尿道炎は男性の性病?症状・原因・検査・治療など
尿道炎は主に男性の性病として知られている病気です。ここでは尿道炎の症状や原因、検査、治療、加えて再発予防の方法などについて解説します。
1. 尿道から膿がでる! これって尿道炎?

尿道炎は尿道から
尿道炎は主に男性に起こりやすい病気で女性には少ない病気です。
2. 尿道炎の症状:排尿時の痛み、分泌物など
尿道炎の症状は排尿に関する症状が多いです。主な症状は以下のものになります。
- 排尿時の痛み
- 尿道から膿(うみ)や液体がでる:分泌物
- 尿道口の違和感や痛み
特に重要なのが排尿時痛と尿道からの分泌物です。この2つの症状があると医師は性感染症を強く疑います。尿道炎でも症状は原因によって異なります。次に尿道炎の主な原因である淋菌とクラミジアによる症状を比較して解説します。
淋菌性尿道炎とクラミジア尿道炎の症状の比較
尿道炎は淋菌またはクラミジアを原因とすることが多く、症状はそれぞれに特徴があります。症状の違いからどちらが原因となっているかを推測することができます。
| 淋菌性尿道炎 | クラミジア尿道炎 | |
| 排尿時の痛み | 強い | 軽い |
| 尿道からの分泌物の特徴 | 膿性(うみのような) | 透明でさらさらしている |
| 症状の現れ方 | 急激 | ゆっくり |
| 3-7日 | 1-3週間 |
淋菌性尿道炎は排尿時の強い痛みや膿性の分泌物、外尿道口の
クラミジア尿道炎は淋菌性尿道炎と同様に排尿時の痛みなどはありますがその程度は軽いことが多いです。患者さんによっては性器周辺の不快感として訴える人もいます。クラミジア尿道炎の潜伏期間は長く症状もゆっくりと現れます。また尿道からの分泌物は淋菌性とは異なり、透明でサラサラしているのが特徴的です。
同じ性行為で感染する淋菌性尿道炎とクラミジア尿道炎でも症状の特徴が異なります。ただし症状だけでは完全に見分けることはできません。
第一に、淋菌性尿道炎とクラミジア尿道炎では症状の強さは違っても種類は同じです。中間程度の症状が出てどちらが原因か紛らわしく見えることもあります。
第二に、淋菌とクラミジアの両方に感染している可能性も無視できません。両方に感染している場合には、淋菌の症状が早く出てクラミジアの症状は遅れて出てくることがあります。つまり症状だけで判断すると淋菌だけの感染と考えてしまいクラミジアの治療が不十分に終わる可能性があるのです。このために淋菌とクラミジアの2つの感染が起きていないかを確認することは大切です。確認には検査を用います。
3. 尿道炎の原因
尿道炎は尿道に
以下に尿道炎の主な原因をまとめます。
【尿道炎の主な原因】
尿道炎を起こす感染症はほとんどが性行為によってうつるいわゆる性病(性感染症)です。尿道に病原体が感染すると炎症が起きて尿道炎になります。淋菌やクラミジアなどが尿道炎を起こす病原体です。
尿路(尿の流れ道)には結石ができることがあります。尿路結石は尿の成分が固形化したものです。「いし」と呼ばれるものです。結石は腎臓と膀胱(ぼうこう)をつなぐ

がんは周りの組織を破壊して炎症を伴うことがあります。尿道がんができていると炎症のために尿道炎の症状が現れることがあります。尿道がんはまれな病気なので尿道炎の原因となることは少ないのですが、性病の治療をしても症状がよくならない場合などには尿道がんができていないかを調べることがあります。
ライター症候群は、
尿道炎の原因については「尿道炎の原因」でも解説しているのであわせて参考にしてください。
4. 尿道炎の検査
尿道炎の診断には診察や検査を用います。尿道炎の検査では、尿道炎を起こしている原因なども調べることができます。尿道炎の原因を調べることは治療を行う上でも重要です。
【尿道炎の診察や検査】
- 診察
問診 - 身体診察
- 尿検査
- 尿定性検査
- 尿沈渣
- 細菌学的検査
- 塗抹検査
培養検査 - 遺伝子検査(PCR法など)
尿道炎の原因のほとんどは淋菌やクラミジアなど性行為によって感染する病原体です。淋菌やクラミジアによる尿道炎はいわゆる性病です。問診や身体診察によってどのような病原体が原因になっているかを推測することができます。
尿検査では尿の状態を調べます。尿に血液や
細菌学的検査は原因となっている細菌の種類を調べるための検査です。細菌学的検査は用途に合わせていくつかの方法があります。塗抹(とまつ)検査、
尿道炎の検査については「尿道炎の検査」で詳しく解説しています。
5. 尿道炎の治療
尿道炎の治療について解説します。尿道炎のほとんどは、淋菌やクラミジアなどが原因であり、性行為でうつるいわゆる性病です。ここでは淋菌性尿道炎とクラミジア尿道炎の治療について解説します。
淋菌やクラミジアが原因の尿道炎の治療には抗菌薬(
- 淋菌性尿道炎に対する抗菌薬の処方例
- セフェム系抗菌薬
- セフトリアキソン
- セフェム系抗菌薬
- クラミジア尿道炎に対する抗菌薬の処方例
- マクロライド系抗菌薬
- アジスロマイシン
- テトラサイクリン系抗菌薬
- ドキシサイクリン
- ミノサイクリン
- ニューキノロン系抗菌薬
- レボフロキサシン
- マクロライド系抗菌薬
- 淋菌とクラミジアの両方の感染が疑われるときの処方例
- セフェム系抗菌薬とマクロライド系抗菌薬の併用
- セフトリアキソンとアジスロマイシン
- セフェム系抗菌薬とマクロライド系抗菌薬の併用
尿道炎に用いる抗菌薬は「尿道炎の治療」や、抗菌薬治療ガイドの淋菌性尿道炎、クラミジア尿道炎」でも解説しているので参考にしてください。
これらの抗菌薬による治療は注意点を守ることでその効果を十分に得ることができます。しかし注意点を守らないといつまでも治らなかったりします。次に尿道炎の治療を受けるにあたって守って欲しい注意点を解説します。
尿道炎の治療を受ける際の注意点
尿道炎の治療は抗菌薬によって行われますが、注意点がいくつかあります。抗菌薬の効果を最大限に発揮するために参考にしてください。以下がポイントのまとめです。
- 正しい抗菌薬を使うこと
- 治療はパートナーも同時に行う
- 治療期間を守る
- 治療期間は性行為を控える
- 治療期間後の再受診を忘れない
抗菌薬にはたくさんの種類があり、病原体に合わせて適切な抗菌薬を選ぶことがとても大切です。尿道炎は淋菌やクラミジアが原因となることが多いです。淋菌とクラミジアのそれぞれに有効な抗菌薬がありますが、抗菌薬であればなんでも効果がある訳ではありません。
尿道炎になった人の中には、医療機関を受診することへの恥ずかしさなどから、別の病気でもらった薬や個人輸入などで手に入れた薬で治療しようとする人がいます。この行為は治らないばかりか体に害になる可能性もあるので絶対に控えてください。
パートナーの治療も欠かせません。尿道炎のように、性行為が感染の原因になる病気の場合、性行為をする相手(パートナー)もすでに病気にかかっていると考えたほうがよいでしょう。パートナーが感染していると、自分だけ治療してもパートナーから再び病気をもらってしまい、感染が繰り返されることになります。このため、パートナーを治療せずに自分だけ治療した場合は、いつまでたっても病気が治らないことがあります。性行為によって感染が起こる病気は非常に打ち明けにくいことは理解できます。しかし治るためには必要なことです。勇気を出してパートナーに打ち明けてみてください。
治療期間を守ることは治療を確実にするために必要です。尿道炎は抗菌薬で治療を開始すると効果が現れて症状が軽くなります。症状が軽くなったことに油断をして自己判断で治療を終了してしまう人がいます。つまり抗菌薬を飲まなくなるのです。抗菌薬の処方期間は、治療に必要な期間を実際に検証したうえで決められています。必要な期間に満たない治療は不十分です。治療が不十分だと、菌が再び増殖して症状が悪化する原因にもなります。さらに、不十分な治療をすると、抗菌薬に対して抵抗できる
しっかり治して耐性菌を作らないためには、症状がよくなっても医師や薬剤師から説明された治療期間を守り、処方された抗菌薬を最後まで飲み切るようにしてください。
治療中の性行為は感染を繰り返す原因になることがあります。薬の自己判断による中止と同じように、症状が改善したから治ったと考えて性行為をしてしまう人がいます。しかし症状が軽くなっても病原体は残っていることがあります。尿道炎は治療後に原因となった細菌が体にいなくなったことをもって治療が終了します。つまり完治です。尿道炎が完治して医師から許可がでるまでは性行為はしないようにしてください。ここで言う性行為とはオーラルセックスなどあらゆる性行為を指します。
尿道炎の治療後には再受診が予定されます。尿道炎は抗菌薬による高い効果が期待できます。そのため治療期間を終えるころには症状がなくなっている人がほとんどだと思います。では、症状がないのに治療後に再受診が必要なのはなぜなのでしょうか。
再受診の目的は、治療後に細菌が生き残っていないかを調べるためです。治ったと自分では思っていても細菌が再び増殖してまた症状がぶり返すことはありえる話です。尿道炎の治療期間は症状がなくなるまでではなく、再受診して細菌が最終的にいなくなったことを確認するまでです。悲しい思いを2度としないために再受診での検査結果がでるまでを治療と考えて頑張りましょう。
6. 尿道炎を再発しないために
尿道炎を再発しないためにはどんなことに気をつければいいのでしょうか。尿道炎を再発しないための注意点について考えてみます。
尿道炎の再発には2つのパターンが考えられます。
- 治療が不十分なことによる再発
- 再び感染してしまうことによる再発
それぞれのパターンについて、再発が起こる原因と予防策を解説します。
治療が不十分なことによる再発
尿道炎の治療が不十分で病原体が体の中に残っている場合、病原体が再び増殖して尿道炎の症状が現れることがあります。つまり再発です。尿道炎の多くは淋菌やクラミジアを原因としています。淋菌やクラミジアの感染は抗菌薬によって治療できます。抗菌薬の効果は高いので、治療を開始してしばらくすると症状がよくなることもあります。すると患者さんの中には、症状がよくなったので抗菌薬が残っているのに自己判断で治療を終了してしまう人がいます。これは望ましくありません。
抗菌薬の投与期間は治療に必要な期間です。治療期間を守らなければ効果が不十分に終わり再発の可能性を残すことがあります。治療期間を守ることには完治の確率を高くする意味があります。症状がなくなっても説明された期間は抗菌薬の内服を継続しましょう。
再び感染してしまうことによる再発
治療をして尿道炎が治ったにも関わらず尿道炎を再発してしまうことがあります。再び感染することも再発の原因になります。再感染には以下の理由が考えられます。
- 未治療のパートナーから感染する
- コンドームを用いない性行為によって再び感染する
尿道炎の治療をするにあたってはパートナーの治療も大切です。
尿道炎の原因になる淋菌やクラミジアなどは性行為によって感染します。性行為が感染の原因になる病気の場合、性行為をするパートナーもすでに病気にかかっていると考えたほうがよいでしょう。パートナーを自分とともに治療しないと性行為によって再び感染が起きて尿道炎を再発してしまうことはあり得る話です。性行為による病気は打ち明けにくいですが、パートナーに尿道炎にかかってしまったことを伝えて同時に治療をすることが、再発を防ぐことにつながります。
ほかにも、一度尿道炎になるともう2度とかかることはないと勘違いをして、治ったあとにコンドームを付けない性行為をする人がいます。尿道炎の原因になる淋菌やクラミジアは何度も感染することもあります。尿道炎になった後はコンドームを用いた安全な性行為を行うことが大切です。