2017.06.07 | ニュース

関節リウマチの「生物学的製剤」はいきなり使っても大丈夫?

文献の調査から
from The Cochrane database of systematic reviews
関節リウマチの「生物学的製剤」はいきなり使っても大丈夫?の写真
(C) Jay_Zynism - iStock

関節リウマチの治療にはメトトレキサートという薬が重視されていますが、生物学的製剤と呼ばれる薬剤の役割も大きくなってきています。生物学的製剤を最初から使う効果について文献の調査が行われました。

アメリカ・カナダ・オーストラリアから集まった研究班が、生物学的製剤の効果について過去に報告されている文献の調査を行い、結果を『Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告しました。

この研究は、以前にメトトレキサートを使ったことがない患者についての研究に着目しています。

 

現代の関節リウマチの治療で中心的な役割があるのがメトトレキサートです。欧州リウマチ学会(EULAR)による推奨では、最初の治療にはメトトレキサートを含めるよう勧められています。同じ推奨では、生物学的製剤はメトトレキサートなどの薬を最初に使ったうえで効果が不十分だった場合に追加を検討することとされています。

関連記事:最新の薬はいつ使う?関節リウマチの治療法、4つの原則と12の判断

 

生物学的製剤とメトトレキサートの併用を、メトトレキサート単独と比べた研究が17件、メトトレキサートとプレドニゾロンの併用と比べた研究が2件見つかりました。

結果を合わせると、生物学的製剤とメトトレキサートの併用のほうが治療効果が高く、治療した人のうち16%多くの人で、痛みと腫れのある関節の数が50%以上減少するなどの基準(ACR50)を達成すると見積もられました。

治療による副作用の差については、関節変形の悪化や発がんについて、はっきりとした差を示す結果は見つかりませんでした。

メトトレキサートを使わずに生物学的製剤で治療する方法とメトトレキサートを比較した研究が3件見つかりました。3件とも生物学的製剤として抗TNF抗体を試していました。

効果についても副作用についても、はっきりと差を示す結果は出ていませんでした。

研究班は「メトトレキサート治療をまだ受けていない患者集団に対して、メトトレキサートと生物学的製剤の併用療法は有益であり、害の証拠は少ないまたは結論に至らないものであると結論する」と述べています。

 

メトトレキサートをまだ使っていない人でも最初からメトトレキサートとともに生物学的製剤を使うことで効果が得られるとする報告を紹介しました。

薬を増やせば効果が増すのは一見当たり前のように思えるかもしれませんが、たとえば薬が効くしくみが重複している場合など、単純な足し算にはならないことも考えられます。薬が目に見える効果を現すまでには体内で非常に複雑な生化学反応などが関わっているため、ひとつひとつの状況について検証しなければ、考えたとおりに効くかどうかはわかりません。

また、生物学的製剤はメトトレキサートなどに比べると高価な薬です。月間の自己負担額が数万円にのぼることは珍しくありません。メトトレキサートだけで十分な効果が出る可能性があるときにまで最初から生物学的製剤を使うかどうかは費用面も考える必要があります。

欧州リウマチ学会の推奨では最初から生物学的製剤を使うことは勧めていません。生物学的製剤はメトトレキサートなどの歴史が長い薬に比べると研究の蓄積が少なく、現時点ではまだ最優先の薬となるには至っていません。また生物学的製剤の中にも多くの種類があり、それぞれで効果が違う可能性も考えられます。

ここで紹介したような検証が積み上がることで、どのような状況なら生物学的製剤の効果を期待できるかがしだいにはっきりしてくると思われます。将来は生物学的製剤をもっと優先して使う意見が強くなってくるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Biologics or tofacitinib for people with rheumatoid arthritis naive to methotrexate: a systematic review and network meta-analysis.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 May 8. [Epub ahead of print]

[PMID: 28481462]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

MEDLEYニュース新着記事