さんせんべんへいさふぜんしょう(さんせんべんぎゃくりゅうしょう)
三尖弁閉鎖不全症(三尖弁逆流症)
右心房と右心室の間にある三尖弁がしっかり閉じなくなることで、本来は起こらないはずの右心室から右心房への血液の逆流が起こる状態
9人の医師がチェック 123回の改訂 最終更新: 2017.12.06

三尖弁閉鎖不全症(三尖弁逆流症)の基礎知識

POINT 三尖弁閉鎖不全症(三尖弁逆流症)とは

三尖弁閉鎖不全症は血液逆流防止のために存在する三尖弁という弁がうまく機能しなくなった病気です。一部の血液が右心室から肺動脈に行かずに右心房の方に逆流します。主な原因はリウマチ熱・先天性心疾患・感染性心内膜炎・心筋梗塞・肺高血圧症などになります。主な症状は下肢のむくみ・黄疸などになります。 症状や身体所見に加えて、心臓エコー検査で診断します。根治的な治療は手術になりますが、手術をうけるほど重症でない場合は薬物治療を行います。三尖弁閉鎖不全症が心配な人や治療したい人は、循環器内科や心臓血管外科を受診して下さい。

三尖弁閉鎖不全症(三尖弁逆流症)について

  • 心臓の右心房右心室の間にある三尖弁がしっかり閉じなくなった状態
  • 右心室から右心房へ血液が逆流することで、心臓に負担がかかってしまう
  • 一次性二次性に分けられる
    • 一次性:弁そのものの異常
    • 二次性:他の病気が原因で弁に異常が出る
  • 一次性の原因
  • 二次性の原因
    • 肺高血圧症:右心室に負担がかかり拡大することで弁が閉まらなくなる
    • 心筋梗塞:右心室がダメージを受けると、弁がうまく動かなくなってしまう

三尖弁閉鎖不全症(三尖弁逆流症)の症状

  • 一般的に進行するまで自覚症状が無い場合が多い
  • 進行すると以下のような右心不全症状が起きる
    • お腹の不快感:腹水などが原因で起こる
    • 足のむくみ
    • 黄疸(肝臓内の血流がうっ滞することで肝臓に負担がかかる)
  • 進行すると心房細動などの不整脈合併することがある

三尖弁閉鎖不全症(三尖弁逆流症)の検査・診断

  • 主な検査
    • 聴診:心臓が収縮する時に特徴的な心音が聞こえる
    • 心臓超音波検査
      ・心臓の動きを調べる
      三尖弁の形や心臓の形などを調べる
      ・血液の逆流の程度を調べる
    • 心電図:心臓を動かす電気信号に異常がないかを調べる
  • 必要に応じて心臓カテーテル検査を行い弁や心臓の動きなどを詳細に調べる
    • 心臓の手術の前には必ず行う

三尖弁閉鎖不全症(三尖弁逆流症)の治療法

  • 心不全症状や心房細動があれば速やかに薬物治療を行う
    • 利尿薬:浮腫腹水など体液貯留を減らす
    • 抗凝固薬心房細動が原因となる脳梗塞(心原性脳塞栓症)を予防する
    • β遮断薬、カルシウムチャネル拮抗薬:心房細動に対して脈を抑える治療を行う
  • 以下のような場合は手術による治療を検討する
    • 症状がある場合
    • 僧帽弁狭窄症僧帽弁閉鎖不全症もあり、僧帽弁の手術と同時に行うことが可能な場合 
    • 三尖弁の逆流が中等度異常の場合
    • 三尖弁の逆流が軽度だとしても三尖弁の周り(弁輪)が拡がってしまっている場合
  • 手術には2種類の方法がある
    • 弁輪縫縮術(べんりんほうしゅくじゅつ):弁を直接縫って、きちんと閉じるようにする手術
    • 弁置換術:人工弁に置き換える手術

三尖弁閉鎖不全症(三尖弁逆流症)の経過と病院探しのポイント

三尖弁閉鎖不全症(三尖弁逆流症)が心配な方

三尖弁閉鎖不全症によって心不全が起こると、息切れや全身のむくみといったような症状がみられます。

上記のような症状に該当してご心配な方は、まずはかかりつけ医があればそちらを、そして特にかかりつけの医療機関がない場合には循環器内科または心臓血管外科のある病院での受診をお勧めします。心臓血管外科と同様の診療科のことを胸部外科、血管外科、心臓外科と呼んでいる病院もあります。三尖弁閉鎖不全症三尖弁逆流症)を主に診療する専門医は、循環器専門医、心臓血管外科専門医です。内科を受診するか外科を受診するかは病気の重症度や時期によって変わってきますので、詳しくは後述します。三尖弁閉鎖不全症は心臓の弁膜症と呼ばれる病気の一種ですから、弁膜症外来のある病院やハートセンターを設けている病院も、専門性が高く高度な医療を提供していると言えます。

三尖弁閉鎖不全症の診断は、心エコーで行います。三尖弁閉鎖不全症があるかどうかの診断や、ある程度重症度の検討をつけるだけであれば、クリニックを含め、心エコーの機械がある医療機関ならばどこでも行うことができます。細かな重症度の判断や、三尖弁閉鎖不全症以外に心臓の病気が重なっていないかどうかを判断するためには、循環器内科、または心臓血管外科のある病院で入院して検査を行います。ここまで本格的な検査を行うのはある程度以上の重症度の場合になりますが、重症の三尖弁閉鎖不全症心不全につながって命に関わることがあるため、大切な検査です。心臓のカテーテル検査や、経食道エコーと呼ばれる胃カメラのようなエコー検査、また、医師の立ち会いの下で軽い運動をして、心臓に負荷をかけた時に心臓の働きがどうなるかといったことを調べます。

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三尖弁閉鎖不全症(三尖弁逆流症)でお困りの方

三尖弁閉鎖不全症の重症度によって治療が大きく変わります。軽症で、定期的に様子を診る方針で良いのであればクリニックへの通院で診療が可能ですし、重症で本格的な治療を考慮しなければならない場合には、心臓手術が行える病院を選ぶことになります。この場合、三尖弁閉鎖不全症の心臓手術は難易度が高い治療であるため、手術件数が少なすぎないことは、病院を選ぶ上で参考になる基準の一つです。

重症の場合は、三尖弁閉鎖不全症の根本治療のためには心臓手術が必要です。心臓血管外科に入院の上で手術を行い、手術後は ICU (intensive care unit) と呼ばれる集中治療室に入室することになります。

三尖弁閉鎖不全症であっても手術が必要ないような場合には、定期的に通院して心エコーや心電図といった検査を受けながら、症状が悪化しないか様子を見ていくことになります。三尖弁閉鎖不全症については、循環器内科や心臓血管外科のクリニックへ通院することが多いでしょう。長期的な通院が必要となりますので、主治医との相性も大事な判断基準の一つです。

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