へんけいせいこかんせつしょう
変形性股関節症
何らかの原因で股関節の軟骨が擦り減ったり変形することで、股関節の骨が破壊されたり変形した状態
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最終更新: 2024.06.28
変形性股関節症の基礎知識
POINT 変形性股関節症とは
病気や発育障害などが原因で股関節に変形や痛みなどが生じた状態です。女性に多く起こります。一方で、近年は高齢化が進み、特に明らかな原因となる病気や発達障害がなくても、変形性股関節症を発症する人も増えてきていると考えられています。症状は、歩き始めや立ち上がりの際、股関節(脚の付け根)に痛みを感じます。重症になると痛みが強くなり、じっとしていたり寝ている際にも痛みます。診察やレントゲン(X線)検査などで診断しますが、必要に応じてCT検査やMRI検査も行われます。治療はまず股関節の負担を減らします。例えば、肥満がある人はダイエットが有効ですし、杖の使用も股関節の負担を和らげます。痛みが強い時には鎮痛剤も使用します。足の筋力低下を予防したり強化することも重要で、水中歩行などの股関節に負担の少ないリハビリテーションが推奨されます。症状が強い場合には手術を行うこともあります。変形性股関節症が心配な方や治療したい方は整形外科を受診してください。
変形性股関節症について
- 何らかの原因で股関節の
軟骨 が擦り減ったり変形することで、股関節の骨が破壊されたり変形した状態 一次性 と二次性 に分けられる- 頻度
- 高齢者の約5%程度にみられる
- 女性に多い(男性の約3倍)
- 40-50歳代以降でなりやすい
- 血縁者に遺伝する場合もある
変形性股関節症の症状
- 主な
症状 - 股関節の痛み(特に立ち上がりや歩き始めの痛み)
- 股関節の可動域制限(股関節が曲がらなくなる)
- 足の爪切りがやりづらい・靴下が履きにくい・和式トイレが使いにくい・正座が出来ないなど
- 症状がひどくなると寝ていても痛みが出たり、歩けなくなったりする
変形性股関節症の検査・診断
- 主な検査
レントゲン (X線 )検査:骨の様子や、関節が狭くなっているかを調べる
- レントゲンで十分な情報が得られない場合には
CT 検査やMRI 検査でより詳しく調べることがある
変形性股関節症の治療法
- まずは
保存的治療 を行う- ダイエット(減量):体重を減らすことで股関節への負担を減らす
NSAIDs :痛み止めの薬- 運動療法(筋力トレーニング、プールでの運動など)
- 股関節に負担をかけすぎると逆効果なので、専門家の指導のもと行う
症状 が強く、保存的治療での対応が困難であれば手術を行う骨切り術 (寛骨臼移動術):関節の骨が安定するよう形を整える- 人工股関節手術:骨の変形が激しく、骨切り術で対応出来ない場合は人工の骨を入れる
- どのタイミングでどの治療法を行うかは施設によって異なる
- 年齢を判断軸とすると、若年の患者さんには骨切り術、高齢の患者さんには人工関節手術が勧められることが多い
- 進行具合を判断軸とすると、早期の人には骨切り術、進行している人には人工関節手術が勧められることが多い
- 骨切り術を検討する場合、早期に治療する方が治療成績が良いと考えられている
変形性股関節症に関連する治療薬
非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)(内服薬・坐剤・注射剤)
- 体内で炎症などを引きおこす体内物質プロスタグランジンの生成を抑え、炎症や痛みなどを抑え、熱を下げる薬
- 体内で炎症や痛み、熱などを引き起こす物質にプロスタグランジン(PG)がある
- PGは体内でCOXという酵素などの働きによって生成される
- 本剤はCOXを阻害することでPGの生成を抑え、痛みや炎症、熱などを抑える作用をあらわす
- 薬剤によっては喘息患者へ使用できない場合がある
- COX阻害作用により体内の気管支収縮を引きおこす物質が多くなる場合がある
- 気管支収縮がおきやすくなることよって喘息発作がおこる可能性がある