大腿骨頭すべり症の基礎知識
POINT 大腿骨頭すべり症とは
大腿骨頭(太もものつけ付近の部分)の軟骨部分がずれた状態のことです。成長段階にある骨の一部に負担がかかり、骨がずれることが主な原因です。肥満や遺伝が関係していると考えられており、10代の男児に多いです。大腿骨頭すべり症になると疼痛や関節の不安定性、歩行障害(足を引きずって歩く)などの症状が現れます。レントゲン検査やCT検査、MRI検査によって診断が行われ、治療には手術が必要なことが多いです。大腿骨頭辷り(すべり)症が心配な人は整形外科を受診してください。
大腿骨頭すべり症について
- 太もものつけ根にある「大腿骨頭」の
軟骨 部分がずれた状態 - 成長期段階にある骨の一部に負荷がかかり、骨がずれる
- 肥満や遺伝が原因であると言われている
- 10代の男児に多い
- 安定型と不安定型の2つにわけられる
- 安定型:痛みがあり足を引きずるがなんとか歩ける状態
- 不安定型:足がグラグラして歩けない状態
大腿骨頭すべり症の症状
- 足の痛み
- 太もものつけ根に強い痛みを感じる
- 関節の不安定感
- 太もものつけ根の部分がグラグラする感じがある
- 足を引きずる歩き方
大腿骨頭すべり症の検査・診断
- 画像検査:骨のずれの程度や関節の状態などを調べる
レントゲン 検査CT 検査MRI 検査- CT検査ではわからないような骨の具合(
炎症 や骨折など)を調べるために行われることがある
- CT検査ではわからないような骨の具合(
大腿骨頭すべり症の治療法
- 再発しやすいため、手術をすることが多い
- 手術
- スクリュー固定術:安定型のすべり症で行われ、1本のスクリュー(ネジ)を入れて固定する
- 大腿骨転子間部屈曲
骨切り術 :骨の一部を切り取り、太もものつけ根の骨を正しい位置に整復後、プレートとスクリュー(ネジ)を使って固定する
- 手術後、手術をした足に体重をかけてはいけない時期がある
- 骨が丈夫になった時に手術で入れたプレートやスクリュー(ネジ)を取る手術を受ける
- 重症の場合、手術をしても骨の変形が残ることがある
大腿骨頭すべり症の経過と病院探しのポイント
大腿骨頭すべり症が心配な方
大腿骨頭すべり症では、太ももの付け根の痛み・グラグラする不安定感・足を引きずる歩き方が特徴的です。肥満や遺伝が原因であると言われており、10代の男児に多く見られます。
ご自身が大腿骨頭すべり症ではないかと心配になった時、最初に受診するのは整形外科の病院やクリニックが適しています。整形外科専門医という資格があり、これらの医師がいるところだと安心ですが、かかりつけの医師がいるようであれば、まずその医師に相談することが大切です。必要があれば診療情報提供書(紹介状)を作成してもらい、希望の整形外科を受診することができます。
大腿骨すべり症の診断は、問診・診察・画像検査で行います。画像検査にはレントゲン検査を利用して、骨がすれている程度や、関節の状態を調べます。基本的に整形外科のクリニックであれば、レントゲン検査が行えるところは多く、総合病院の整形外科受診が必要な病気ではありません。待ち時間や自宅からの通いやすさ、信頼できる先生がいるかなど、ご自身の基準で受診する医療機関を選んでいただいて問題ありません。場合によっては問題がある部位を詳細に調べるために、CT検査やMRI検査を行うことがありますが、必要があると主治医が判断すれば、適宜総合病院を紹介することも可能です。また、これらの検査では、太ももの付け根の痛みが、大腿骨頭すべり症以外の他の疾患ではないか、ということも含めて確認します。
大腿骨頭すべり症でお困りの方
大腿骨頭すべり症の治療には保存療法と手術療法がありますが、根本治療は手術になります。安静や痛み止めの使用による保存療法を行う場合もありますが、再発しやすいため、手術をすることが多い疾患です。手術が必要な状態であればかかりつけの医師が手術可能な病院を紹介してくれることでしょう。手術方法にもいくつか種類がありますが、大腿骨頭すべり症の進行具合、主治医の得意とする手術などを合わせて考え、手術を検討することになります。また、プレートなどの異物を入れる手術の場合は、骨が丈夫になった後にプレートを取り除く手術を再度行う必要もあるため、その時期やそれまでの過ごし方を主治医に確認することが大切です。また、手術後もある一定期間は通院が必要なため、自宅からの通いやすさも病院選びの際に参考にしましょう。
大腿骨頭すべり症のタグ
大腿骨頭すべり症に関わるからだの部位
