新たに認知症になる人は減り続けている?

高齢化により認知症がある人は増えていますが、原因になる脳卒中などの対策は進んでいます。アメリカで40年以上にわたって対象者を追跡したデータから、認知症が新たに発生する頻度が時代によってどう変わったかが検討されました。
◆認知症の発生は増えたか?
この研究では、アメリカで行われた長期追跡研究(フラミンガム研究)のデータを使い、1975年以降に参加者に発生した認知症の頻度を解析しました。
60歳以上の5,205人について、時代ごとに、年齢や性別に対して認知症が発生する頻度の変化があるかを調べました。
◆時代とともに新たに発生する認知症は減り続けている
次の結果が得られました。
年齢と性別で調整した認知症の5年間の累積ハザード率は、第1期(1970年代末から1980年代初)には100人あたり3.6人、第2期(1980年代末から1990年代初)には100人あたり2.8人、第3期(1990年代末から2000年代初)には100人あたり2.2人、第4期(2000年代末から2010年代初)には100人あたり2.0人だった。
ほとんどの血管
リスク因子 (肥満と糖尿病を除く)および、脳卒中または心房細動または心不全に関連する認知症のリスクは時期とともに減少したが、これらの傾向のいずれによっても、認知症の発症 率の減少を完全には説明できない。
時代を10年ごとに追うと、同じ年齢、性別の人で5年間に認知症が発生する頻度は減り続けていました。脳卒中が発生しやすくなる要因が減ったことなどを加味しても、計算上予想されるより強い傾向が見られました。
研究班は「この減少に寄与している要因は完全には特定できていない」と結論しています。
執筆者
Incidence of Dementia over Three Decades in the Framingham Heart Study.
N Engl J Med. 2016 Feb 11.
[PMID: 26863354]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。