2016.03.21 | コラム

変形性股関節症の治療について

運動に重点を置いて
変形性股関節症の治療についての写真
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この記事のポイント

1.変形性股関節症とは
2.変形性股関節症の保存療法
3.変形性股関節症の手術とリハビリ

変形性股関節症は股関節の痛みなどの症状を現します。治療として運動療法などの保存療法や手術があります。手術後にはリハビリも大切です。変形性股関節症の治療方法について解説します。

◆変形性股関節症とは

変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形したりすることで、股関節に痛みなどの症状が出る状態です。

 

変形性股関節症は、ほかの原因があるかないかによって大きく2つにわけられます。原因がわからないものを一次性変形性股関節症、何らかの異常によって引き起こされたものを二次性変形性股関節症と呼びます。二次性変形性股関節症を引き起こすものの例として、臼蓋形成不全や発育性股関節形成不全などが挙げられます。

 

臼蓋形成不全は、股関節を構成する骨盤の形に生まれつき異常がある状態です。発育性股関節形成不全は、赤ちゃんの頃に足を伸ばした姿勢のままにさせることなどによって股関節に脱臼などの異常が現れている状態です。

股関節にこれらの原因があると、歳を取るとともに長年のうちに変形性股関節症が進み、症状を現すようになります。また肥満や重労働、スポーツと変形性股関節症の関連も報告されています。

 

変形性股関節症の症状が出始めたころは、動き始めに股関節が痛むことなどから気付かれます。しかし、徐々に痛みが強くなり、痛みで立ち止まってしまったり、安静にしているときや寝ているときにも痛むようになったり、股関節を動かせる範囲が狭くなったりする症状が現れます。痛い部分をかばう特徴的な歩き方になることもあります。

変形性股関節症は、徐々に変形が進み、症状が重くなる病気です。治療として手術や保存療法(手術をしない治療)があります。早く見つければ経過観察して治療のタイミングをはかれる場合もあります。

股関節の痛みが気になりだしたら、早めに受診して原因を見つけることが大切になります。

 

では、変形性股関節症の治療には、どのような方法があるのでしょうか。次に解説します。

 

◆変形性股関節症の保存療法

変形性股関節症の治療方法は主に保存療法と手術療法に分けられます。

保存療法では、痛みを和らげたり、足の筋力をつけたりして、日常生活が送れるようにします。痛みを和らげる方法は、痛み止めの薬のほか、運動療法を行うことが勧められています。筋力トレーニングや、ストレッチ、水中運動などを、一定期間続けると股関節の痛みや機能が改善したという報告もあります。

また、ステロイド薬などの関節注射も、一時的には効果があるとされています。

 

ただし、保存療法で関節の変形を止めたり元に戻したりすることはできません。症状が強くない場合や手術ができない理由がある場合などで保存療法が行われます。

 

◆変形性股関節症の手術とリハビリ

変形性股関節症の手術には多くの方法があります。手術方法は、変形性股関節症の原因(臼蓋形成不全など)、関節の変形の程度、年齢などから総合的に判断して選びます。

手術の例として、人工股関節全置換術と寛骨臼回転骨切り術について説明します。

 

人工股関節全置換術

股関節に人工物を入れる手術の例として、人工股関節全置換術という方法があります。

股関節は、骨盤にある臼蓋という受け皿と、大腿骨頭という太ももの骨の付け根からできています。人工股関節全置換術では、臼蓋と大腿骨頭の両方を人工物に入れ替えます。

手術後は、なるべく早期から立つ練習や歩く練習を開始します。変形性股関節症の患者さんは、手術をする前から、痛みにより関節の動きが制限されていたり、日中の活動量が低下していることで、足の筋力が落ちている場合が多いです。手術では一部の筋肉を切り開くため、手術後はさらに筋力が発揮しにくい場合もあります。手術後、長期間安静にしていると、さらに筋力が落ちていくため、術後数日程度のなるべく早い段階でリハビリを始めることが大切です。術後のリハビリによって歩行能力、筋力、関節を動かせる範囲などが向上する効果が確かめられています。

 

人工股関節全置換術を行った場合、注意しなければならないことがあります。それは、人工関節の脱臼です。人工関節は深く股関節を曲げたり内側にひねったりする姿勢で外れてしまうことがあります。日常生活で脱臼しやすい動作としては、しゃがみ込む、床へ座る、靴や靴下を履くなどがあります。床へ立ち座りを行わなければならない場合には、しゃがんだ状態から立つなどはせず、一度四つ這いになってから立つと、股関節を深く曲げたり、ひねったりせずに済みます。詳しくは、理学療法士や作業療法士などの専門家に聞き、動作を身につけましょう。

脱臼のほか、人工股関節全置換術後に起こる可能性のある合併症としては感染症深部静脈血栓症があり、病院ではそれぞれに対策がとられます。長期的には人工関節のゆるみなどが問題となって再度の手術が行われる場合もあります。

人工関節は、再置換が必要になる可能性から、「寿命がある」とも言えます。時代とともに人工関節も改良されていますが、数十年程度で再置換になることがあります。すると、若くて活動性の高い患者さんでは、繰り返し再手術になる可能性もあります。

ほかの手術方法としては、変形性股関節症の原因にもよりますが、寛骨臼回転骨切り術などにより根治を目指せる場合もあります。次に説明します。

 

寛骨臼回転骨切り術

変形性股関節症に対する「骨切り術」と呼ばれる手術は、骨盤の臼蓋や、大腿骨(太ももの骨)を切って、形を整え、股関節の変形を修正する方法です。

「骨切り術」の中にも多くの種類がありますが、寛骨臼回転骨切り術は、骨を切って動かし、形を変えることにより、臼蓋形成不全がある骨盤を正常に近い形にする手術です。臼蓋形成不全が原因で変形性股関節症が引き起こされる場合に対しては根治となることが見込め、比較的軽度の変形性股関節症などに対して使われる方法のひとつとなっています。

 

人工関節に比べて骨切り術のあとには、体重をかけられるまでに時間がかかります。人にもよりますが、杖を持って歩く練習をしたうえ、杖なしでしっかり歩けるようになるまで手術から数か月ほどかかります。この間に、足の筋力が落ちてしまいがちですので、制限範囲内でしっかりとトレーニングを行うことが大切です。医師や理学療法士、作業療法士と相談しながらリハビリを進めていきましょう。

 

このように、変形性股関節症の治療方法にはさまざまな種類があります。股関節の痛みが気になりだしたら、医師に相談してまず原因を調べ、変形性股関節症と診断されれば自分に合った治療法をよく話し合って選んでください。

注:この記事は2016年3月21日に公開しましたが、2018年2月21日に編集部(大脇)が更新しました。

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※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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