はんげつばんそんしょう
半月板損傷
半月板(膝関節内にありクッションの役割がある)が損傷した状態
4人の医師がチェック 110回の改訂 最終更新: 2022.04.26

半月板損傷の検査について:マクマレーテストやMRI検査など

「膝の痛み」「動かしにくさ」といった症状から半月板損傷が疑われる人には診察や検査が行われます。診察や検査からは半月板損傷の有無や程度がわかり、治療法を選ぶ際の参考になったり全治の推測に役立ちます。このページでは診察や検査の中身について詳しく説明していきます。

1. 問診

問診とは患者さんとお医者さんとが対話をして行う診察方法のことです。その目的は症状や身体の状況を把握したり、患者さんがもつ背景の確認などです。患者さんが困っている症状を話し、その内容に基づいてお医者さんが質問します。

【半月板損傷が疑われる人への質問例】

  • 症状について
    • いつ痛みを自覚したか(痛みが現れた状況)
    • 痛みはどの程度か(全く痛くないを0、考えられる最大の痛みを10とした時にどのくらいの痛みか)
    • 膝はどの程度動かせるか
  • 患者さんの背景について
    • どんなスポーツをしているか
    • 現在治療している病気の有無
    • 過去に治療している病気の有無
    • 定期的に服用している薬の有無

膝の痛みや動かしづらさの原因となるのは半月板損傷だけではありません。骨折や靭帯損傷でも起こりえます。お医者さんは痛みが起こった状況をもとにして原因を推測するので、具体的に説明してください。例えば、「バスケットボールをしているときに相手選手と膝がぶつかったときから」ですとか、「階段を踏み外して転んだときから」といったように説明すると良いです。 検査や治療を進めていくうえで、過去に経験した病気や持病を伝えることも重要です。持病によっては検査や治療ができない場合があるので、もらさず伝えるようにしてください。また、定期的に服用している薬については「お薬手帳」を活用すると上手に伝えることができるので、受診の際には持参するとよいです。

2. 身体診察:マクマレーテストなど

身体診察とはお医者さんが患者さんの身体を直接くまなく調べる診察方法のことを指します。問診に続いて行われることが多く、方法にはいくつか種類があります。例えば、身体を観察することは視診という方法ですし、身体を直接触れて調べることは触診という方法です。半月板損傷が疑われる人の診察では膝を詳しく調べます。膝の腫れ具合、内出血の有無、痛み・関節の動きなどが確認されます。 診察方法の中でよく知られたものとして、マクマレーテストという方法があります。これは患者さんの足の裏と膝をお医者さんが持って、膝を曲げた状態で捻ったり、伸ばしたりして調べる方法です。膝から音がしたり痛みが強くなるとマクマレーテストが陽性と判断され、半月板が損傷している可能性が高くなると考えられます。このように説明すると、簡単そうなので試してみたくなるかもしれません。しかし、専門的な指導を受けていない人が行うと、誤って半月板の損傷を悪化させる恐れがあるのでやるべきではありません。膝を痛めてしまったら、速やかに受診することを優先してください。

3. 画像検査:レントゲン検査、MRI検査

画像検査とは身体の中の状況を画像化する検査のことを指します。膝の状態を客観的に評価することができ、治療法を決めたり、全治までの期間を推定するのに役立ちます。画像検査には種類がいくつかありますが、半月板損傷が疑われる人にはX線検査MRI検査がよく行われます。

X線検査(レントゲン検査)

X線は放射線の一種で、身体の中を通過する性質があり、身体の組織ごとに通り方(透過率)が異なります。この透過率の違いを利用して体内の様子を画像化するのがX線検査です。具体的にいうと、骨は内臓に比べてX線を通しづらいので白く映し出され、内臓は黒く映し出されます。 短時間で行えるうえ、被ばく量が少なくてすむので、X線検査は医療現場で重宝されています。しかしながら、半月板を詳しく調べるには精度が物足りない側面があります。半月板は骨に比べてレントゲン検査では見づらいのです。ですので、レントゲン検査の主な目的は、膝の骨に異常が起こっているかどうかがを調べることになり、半月板の評価については次で述べるMRI検査で行うことになります。

MRI検査

放射線を利用するレントゲン検査に対して、MRI検査では磁気を利用します。放射線を使わないので、被ばくの心配はありません。 MRI検査ではレントゲン検査で捉えることが難しい半月板を明瞭に映し出すことができます。半月板の損傷がどの程度なのかがわかるので、適切な手術の方法を選んだり、完治までの期間を推定するのに役立ちます。 なお、ペースメーカーや身体の中に金属を埋め込んでいる人は行えない場合があります。該当するには検査の前に必ず伝えてください。MRI検査についてより詳しく知りたい人は「こちらのコラム」も参考にしてください。

参考文献

Dennis A Cardone, Bret C Jacobs, Meniscal injury of the knee. UpToDate. 最終更新日2020.7.14