半月板損傷の基礎知識
POINT 半月板損傷とは
膝関節のクッションの1つである半月板が損傷してしまった状態のことです。スポーツ外傷や加齢が主な原因になります。半月板が損傷すると、痛みや膝の可動制限(膝を伸ばしづらくなること)、歩行障害(歩けなくなること)といった症状が現れます。診断には、診察に加えて、レントゲン検査やMRI検査が行われ、同時に骨折の有無も確認されます。半月板の損傷に対する治療には手術(ダメージを受けた部分を取り除いたり、縫い合わせたりする)や保存的治療、リハビリテーションがあります。半月板損傷が心配な人は整形外科を受診してください。
半月板損傷について
- 膝にある関節のクッション(
半月板 )が損傷した状態 - 以下のことが原因となって起きる
- スポーツなどのけが:特に曲げた状態の膝をひねる方向に力が加わった時に起きやすい
- 加齢:加齢によって半月板が硬くなることによる。10歳未満では特に少ない
- 病気は以下の2つに分けられる
- 内側半月板損傷:膝の内側の半月板の損傷
- 外側半月板損傷:膝の外側の半月板の損傷
半月板損傷の症状
- 膝の痛み
- 膝を伸ばすときに引っかかる
- 歩けない
- 膝に水や血が溜まる
半月板損傷の検査・診断
- 画像検査:骨折をともなっていないかを調べる
レントゲン 検査MRI 検査
- 確定診断に必要な検査
関節鏡 :膝関節の状態を調べる- 膝を小さく切って
カメラ を入れて関節の中を見る
- 膝を小さく切って
半月板損傷の治療法
- 軽症の場合に行う治療
- 装具、テーピングで固定
- リハビリテーション
- 重症の場合は手術を行う
- 切除術:ダメージを受けた部分を取り除く手術
縫合 術:ダメージを受けた部分を縫い合わせる手術- 通常は
関節鏡 を使って行う
- 予防のためには以下が重要
- 太ももの筋肉の強化
- 習慣的に行うスポーツではフォームのチェック:運動するときに膝がぶれないような姿勢を練習する
半月板損傷の経過と病院探しのポイント
半月板損傷が心配な方
半月板損傷は、膝にある2つの半月板(内側と外側の半月板)に裂け目が生じてしまった状態で、サッカーやラグビーなどのスポーツでしばしば生じる外傷です。膝をひねったりぶつけたりした後から痛みと腫れがある場合には、半月板損傷の可能性があります。それ以外に似た症状を来たす疾患としては膝の靱帯の損傷や、大腿骨、脛骨、腓骨の骨折などがあり、症状だけからご自身で半月板損傷と診断するのは必ずしも容易ではありません。
実際に医療機関を受診された後ですが、半月板損傷の診断のためには、診察とレントゲンでまずある程度の当たりをつけます。その後必要に応じてMRIの検査を行います。レントゲンそのものには半月板は写りませんが、骨折も併発していることがありますのでレントゲンはまずはじめに必ず行われる検査です。
ご自身の症状が半月板損傷でないかと心配になった時、まずは整形外科のクリニックを受診されることをお勧めします。もし半月板損傷の疑いが強く、また手術が必要そうな場合には、レントゲンやその他行われた診察、検査の結果をまとめた診療情報提供書(紹介状)とともに、手術可能な病院を紹介してくれます。
半月板損傷でお困りの方
半月板損傷の場合、多くは痛み止めとリハビリテーションで症状の改善を目指します。炎症を抑える薬を内服したり関節に注射したりします。また、膝に溜まった水を抜くことや膝周囲の筋力トレーニングも行われます。
これで治らない場合には手術を検討します。スポーツを専門で行っていて早期復帰がどうしても必要な方の場合にも手術を行いますが、手術の方が確実に治る、手術をすれば必ず完治して元通りになる、というわけではありませんので注意が必要です。
手術を行わない保存療法であっても(仮に治りが悪くその後に手術が必要になったとしても)大半の方はリハビリテーションを経て、元通りスポーツに復帰することが可能です。ただし再発することがありますので、正しいフォームや筋力トレーニングを含むリハビリテーションの指導を受けられて、信頼できる主治医を見つけることが大切です。