どらいあい(かんせいかくけつまくえん、るいえきげんしょうしょう)
ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)
涙が減り、目の表面が乾くことで様々な症状を引き起こしてしまう状態
4人の医師がチェック 116回の改訂 最終更新: 2021.06.18

ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)の検査について:ドライアイチェックなど

ドライアイが疑われる人には問診や身体診察に加えて涙の量や渇きやすさを調べる検査が行なわれます。ドライアイの診断基準とともに合わせて説明します。

1. 問診

問診は身体の状態や患者さんの背景を確認するために行なわれます。患者さんは症状や心配していることをお医者さんに伝えます。一方で、お医者さんからは持病や内服中の薬などの質問を受けます。ドライアイが疑われる場合の問診に用いられる質問は次のものです。

  • どんな症状を自覚するか 
  • 症状はいつからあるのか 
  • 症状は1日にうち強くなったり弱くなったりするか 
  • 他に気になる症状はあるか*
  • パソコンやテレビ、スマートフォンはどれくらいの時間使うか
  • 持病はあるか
  • 定期的に飲んでいる薬はあるか*

問診からはドライアイの症状や原因になりうる生活習慣や持病、服用している薬などが確認できます。特に大切な*印の問診については次で個別に説明します。

他に気になる症状はあるか

全身の病気がドライアイを起こすことがあります。シェーグレン症候群という病気が代表的です。例えば、シェーグレン症候群がドライアイの原因になっている場合は、シェーグレン症候群の治療も行なわなければなりません。 ドライアイ以外の症状は、原因となる別の病気が隠れている可能性を考えます。シェーグレン症候群を例にすると、口の渇きや関節痛、疲労感などその症状はさまざまです。ドライアイには治療が必要な別の病気が隠れている場合もあります。気になる症状は自分で関係がないと判断することなくもらさずに伝えるようにしてください。

定期的に飲んでいる薬はあるか

定期的に飲んでいる薬がドライアイの原因になることがあります。

薬が原因の場合は薬を別のものに変更するとドライアイが良くなることもあるので、定期的に飲んでいる薬はお医者さんに伝えるようにしてください。とはいえ、薬をたくさん飲んでいると、それぞれの薬の種類を全て覚えておくのは簡単ではありません。飲んでいる薬を上手に伝える方法として、「お薬手帳」を活用するとよいです。お薬手帳には「薬の種類」や「薬の開始時期」などが記載されているので、手帳をみせるだけでもらさずに飲んでいる薬の情報を伝えることができます。また、自身で購入して使用している薬や目薬などもあれば、忘れずに伝えてください。

2. 身体診察

身体診察はお医者さんが患者さんの身体をくまなく観察することです。ドライアイが疑われる場合には目の状態が詳しく調べられます。具体的にはスリットランプ(細隙灯顕微鏡)という拡大鏡を用いて、目の表面の状態が詳しく観察されます。より詳しく調べるためにフルオレセインなどの薬を点眼することもあります。フルオレセインを点眼すると、目での涙の広がり方やたまり方などがよくわかり、目(角膜や結膜)の傷の有無も同時に調べることできます。

3. シルマー検査:涙の量を調べる検査

シルマー検査は涙の量を調べる検査のことです。具体的には検査のための専用のろ紙をの間に5分間挟み、ろ紙の濡れた程度から涙の量が推測されます。

4. BUT(涙液層破壊時間)検査

BUT検査は涙が乾くまでの時間を測定する検査のことです。正常な人では涙が乾くまでに10秒以上の時間がかかります。5秒以下で乾いてしまった場合には涙の層の機能に異常ありと診断されます。

BUT検査の結果は後述するドライアイの診断基準にも用いられます。シルマーテストで涙の量が十分だと診断されても、BUT検査で異常だと診断されると、目の症状はドライアイによって起こっていると判断されます。涙の機能を図ることができるBUT検査はドライアイの診断において重要な検査です。

5. ドライアイの診断基準

ドライアイ研究会によると「ドライアイの診断基準」は次のものです。

  • BUT検査で5秒以下かつ自覚症状(目不快感または視機能異常)を有する

ドライアイの症状については後述する「ドライアイチェック」や「ドライアイの症状」などを参考にしてください。

6. ドライアイチェック

ドライアイかどうか知りたいけれど、どうしても病院に行く時間がとれないという人もいると思います。ここではドライアイかどうかの目安となる「ドライアイチェック」について説明します。

次の項目のうち当てはまる数が多いほどドライアイの可能性が高いと言えます。

  • 目が疲れやすい
  • 目が乾いた感じがする
  • 目に不快感がある
  • 目が重たい感じがする
  • 目が痛い
  • 目がかゆい
  • 目が赤い
  • 理由なく涙がでることがある
  • 目やにがでる
  • 光を眩しく感じやすい
  • ものがかすんで見える

ドライアイチェックは病院にいかずとも自力でドライアイかどうかのあたりをつけることができますが、目を詳しく調べているわけではありません。ドライアイチェックで当てはまるものが多く、より疑いが強くなった場合は眼科を受診して詳しく調べてもらうようにしてください。

【参考文献】

・UpToDate Dry eyes Author : Roni M Shtein, MD This topic last updated: May 02, 2018.

ドライアイ研究会「ドライアイの定義と診断基準」