2017.05.01 | ニュース

最新の薬はいつ使う?関節リウマチの治療法、4つの原則と12の判断

EULARガイドラインが更新

from Annals of the rheumatic diseases

最新の薬はいつ使う?関節リウマチの治療法、4つの原則と12の判断の写真

関節リウマチの治療薬は最近20年ほどで大きく様変わりしています。欧州リウマチ学会(EULAR)が、推奨する治療法を、最近の研究結果もふまえて更新しました。

ここではEULARによる更新された推奨を紹介します。推奨の中では以下の薬の名前が挙がっています。

  • グルココルチコイド(ステロイド薬)
  • DMARDs(疾患修飾性抗リウマチ薬)
    • csDMARDs(従来型合成DMARDs)
      • サラゾスルファピリジン(スルファサラジン、商品名アザルフィジンなど)
      • メトトレキサート(商品名リウマトレックスなど)
      • レフルノミド(商品名アラバ)
      • ヒドロキシクロロキン(※日本では関節リウマチに対して未承認)
    • bDMARDs(生物学的DMARDs)
      • TNFα阻害薬
        • インフリキシマブ(商品名レミケードなど)
        • アダリムマブ(商品名ヒュミラ)
        • エタネルセプト(商品名エンブレル)
        • ゴリムマブ(商品名シンポニー)
        • セルトリズマブぺゴル(商品名シムジア)
      • IL-6阻害薬
        • クラザキズマブ(※日本では未承認)
        • シルクマブ(※日本では未承認)
      • IL-6受容体阻害薬
        • トシリズマブ(商品名アクテムラ)
        • サリルマブ(※日本では未承認)
      • T細胞阻害薬
        • アバタセプト(商品名オレンシア)
      • 抗CD20抗体
        • リツキシマブ(※日本では関節リウマチに対して未承認)
    • bsDMARDs(バイオ後続品)
    • tsDMARDs(分子標的合成DMARDs)
      • JAK阻害薬
        • トファシチニブ(商品名ゼルヤンツ)
        • バリシチニブ(※日本では未承認)

関節リウマチはひとつの薬を使っても十分な効果を得られない場合があります。どの薬が効きやすいかを予測する方法は知られていません。そこでさまざまな薬を切り替えたり組み合わせたりして使うことを考える必要があります。

ステロイド薬は古くから知られています。効果もありますが副作用も多く、関節リウマチに対しては長期使用を避けるべきと考えられています。ステロイド薬をやめるときには漸減(ぜんげん)と言って少しずつ減らします。

csDMARDsも歴史の長い薬です。現在も多くの関節リウマチ患者がcsDMARDsを含む治療を受けています。

バイオシミラーとは、先行する生物学的医薬品と同等/同質の品質、安全性及び有効性を有する医薬品を指します。

より新しい薬として、bDMARDsやtsDMARDsが開発され、広く使われるようになってきました。

 

EULARから、関節リウマチの治療についての推奨の2016年版更新として公表された内容を紹介します。2017年3月6日に専門誌『Annals of the Rheumatic Diseases』オンライン版に掲載されたものです。

EULARの調査部会が、関節リウマチの治療について最新の研究報告を含む範囲から関係するものを集めて吟味し、これまでに得られている知見を総合して、今後の治療のため推奨する内容をまとめました。

この推奨は、「上位の原則」の4か条、「推奨」の12か条から成り立っています。それぞれ解説します。

 

以下の4か条が「上位の原則」とされています。

  1. 関節リウマチ患者の治療は最良のケアを目標とするべきであり、患者とリウマチ科医に共有された判断に基づかなければならない。
  2. 治療決定は疾患活動性およびその他の患者要因、たとえば構造的ダメージの進行、併存症、安全性の問題に基づく。
  3. リウマチ科医は関節リウマチ患者を第一にケアするべき専門家である。
  4. 関節リウマチは高度な個人的・医学的・社会的コストを発生させるため、治療に当たるリウマチ科医は疾患管理においてそのすべてを考慮するべきである。

大まかに言い換えると次のような内容です。

  1. 関節リウマチの治療では、医師と患者本人が意志を統一したうえ、できる限り最高の治療を目指さなければならない。
  2. 治療法を決めるには症状や検査でわかる病状、ほかの持病、薬の副作用などを考えに入れるべきである。
  3. リウマチ科医が専門家として関節リウマチの患者の日常生活に関わるところまで治療に責任を負うべきである。
  4. 関節リウマチは症状そのものだけでなく生活上の負担や治療にかかる費用も大きいため、主治医は治療に当たってすべての面を考えに入れるべきである。

 

以下の12か条が「推奨」とされています。

  1. DMARDsによる治療は関節リウマチの診断が下されればできる限り早く開始されるべきである。
  2. 治療はどの患者に対しても、寛解の維持または低い疾患活動性の目標に到達することを目指すべきである。
  3. モニタリングは活動性のある疾患においては頻繁に行うべきである(1-3か月ごと)。治療開始から最大3か月で改善がないか、6か月以内に治療目標が達成されない場合は、治療は調整されるべきである。
  4. メトトレキサートは最初の治療戦略に含まれるべきである。
  5. メトトレキサートに対して禁忌事項のある患者(または早期に不忍容だった患者)では、レフルノミドまたはスルファサラジンが(初期の)治療戦略の一部として考慮されるべきである。
  6. csDMARDsを開始するまたは変更する際に、短期間のグルココルチコイドが考慮されるべきであり、用量のレジメンおよび投与経路は場合によるが、臨床的に可能な限り迅速に漸減されるべきである。
  7. 最初のcsDMARD戦略によって治療目標が達成されなかった場合、予後不良因子がなければ、ほかのcsDMARDsが考慮されるべきである。
  8. 最初のcsDMARD戦略によって治療目標が達成されなかった場合、予後不良因子があれば、bDMARDまたはtsDMARDの追加が考慮されるべきである。現在はbDMARDが開始されているであろう。
  9. bDMARDsおよびtsDMARDsはcsDMARDと併用されるべきである。csDMARDsを併用薬として使用できない患者においては、IL-6経路の阻害薬およびtsDMARDsがその他のbDMARDsに比べていくらかの利点を持つかもしれない。
  10. bDMARDまたはtsDMARDが治療失敗した場合、別のbDMARDまたはtsDMARDによる治療が考慮されるべきである。一種類のTNF阻害薬治療が失敗した場合、患者は別のTNF阻害薬またはその他の作用機序を持つ薬剤を使用してもよい。
  11. グルココルチコイドの漸減後に寛解が維持されている患者では、bDMARDsの漸減を考慮することができる。特にcsDMARDとの併用治療がなされている場合には。
  12. 寛解が維持されている患者では、csDMARDの漸減を考慮する場合もありえる。

大まかに言い換えると次のような内容です。

  1. 関節リウマチと診断された患者にはすぐにDMARDsによる治療を始める。
  2. すべての患者が、症状がないか、あってもわずかな状態を維持することを治療目標とする。
  3. 明らかな症状が現れている間は病気の状態を1-3か月ごとに検査で評価する。3か月治療しても改善がないか、6か月治療しても目標に到達しない場合は、治療法を変える
  4. 治療を始めるときはまずメトトレキサートを使った治療を考える。
  5. メトトレキサートが使えない理由がある患者では、まずレフルノミドまたはスルファサラジンを使った治療を考える。
  6. csDMARDsを開始するか変更するときに短期的にステロイド薬を使うことを考える。
  7. 最初に使ったcsDMARDで目標を達成できなかったときは、見通しが悪くなければ、ほかのcsDMARDsを検討する。
  8. 最初に使ったcsDMARDで目標を達成できず、見通しも悪いときは、追加でbDMARDまたはtsDMARDを検討する
  9. bDMARDまたはtsDMARDを使うときは、一緒にcsDMARDも使う。csDMARDsを使えない患者にはトシリズマブ、トファシチニブなどを優先してもよい。
  10. bDMARDまたはtsDMARDが効果不十分ならば、別のbDMARDまたはtsDMARDを使う
  11. ステロイド薬とbDMARDsで症状がなくなり、ステロイド薬をやめても症状が現れない患者では、bDMARDsを減らすことを考えてよい。特にcsDMARDも同時に使っている人。
  12. csDMARDで症状がなくなっている患者ではcsDMARDを減らすことも考えてよい

 

関節リウマチの治療薬の発達を反映して、薬の選び方は変わってきています。新しい薬ほど、将来確かな効果が認められて優先的に使われるようになったり、逆に未知の副作用が発見されて優先度が下がったりする可能性が残っています。

欧州リウマチ学会は多くの専門家に支持されている団体であり、実際に個々の医師が考えることを妥当な範囲で反映していると考えられます。

「上位の原則」で謳われているとおり、治療を決めるには医師だけでなく患者も主体的に希望を出すことが望ましいあり方です。世の中の流れを知ることで、主治医と話し合って治療を選ぶための役に立ててください。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

EULAR recommendations for the management of rheumatoid arthritis with synthetic and biological disease-modifying antirheumatic drugs: 2016 update.

Ann Rheum Dis. 2017 Mar 6. [Epub ahead of print]

[PMID: 28264816] http://ard.bmj.com/content/early/2017/03/17/annrheumdis-2016-210715.long

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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