2015.07.23 | ニュース

再生しないはずの半月板損傷の自然修復を助ける、コラーゲン半月板インプラントの効果とは

ドイツ43人の治療例

from Arthroscopy : the journal of arthroscopic & related surgery : official publication of the Arthroscopy Association of North America and the International Arthroscopy Association

再生しないはずの半月板損傷の自然修復を助ける、コラーゲン半月板インプラントの効果とはの写真

膝関節にある半月板という柔らかい組織は、スポーツによるけがなどでダメージを受けると、元に戻すことは難しいとされています。傷ついた関節に人工素材を移植する治療法がドイツの施設で試され、治療効果を示したことが報告されました。

◆若い患者を治療

研究班は、ドイツのスポーツ医学施設で、半月板損傷のある患者に「コラーゲン半月板インプラント」による治療を行いました。

コラーゲン半月板インプラントは、コラーゲンで作った人工素材です。半月板の場所に移植することで、傷ついた組織を修復する細胞の足がかりとなり、しだいに吸収されるとともに新しい組織に置き換わっていくことで、関節のダメージが進むことを抑える効果が期待されています。

研究班は次の患者に対する治療効果を調べました。

30.1±12.0歳の患者43人が、部分的外側半月板損傷に対するコラーゲン半月板インプラントの治療の24か月後に臨床評価を受けた[...]。

43人にコラーゲン半月板インプラントの治療が行われ、その後の経過が評価されました。

 

◆95%が「満足」

次の結果が得られました。

手術前から比べて、24.2±1.9か月のフォローアップ後の最終評価ではすべての臨床スコアが有意に改善した。

最終フォローアップでは、58%の患者が受傷前に近い活動レベルを報告し、また95%の患者が治療に満足したと報告した。

骨格との関係が知られているかいないかを問わない、深刻な有害事象、たとえば痛み、腫脹、骨再吸収などは、6%の患者について報告され、コラーゲン半月板インプラントの摘出、デブリードマン、滑膜切除術の結果に至った。

調査に対して、治療を受けた人の58%が、けがをする前に近い活動ができるようになったと答え、95%が、治療に満足したと答えました

研究班は「外側コラーゲン半月板インプラント骨格は、適切に選ばれた患者に対して、修復できない外側半月板損傷および半月板摘出術後症候群の両方に対する治療として、有効かつ安全な処置の候補として考えうるかもしれない」と結論しています。

 

半月板の治療は難しく、新しい治療法が模索されています。この技術が、新しい治療法のための手掛かりになるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Two-Year Clinical Results of Lateral Collagen Meniscus Implant: A Multicenter Study.

Arthroscopy. 2015 Jul

 

[PMID: 25935606]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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