2017.09.29 | ニュース

免疫チェックポイント阻害薬2剤併用で448人中4人が死亡

3件の臨床試験から

免疫チェックポイント阻害薬2剤併用で448人中4人が死亡の写真

ニボルマブ(商品名オプジーボ®)とイピリムマブ(商品名ヤーボイ®)は、免疫を利用してがんを治療する薬です。2剤を併用する方法も研究されています。治療の安全性についてデータの検証が行われました。

ニボルマブ+イピリムマブ併用とは?

ニボルマブとイピリムマブは、いずれも免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患チェックポイント阻害薬に分類されます。作用のしくみはやや違います。どちらも皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)に対する効果が確認され、日本でも保険で承認されています。日本ではニボルマブは2014年、イピリムマブは2015年に販売開始されました。

最近の研究では、悪性黒色腫に対してニボルマブとイピリムマブを併用することにより効果が増すかを試したものがあります。

 

悪性黒色腫に対するニボルマブ+イピリムマブの安全性

欧米など多国籍の研究班が、ニボルマブとイピリムマブの併用を試した臨床試験のデータを解析し、専門誌『Journal of Clinical Oncology』に報告しました。

この研究は、臨床試験から報告されているデータを使って、併用の安全性を検討しています。治療の研究では、薬の副作用のほかにももとの病気の悪化などの原因で望ましくない症状や状態の変化が現れます。副作用によるものとそうでないものは区別できないことも多く、まとめて有害事象と呼ばれます。

調査対象として一連の3件の試験(第1相試験、第2相試験、第3相試験)のデータを集めました。

 

グレード3/4が55.5%、死亡4人

3件の研究から448人の患者のデータが得られました。治療開始からの期間は半数の人で13.2か月以上でした。

入院が必要な程度(グレード3)、または命を脅かす程度(グレード4)の有害事象は55.5%の人に起こっていました。発生数が多い有害事象には皮膚障害、胃腸障害、肝障害などがありました。研究期間に死亡した人のうち、治療による死亡と見られた人が4人いました

ほかの結果もふまえ、研究班は「ニボルマブとイピリムマブに対して、それぞれ単独での歴史的経験よりもグレード3/4の治療関連有害事象の頻度は高く、より早く出現したが、治癒病気が、それ以上の治療を必要としない状態になること。完治とほぼ同じ意味率は類似していた」と結論しています。

 

併用はよりよい治療になるか?

ニボルマブとイピリムマブの併用の安全性についての報告を紹介しました。

一般に、複数のがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある治療薬を同時に使うことで効果が増す場合もありますが、副作用の可能性も増えると考えられます。このため、単独で効果を確認された薬剤でも、組み合わせて使う場合についてはひとつひとつ臨床試験で検証がなされています。

悪性黒色腫に対するニボルマブとイピリムマブの併用については、治療によって死亡したと見られる人がいることは無視できません。割合にすれば1%未満であり、命に関わるがんを治療する目的があるとはいえ、利益と比べて許容範囲と言えるかどうかはさまざまな立場からの判断を待つ点でしょう。

本当に有益な治療を目指し、慎重を期して研究を進めるうえで、安全性のデータはきわめて重要です。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Pooled Analysis Safety Profile of Nivolumab and Ipilimumab Combination Therapy in PatientsWith Advanced Melanoma.

J Clin Oncol. 2017 Sep 15. [Epub ahead of print]

[PMID: 28915085]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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