2017.05.20 | ニュース

痛い膝・股関節・手・足の画像は撮らなくてもいい?欧州学会が推奨

画像検査の使用についての7か条

from Annals of the rheumatic diseases

痛い膝・股関節・手・足の画像は撮らなくてもいい?欧州学会が推奨の写真

膝などが痛む変形性関節症はとても多くの人が経験します。レントゲンなどの画像検査はよく使われますが、症状だけでかなりはっきりと見分けられる場合があります。欧州リウマチ学会が画像検査の使いかたの推奨をまとめました。

変形性関節症は、加齢などによって関節の軟骨関節で骨同士が直接こすれないように、骨の表面についている組織。衝撃を吸収したり、関節が滑らかに動くのに必要がすり減って、関節の痛みや変形を起こしている状態です。非常に多くの人が経験します。症状は膝や股関節などに現れます。治療には運動などがあるほか、手術で関節を人工関節に置き換える方法もあります。

 

欧州リウマチ学会(EULAR)が、変形性関節症の診断・治療などのために画像検査を使うときの方針について、医師に勧める内容をまとめ、専門誌『Annals of the Rheumatic Diseases』に報告しました。

この推奨は、以前に報告されている研究結果に基づいています。推奨を編成するために作業部会が組まれ、作業部会は研究データベースを調査して、変形性関節症の診断のための画像検査についての研究報告を集めました。見つかった研究の内容を詳しく調べたうえ、採用に適した364件を選びました。報告されている結果から、7か条の推奨が作られました。膝関節、股関節、手の関節、足の関節変形性関節症が推奨の対象とされました。

 

この推奨の位置付けを示す「上位の声明」として次の4点が記載されています。

  • これらの推奨は症状のある変形性関節症にだけ関係する。
  • 変形性関節症による画像上の異常は、特に加齢とともに、よく見られるものである。
  • 関節症状もまた多くの人に現れるものであり、年齢とともに増加する。症状は画像上の異常と常に因果関係があるとは限らない。
  • 現代の画像撮影手法は、変形性関節症における軟部組織、骨、軟骨の病理所見検査や診察から分かる情報のことを幅広く検出することを可能にする。しかし、提供される情報が増加することにより、管理に関する臨床的意思決定に対して影響は現れていない。

要約すると、画像検査をすれば何らかの関節の変化が見つかる人は多く、特に高齢の人で多いが、必ずしも症状とは一致しないため、症状があるときの画像検査の使いかたについてのみ推奨を決めたということです。

7か条の推奨は以下のとおりです。

推奨1:変形性関節症が典型的に現れている患者を診断するために画像検査は必須でない。

症状などが典型的で変形性関節症の疑いが強ければ、画像検査なしで診断してもよいとしています。

推奨2:典型的でない現れかたにおいて、変形性関節症の診断を確認する助けのため、かつ/または鑑別診断似た別の病気と区別すること。また、その病気以外に可能性のある病気そのもののことまたは診断名を加えるために画像検査が推奨される。

変形性関節症だとすると典型的ではない場合に、次の目的で画像検査を勧めています。

  • 診断をより確かにするため
  • ほかの病気と区別するため
  • 変形性関節症以外の病気が同時にある疑いを確かめるため

推奨3:変形性関節症のフォローアップにおいてルーチンの画像検査は推奨されない。ただし、予期しない急速な症状の進行または臨床的特徴の変化がある場合は、それが変形性関節症の重症度と関係するのか、ほかの診断によるのかを決定するために画像検査が推奨される。

変形性関節症と診断が決まったあとは、急に悪化したなどの場合を除いて、定期的に画像検査を行わなくてもよいとしています。

推奨4:画像検査が必要な場合、従来の(単純)X線X線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査写真をほかの手法の前に使うべきである。ほかの診断を下すためには、軟部組織は超音波検査空気の細かな振動である超音波を使った画像検査。体の奥の血管や臓器を観察することができるまたはMRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査で、骨はCTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査またはMRIで最もよく撮影される。

画像検査としては最初にレントゲンX線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査単純X線X線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査写真)を使うべきとしています。

推奨5:X線写真の視野を考慮することは、変形性関節症の所見の検出を最適化するために重要である。特に膝については、耐荷重視野と膝蓋大腿視野が推奨される。

レントゲンを撮影するときの患者の姿勢や撮影の向きをよく選んでよく写るようにすることが重要としています。

推奨6:現在の証拠によれば、画像所見は非外科的治療の応答を予言せず、その目的の画像検査は推奨されない。

画像検査によって手術以外の治療の効果は予測できないとしています。

推奨7:関節内注射の正確さは関節によって、また実施者の技術によって変わり、画像検査は正確さを向上させるかもしれない。画像検査は特に、位置(股関節など)、変形の程度、肥満などの要素によって評価が難しい関節に対して勧められる。

関節内注射を正確に打つために画像を撮影してもよいとしています。

 

画像検査の使いかたについての推奨を紹介しました。EULARは多くの専門家に支持されている団体であり、推奨は実際に個々の医師が考えることを妥当な範囲で反映していると考えられます。

「リウマチだと思って病院に行ったのに、CTも撮らないで変形性関節症という知らない病名を言われた」と思うと不安になる場面はあるかもしれません。しかし「上位の声明」で言われているとおり、変形性関節症はとても多くの人に起こることです。また、症状があっても画像にはっきりと現れない場合、画像で一見異常があっても症状をあまり感じない場合もあります。

検査をする・しないの判断にも、過去の研究に基づいたこのような考察が働いています。診断や検査に疑問を感じることがもしあれば、担当医に理由を尋ねてみてください。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

EULAR recommendations for the use of imaging in the clinical management of peripheral joint osteoarthritis.

Ann Rheum Dis. 2017 Apr 7. [Epub ahead of print]

[PMID: 28389554]

*本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]