ようついねんざ(ぎっくりごし)

腰椎捻挫(ぎっくり腰)

急に重いものをもちあげたり、体を強くひねったりすることで、背骨のまわりの組織に障害が生じ、急激な痛みが出た状態

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12人の医師がチェック 120回の改訂 最終更新: 2017.06.15

腰椎捻挫(ぎっくり腰)の治療中の注意点と予防法:日常生活の工夫

ぎっくり腰急に重いものをもちあげたり、体を強くひねったりすることで、背骨のまわりの組織に障害が生じ、急激な痛みが出た状態になると痛みから身の回りのことすらできなくなることがあります。そんなぎっくり腰ですが1日も早く治してもう2度とならいようにしたいものです。日常生活での注意点について解説します。

 

 

1. ぎっくり腰かなと思ったらどうすればいい?

ぎっくり腰かなと思った場合にはどうすればいいのでしょうか。ぎっくり腰になった直後の状況を想定して考えてみたいと思います。

 

ぎっくり腰は病院に行くべきか?

ぎっくり腰が起きた直後は痛みのために動くことさえままならないこともあります。このため病院に行かずに様子をみることも頭に浮かぶと思います。

できれば医療機関を受診することをお勧めします。なぜなら腰痛の原因がぎっくり腰以外の可能性もあるからですその中には緊急で治療をしなければならない病気もあります。腰痛の原因を症状だけで判断するのは難しいケースがあります。専門的な診察や検査によって正確な診断が可能になります。

医療機関を受診することの他の利点は、適切な鎮痛剤を処方してもらえたり不安などが大きく軽減されたりすることなどもあります。

 

ぎっくり腰になってしまったときの対処は?

ぎっくり腰の痛みは激しいときが多いです。医療機関を受診するまでの間にはどのようなことができてどのようなことに気をつけるべきでしょうか。

以下の点に注意してください。

 

  • 無理に腰を伸ばす行為などはしない 
  • 周囲に協力を求める
  • 自分で全てのことをしようとしない
  • 市販薬で痛みを抑える

 

ぎっくり腰になった直後は無理に腰を伸ばすなどの行為はかえって症状を悪化させる危険性があるので行うべきではありません。

外出先などで発症症状や病気が発生する、または発生し始めることしてしまった場合は可能ならば家人や友人など協力が得られる人に連絡して移動などを手伝ってもらう方がよいでしょう。無理をして動くことも症状の悪化につながる危険性があります。

痛みは市販薬で抑えることが期待できます。NSAIDs炎症を抑える薬剤の総称(ただしステロイドを除く)で、鎮痛薬や解熱薬として頻用される。nonsteroidal anti-inflammatory drugsの略(エヌセイズ)という薬は痛み止めとして効果が期待できます。薬局が近くにあるならば薬剤師に相談して購入して使用することも検討してみてください。

 

ぎっくり腰は何科を受診したらよいか?

ぎっくり腰は整形外科で専門的な診察と治療を受けることができます。

ぎっくり腰は腰椎におきる捻挫関節が急激に捻られたり伸ばされたりすることで、関節のまわりの組織(靭帯や関節の膜など)がダメージを受けた状態が実態だと考えられています。捻挫は、関節などに異常な力が加わり関節をつくる組織が傷ついて炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るが起きることです。関節や靭帯骨と骨をつないでいる丈夫な組織。関節を作る役割を果たしているにおこる病気を担当する診療科は整形外科です。

ぎっくり腰はいつ起こるかわかりません。夜間や休日、近くに整形外科がない場合もありうると思います。そんな場合には救急外来や対応が可能な医療機関で応急的にみてもらうことができると思います。休日や夜間は受診する前に一度連絡を入れたりするなどして対応が可能かを確認した上で医療機関へ行ってみてください。動くのもつらい状況で受診をしたものの対応ができないと言われることもあります。専門外の医療機関を受診するときには特に事前の確認が大事です。

 

2. ぎっくり腰を悪化させないための注意点:活動範囲・入浴・冷やすか温めるか

ぎっくり腰になると痛みで動けないことも多くあります。1日でもこの痛みを良くするにはどうすればいいのでしょうか。適切な鎮痛剤や処置を利用して痛みをとることに加えて日常生活でも注意が必要です。よく質問を受ける3つのことについて説明します。

 

活動範囲

ぎっくり腰は安静にすることが何よりの治療だとかつて考えられていましたが、現在は痛みに応じてできる範囲で活動する方が回復には有利に働くと考えられています。

ぎっくり腰が起きた直後は痛みで動くことができないことも珍しくありません。ある程度痛みが引くまでは動けなくてもやむをえないでしょう。痛みが和らいで身体を動かせるようになったらできる範囲で身の回りのことなどを行っていけばいいと思います。

活動できるのに安静を続ける必要はありません。特にベッド上安静は回復を遅らせるという意見もあります。

ただし無理な運動をして強い負荷をかけると悪化のもとにもなりかねません。症状と相談しながら活動範囲を広げていくのが大事です。

 

参照:Ann Intern Med. 2017.;166:514-530.

 

入浴

ぎっくり腰になった直後は入浴は控えた方がよいでしょう。

入浴は気分転換になるのでリフレッシュ効果も狙えます。しかし短い時間であっても湯船につかると前傾姿勢になりがちになります。前傾姿勢の腰への負担を無視することはできません。腰への負担は症状の悪化につながることが懸念されます。

どうしても入浴したいという人は短時間のシャワー浴にしておいた方が無難だと思います。

 

腰を冷やすか温めるか

よく聞かれる質問の一つとして痛い場所を冷やすべきか温めるべきかというものがあります。患部を温めると筋肉の緊張をとる効果が期待できます。実際に痛みの改善などが少し早かったとする報告があります。

では冷やすことは悪いことかというとそうともいいきれません。冷やすことで回復が遅れるという強い証拠はありません。

患部を温めるべきか冷やすべきは個人の主観もあるので強くどちらかを勧めることはしませんが、どちらを選んだとしても強い期待はかけない方がよいですし、選択が間違っていたとも考えないほうがよいと思います。

 

参照:Cochrane Database Syst Rev. 2006;CD004750.

 

3. ぎっくり腰の予防法:運動・コルセット・腰痛に効くストレッチなど

ぎっくり腰の痛みは強烈で2度と経験をしたくはないものです。普段の生活に取り入れることができる予防法について考えてみたいと思います。

 

姿勢

ぎっくり腰にならないためには普段からできるだけ腰への負担は避けたいものです。姿勢は腰への負担を考える上で大事です。姿勢は直すのは難しいですが、工夫して変えられるポイントを見ていきます。

 

腰への負担が特にかかるのは立っているときより座っているとき(坐位)です。デスクワークに従事する人が増えているので、坐位での姿勢がより重要になります。坐位でよい姿勢をとるためにはどんなことを工夫すればいいのでしょうか。3つのポイントをあげてみます。

 

  • 椅子と机の高さは合っているかを確認
  • なるべく高めの椅子に座る
  • 低い椅子は浅く腰掛ける

 

椅子と机の高さが合っているかを確認してみてください。できれば肘を90°に曲げた状態で作業できるような姿勢が好ましいです。机と椅子の距離をできるだけ近くにするなどの調節が有効です。

好みの問題はありますがなるべく高めの椅子に座る方が姿勢は正しやすいと思います。職場などで低い椅子しか選べないときには浅めに腰かけると姿勢を正すのに有効な場合があります。

椅子と机のバランスに注意してクッションを用いたりしてよい姿勢を保てるような工夫をしてみてください。

さらに長時間同じ姿勢を続けるのではなくときおり立ったりしてストレッチを取り入れるなどもぎっくり腰の予防には効果があると思います。

 

運動不足の解消・筋力トレーニング

運動不足はぎっくり腰などの腰痛を引き起こす原因になることがあります。ぎっくり腰は腰の周りの筋肉が硬くなることも原因の一つと考えられています。筋肉が硬くなる原因に運動不足があります。定期的に適度な運動を行うことは筋肉を刺激したり血の流れを良くするので筋肉をほぐす働きがあり、ぎっくり腰の予防ににはよい効果が期待できます。

 

ぎっくり腰はいくつかの原因が重なって起こります。筋肉の緊張以外にも背骨背骨のこと。頚椎、胸椎、腰椎に分かれるを支える筋力が低下することもぎっくり腰の発症に関わっています。特に大事な筋肉は体幹と呼ばれる場所の筋肉です。体幹の筋肉には腹筋や背筋があります。体幹の筋肉を鍛えると背骨を支える力が上がるのでぎっくり腰の予防にはよい効果が期待できます。

 

ストレッチ

ストレッチは筋肉を伸ばして血流がよくなり筋肉の緊張がほぐれる効果が期待できます。ぎっくり腰は筋肉の緊張が原因の一つとして考えられています。普段からできるだけ筋肉の緊張を取るようにストレッチを生活の中に取り入れることも予防として有効だと考えられます。

 

コルセット

コルセットは背骨を固定するのを助ける働きがあります。急に腰を捻(ひね)ったりすることなどはぎっくり腰の原因になります。コルセットを使用するとある程度背骨の動きが制限されるのでぎっくり腰の予防に有効な可能性があります。

 

寒い時期の注意点

ぎっくり腰を起こす状況として「寒い日に身体を動かそうとしたら腰がグキッと」というのはよく聞く話です。気温が低い時期には筋肉が硬くなりやすくぎっくり腰がおこりやすい状況だと考えられます。

一度ぎっくり腰を経験した人は寒い時期には部屋を温めてからゆっくりと身体を動かすことを意識すると予防につながるかもしれません。

 

4. ぎっくり腰を再発させないための腰痛対策グッズや工夫:クッション・マットレス・椅子

ぎっくり腰は重いものをもったり急に無理な姿勢をとったりするなど腰への負担が発症のきっかけになります。ぎっくり腰の痛みは激しく二度と経験したくはないものです。日常生活で気をつけることは腰への負担をできるだけさけることです。ぎっくり腰の再発によいと思われる身の回りのグッズや工夫を紹介します。

 

椅子

悪い姿勢をとり続けると腰への負担が大きくなります。立ったままの状態より座ったときの方がより腰への姿勢の影響が強くなります。椅子に座ったときの姿勢はどうすればよくなるのでしょうか。まず腰に負担がかからない理想的な姿勢は背筋が立っているのと同じような形になる姿勢です。

 

自分の普段使っている椅子と机の高さが合っているかをまず確認してみてください。椅子と机の高さが合っていない場合にはそのアンバランスさを埋めるために姿勢が悪くなります。少し高めの机などを選ぶことも姿勢を保つのには有効なことがあります。

外出先など椅子の高さを自分で選べないときにはどうすればいいのでしょうか。低い椅子にはできるだけ浅く腰掛けると猫背にならず美しい姿勢を保つことができます。

 

デスクワークをしている人は特に着席時の姿勢に注意してください。そして長時間座りっぱなしにするのではなくときおり立ち上がり腰を伸ばしたりすることも腰の負担を軽くします。

 

クッション

椅子に座るとどうしても猫背になってしまう人は椅子にクッションなどをしいて高さを調整するのもよいかもしれません。職場の椅子などは自宅と違い自分にあった椅子で過ごせないこともあります。クッションを使うことで椅子と机の高さを調節したりして姿勢を保持することができるようになります。

 

マットレス

腰痛に関しては柔らかいマットレスがよい効果を生むという研究が報告されています。しかしぎっくり腰に関してはマットレスの硬さについて柔らかいものと硬いもののどちらがよいかの定まった意見はありません。

マットレスの機能から考えてみたいと思います。マットレスは睡眠中の姿勢を決め身体への負担の最も重要な要因になります。寝起きで腰が痛みなどを感じる場合は使用しているマットレスが身体に合っていない可能性があります。

起きた時にぎっくり腰まではいかないまでも腰痛がある場合は使用しているマットレスを見直してみることはぎっくり腰の予防につながるかもしれません。