいので、ドライアイが起こりやすいと考えられています。

2. ドライアイで起こりやすい症状について

「目の乾き」はドライアイの代表的な症状ですが、その他にも目の不快感といわれるさまざまな症状が起こります。また、目の不快感だけではなく「ものの見え方」にも悪影響を与えることがあります。

目の症状

ドライアイは涙の不足や機能が不十分なことによって目にさまざまな症状が現れます。代表的な症状は次のものになります。

  • 目が疲れやすい
  • 目に不快感がある
  • 目が重たい感じがする
  • 目が痛い
  • 目がかゆい
  • 目が赤い
  • 理由なく涙がでることがある
  • 目やにが出る

ドライアイ以外の原因でも上記のような症状は現れることがありますが、ここに該当する項目が多いほどドライアイが症状の原因である可能性が高くなります。

視野に現れる症状

ドライアイは「ものの見え方」にも悪影響を及ぼすことがあります。涙が目の表面に作り出す薄い層にはいくつか働きがあり、その1つにカメラのレンズのようにものをくっきりと見るための役割があります。涙が不足するとその役割が不十分になり、ものがかすんでみえるようになります。また、ドライアイでは涙の量が十分でもつくりだされる層が凸凹になることがあり、凸凹によって光が乱反射して光を眩しく感じやすくなることもあります。

3. ドライアイの原因について

ドライアイは日常生活の中の習慣や病気、薬の副作用によって起こります。原因をはっきりさせると、それを避けたり治療したりすることで症状の軽減が期待できます。

日常生活にある要因

日常生活の中にはドライアイの要因になるものがあります。

  • コンタクトレンズの使用
  • 長時間の集中作業:パソコン・スマートフォンの使用や車の運転
  • 乾燥した環境

これらの要因を避けたり上手に付き合ったりすることでドライアイの症状を和らげることができます。詳しい内容や対処の仕方は「ドライアイの原因」や「ドライアイの人が知っておくといいこと」で説明しているので参考にしてください。

ドライアイを起こす病気

ドライアイを起こす病気はいくつか知られていますが、「目の病気」と「全身に影響を及ぼす病気」の2つに大別することができます。

■目の病気

目の病気のうち「結膜弛緩症」と「マイボーム腺機能不全」の2つがドライアイを起こすことで知られています。それぞれの病気の詳しい情報は「ドライアイの原因」を参考にしてください。

■全身に影響を及ぼす病気

全身に影響を及ぼす病気の1つの症状としてドライアイが現れることがあります。ドライアイを起こす病気として知られているのが「シェーグレン症候群」と「パーキンソン病」、「糖尿病」です。

特にシェーグレン症候群は涙腺(涙が出る場所)が破壊されることによってドライアイが起こるので、涙がほとんど出なくなることも珍しくはありません。他の原因で起こるドライアイに比べて症状が強く出ることが知られています。

ドライアイを起こす薬

ドライアイは他の病気の治療で飲んでいる薬の副作用として起こることもあります。

次のような薬がドライアイの原因となりえます。

【ドライアイの原因になる薬】

  • ヒスタミン
  • 抗コリン薬 
  • 女性ホルモン 
  • 不整脈
  • 防腐剤入りの点眼薬

ドライアイで受診した場合は服用している薬をお医者さんに伝えるようにしてください。仮にドライアイの原因が薬の副作用であった場合は、原因となった薬を変更したり中止したりするだけで症状の改善が望めます。

4. ドライアイが疑われるときの検査について

ドライアイが疑われるときには問診や身体診察、涙の状態(量や安定性)について調べます。

【ドライアイが疑われるときの検査】

  • 問診
  • 身体診察
  • シルマー検査
  • BUT(涙液層破壊時間)検査

それぞれについて簡単に説明します。

より詳しい情報については「ドライアイの検査」も参考にしてください。

問診

問診は身体の状態や患者さんの背景を確認するために行なわれます。ドライアイの診断は症状をもとにして行なわれるので、お医者さんに困っている症状をもれなく伝えるようにしてください。また、ドライアイの原因も問診で推測されます。生活習慣や服用している薬などの質問を受けるので、受診前に準備をしておくと正確に伝えられます。

身体診察

お医者さんが患者さんの身体をくまなく調べることです。

ドライアイが疑われる人にはスリットランプ(細隙灯顕微鏡)という専用の機械を使って目の状態が調べられます。スリットランプでは目の表面の状態や涙の広がり方やたまり方を詳しく観察することができます。より詳しく調べるためにフルオレセインという薬を点眼することもあります。

シルマー試験

涙の量を計る検査のことです。ろ紙をまぶたにはさんで濡れた量から涙の量が推定されます。検査は5分間程度の時間がかかります。

BUT(涙液層破壊時間)検査

涙が乾くまでの時間を測定する検査です。正常な人であれば10秒以内に涙が乾くことはありません。一方でドライアイの人は5秒以内に涙が乾き、これはドライアイの診断基準にも用いられています。涙の量が十分でもその涙が乾きやすい性質であればドライアイの症状が現れます。BUT検査からは涙の性質を推測することができます。

ドライアイの診断基準

ドライアイ研究会によると「ドライアイの診断基準」は次のものです。

  • BUT検査で5秒以下かつ自覚症状(目不快感または視機能異常)を有する

BUT検査とともに自覚症状が重視されるので、お医者さんに症状を正確に伝えることが大切です。症状についての詳しい情報は「ドライアイの症状」も参考にしてください。

5. ドライアイの治療について

ドライアイの治療は目薬を使って症状を和らげることが中心になります。症状が重い人には手術(涙点プラグ挿入術)が行なわれることもあります。それぞれの治療について説明します。

目薬(点眼薬)

ドライアイの治療は点眼薬が中心になります。ドライアイの点眼薬は次の4つがあります。

【ドライアイの点眼薬】

  • 人工涙液(人工涙液マイティア®️)
  • ヒアルロン酸ナトリウム点眼液(ヒアレイン®️)
  • レバミピド点眼液(ムコスタ®️点眼液)
  • ジクアホソルナトリウム点眼液(ジクアス®️)

点眼液には特徴があり、ドライアイの症状の程度やコンタクトレンズの使用の有無、起こりうる副作用などを鑑みて選ばれます。このなかでは人工涙液は市販薬として手にすることができます。点眼薬についての詳しい内容は「ドライアイの治療」を参考にしてください。

手術(涙点プラグ挿入術):涙の出口を塞ぐ治療

目薬などの治療でドライアイの症状が改善しない場合には、手術が検討されます。涙点プラグ挿入術という方法です。涙点プラグ挿入術は涙が出ていく涙点という場所にプラグを用いて蓋をします。涙点が塞がれると、涙が目に溜まりやすくなり、ドライアイの症状が軽減します。涙点プラグ挿入術の詳しい情報は「ドライアイの手術」で説明しているので参考にしてください。

【参考文献】

・UpToDate Dry eyes Author : Roni M Shtein, MD This topic last updated: May 02, 2018.

ドライアイ研究会「ドライアイの定義と診断基準」