2016.04.05 | コラム

いぼ痔の原因は?おしりの血行は関係するか?

痔核の病因、生活習慣の関与、予防について
いぼ痔の原因は?おしりの血行は関係するか?の写真
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この記事のポイント

1. いぼ痔になる原因とは?
2. いぼ痔の発症に関係する要因とは?
3. いぼ痔が見つかったら生活はどうすればいいか?

いぼ痔は聞き慣れた言葉だと思います。医学用語では痔核と言い、肛門にいぼができたように腫れる病気です。おしりの血行が悪くなると発症するとも言われますが、違う説もあります。いぼ痔の原因について解説します。

1. いぼ痔になる原因とは?

いぼ痔(正式には痔核と呼びます)は、いわゆる「痔」の一種で、肛門の内側または外側にできるもののことです。内側にできるものを内痔核、外側にできるものを外痔核と呼びます。

以下、『肛門疾患(痔核痔瘻裂肛診療ガイドライン2014年版』(日本大腸肛門病学会)を参考に説明します。

「痔」は、比較的よく耳にする言葉ですが、なぜ痔ができるのかは不明な点もあります。一説にはいぼ痔ができる原因は「おしりの血行が悪くなるからだ」とも言われ、その説を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。しかし、現在支持されている説はほかにもあります。以下に、いぼ痔の原因について言われていることを解説していきます。

いぼ痔の原因に関して、おしりの血行が悪くなることを挙げる説があります。血行に影響するものとして、立っている姿勢が肛門の静脈の圧に影響するという説や、肛門の周りにある筋肉や便が原因で血行を悪くするといった説もあります。しかし、違った観点の研究もあり、現在最も支持されている説は別にあります。

それではどのようなことがいぼ痔の原因となっているのでしょうか。

『肛門疾患(痔核痔瘻裂肛)診療ガイドライン2014年版』には次の記載があります。

痔核の病因としては、肛門クッションやその支持組織の減弱、肛門内圧の関与が示唆されている。

つまり、肛門の周辺を支持している組織が弱くなることで、いぼ痔発症するということです。現在のところ、いぼ痔の原因は「組織が弱くなるから」と考える説が有力です。

 

2. いぼ痔の発症に関係する要因とは?

次に、いぼ痔の発症しやすさに関係する要因について説明していきます。

いぼ痔と関係する要因として、排便習慣と生活習慣が挙げられます。

排便習慣について、過去の研究では、いぼ痔を持つ人で排便の回数が減少していたり排便時に力むなどの症状が多いとしたものがあります。その他に、トイレに座っている時間が長い人が痔核になりやすいとしたものもあります。

生活習慣に関しては、重いものを扱う職業、長時間座って作業をする職業の人に痔核が多いとした報告などがあります。また、喫煙、アルコール、コーヒーなどの嗜好品と痔核発症の関連を否定する報告があります。

痔核と遺伝との関係ははっきりしていません。いぼ痔がある人で、家族にもいぼ痔があるという人はいますが、家族は遺伝的要因だけでなく生活も似ていると考えられるため、何が原因かを見分けるのは簡単ではありません。

 

3. いぼ痔が見つかったら生活はどうすればいいか?

病院で痔核を診断されると、排便習慣や生活習慣の指導をされることがあります。生活指導は、上に紹介したような痔核と関係するとされる点に対するものなどがあります。

たとえば以下のような生活指導が考えられます。

  • 長時間座ったままでいないようにする
  • 寒い場所での作業をできるだけ避ける
  • 身体の疲れを避ける
  • 精神的ストレスを避ける
  • 体の冷えを避ける
  • 十分に水分をとる
  • 十分に食物繊維をとる
  • 飲酒に注意する
  • 排便時に力みすぎない
  • トイレであまり長く座っていないようにする
  • 便意を我慢しない

最後に、もし生活に気を付けていてもいぼ痔になってしまった場合、どのような治療法があるか簡単に列挙します。

  • 保存療法(手術をしない治療法)
    • 生活習慣の指導
    • 薬を使った治療(軟膏、座薬、内服薬
  • 手術療法
    • いぼ痔を切除する方法、ゴム輪でいぼ痔への血流を止め壊死させる方法などがあります。

注:このコラムは2016年4月5日に作成されたものですが、2018年2月6日に編集部が更新しました。

執筆者

Shuhei Fujimoto

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。