ようついねんざ(ぎっくりごし)
腰椎捻挫(ぎっくり腰)
急に重いものをもちあげたり、体を強くひねったりすることで、背骨のまわりの組織に障害が生じ、急激な痛みが出た状態
12人の医師がチェック 129回の改訂 最終更新: 2023.08.28

腰椎捻挫(ぎっくり腰)の原因:姿勢・職業・肥満・運動不足など

ぎっくり腰は不意に腰に強い力が加わったときに起こります。起こりやすいタイミングがいくつか知られています。職業によってぎっくり腰になりやすい状況などもあります。

1. ぎっくり腰はどうして起こるのか?

ぎっくり腰で腰痛が起こる原因については完全に明らかにはなっていません。

痛みの原因は腰椎(ようつい)の捻挫(ねんざ)により強い炎症が起こることや、それにともなう筋肉の痙攣(けいれん)などが推測されています。ぎっくり腰は普段から腰に強い負担がかかっている人などに起こりやすい傾向にあります。

2. ぎっくり腰が起きやすいタイミング

ぎっくり腰は不意な動作で発症することがあります。それは特別な動作ではなくくしゃみや咳などというように日常生活にありふれたものでもきっかけになることがあります。ぎっくり腰が起こりやすいタイミングや予防法についても考えてみたいと思います。

くしゃみ・咳

くしゃみや咳がきっかけでぎっくり腰が現れることがあります。くしゃみや咳が出る時に不意に腰の筋肉に力が入りぎっくり腰がおこります。

くしゃみや咳を止めることは不可能です。くしゃみや咳に伴うぎっくり腰を完全に予防することは難しいですが、ぎっくり腰になりやすい前傾姿勢を回避しておくことは予防に有効かもしれません。

重いものを持ち上げる

重い物を持ち上げると腰に負担がかかります。自分の力を超えて重いものを持とうとすると腰に限界以上の力が加わりぎっくり腰を発症することがあります。

重いものを持ち上げるときには余裕をもった重さのものを持つようにします。無理をしないことが大事です。人の手を借りたり分割して運んだりすることで負担は軽くなります。

起床時

起床時はぎっくり腰になりやすいことが知られています。起床時には寝ぼけて不意に無理な姿勢をとってしまったりすることなどが原因だと考えられています。さらに人によっては睡眠中に腰に強い負担がかかっている可能性もありぎっくり腰の原因の一つとして考えられます。

3. ぎっくり腰になりやすい背景:姿勢・職業・運動不足・肥満など

ぎっくり腰を経験すると誰しもがもう2度とあんな痛いことは避けたいと思うでしょう。ぎっくり腰が起こる原因と考えられるものがあります。原因を改善することは予防につながります。

姿勢(猫背)

姿勢の良し悪しで腰への負担は大きく変わります。ぎっくり腰をおこなさいためにはできるだけ腰への負担を避ける方が望ましいです。

良い姿勢を保つにはどうすればいいでしょうか。姿勢は長年染み付いた習慣なので変えるのは簡単ではありません。

立った状態では背筋に力を入れるようにして胸をはるように意識するとよいでしょう。座っているときの姿勢を正すことは立った姿勢を正すこと以上に難しいです。以下の点に注意してください。

  • 椅子と机の高さは合っているかを確認
  • なるべく高めの椅子に座る
  • 低い椅子は浅く腰掛ける

椅子と机の高さが合っているかを確認してみてください。できれば肘を90°に曲げた状態で作業できるような姿勢が好ましいです。机と椅子の距離をできるだけ近くにするなどの調節が有効です。

好みの問題はありますがなるべく高めの椅子に座る方が姿勢は正しやすいと思います。職場などで低い椅子しか選べないときには浅めに腰かけると姿勢を正すのに有効な場合があります。

車の運転なども同じようにできるだけ深く沈み込むような座り方は避けて姿勢を正して座ることが腰痛の軽減につながるかもしれません。最初は少し違和感があるかもしれませんが慣れの側面もあるので工夫をしてみてください。

職業

職業上どうしても腰に負担がかかる仕事があります。慢性的な腰への負担はぎっくり腰の発生につながる可能性があります。どんな職業に従事している人が気をつけるべきでしょうか。

腰への負担が強い職業としては重いものを持ち上げたりする力仕事やデスクワーク、長距離の車の運転などが挙げられます。

重いものを持ち上げる際には何よりも無理はしないことが大事です。重いものを持ち上げた瞬間にぎっくり腰になるのはよくあることです。無理せず余裕のある量の荷物を運ぶことがぎっくり腰の予防には大事です。

デスクワークや車の運転をする場合は猫背にならないように正しい姿勢をキープすることが有効と考えられます。椅子の高さなどを工夫して正しい姿勢が保てるようにしてみてください。

そして仕事の合間に適度なストレッチなどを取り入れることもまたよい効果を生みます。筋肉が硬くなった状態では腰の骨に負担がかかりぎっくり腰を起こす危険性が上昇すると考えられます。

運動不足

運動不足もぎっくり腰の原因になりえます。

腰の筋肉が硬くなることはぎっくり腰の発症に影響していると考えられています。運動などで腰の筋肉をつかったり鍛えたりしておくことはぎっくり腰の予防によい影響を与えることができます。

ただし激しすぎる運動は腰への負担が強くなりすぎるので、無理のない程度に運動してください。

肥満

BMI(体重[kg]÷身長[m]÷身長[m])が25以上だと医学的には肥満とされます。

肥満になると増えすぎた体重を支えるために腰に負担がかかります。腰への負担が大きくなるとぎっくり腰が発生する危険性が高まると推測されます。特に前傾姿勢のときの腰にかかる負担は体重とともに増加します。

肥満は他の病気にかかる危険性を上昇させることでも知られています。肥満を解消することはぎっくり腰の予防以外にも健康面に多くの利益をもたらすことができます。肥満体型で体重を落としたいと考えている人はぜひ肥満解消に取り組んでみてください。