2016.02.16 | ニュース

近視・乱視を起こす「円錐角膜」になりやすい人、なりにくい人

アメリカ3万2千人の調査から
from Ophthalmology
近視・乱視を起こす「円錐角膜」になりやすい人、なりにくい人の写真
(C) Kadmy - Fotolia.com

円錐角膜では目の角膜が徐々に変形していくことで近視や乱視が進行します。原因は不明ですが、しばしばダウン症候群など全身の病気にともなって起こります。ほかの病気とも関連があるかが検討されました。

◆円錐角膜がある人とない人の違いは?

円錐角膜は10代で発生することが多く、角膜の変化が進むと眼鏡やコンタクトレンズでも視力矯正が難しくなります。角膜移植以外の根本的な治療は知られていません。

研究班は、アメリカの円錐角膜の患者16,053人と、年齢・性別などが一致するように選んだ円錐角膜のない人の背景をさかのぼって調べることで、円錐角膜が発生した人に多い背景を探しました。

 

◆糖尿病で少なく喘息で多い

統計解析から次の結果が得られました。

糖尿病がない人に比べて、合併症のない糖尿病がある患者は円錐角膜のオッズが20%低く(調整オッズ比0.80、95%信頼区間0.71-0.90、P=0.002)、末梢臓器障害の合併症がある糖尿病患者では円錐角膜のオッズが52%低かった(調整オッズ比0.48、95%信頼区間0.40-0.58、P<0.001)。膠原血管病の患者では円錐角膜のオッズが35%低かった(調整オッズ比0.65、95%信頼区間0.47-0.91、P=0.01)。ほかに円錐角膜のオッズを増加させた要因に、睡眠時無呼吸(調整オッズ比1.13、95%信頼区間1.00-1.27、P=0.05)、喘息(調整オッズ比1.31、95%信頼区間1.17-1.47、P<0.001)、ダウン症候群(調整オッズ比6.22、95%信頼区間2.08-18.66、P<0.001)があたt。

円錐角膜の発生が多い人と少ない人の特徴が見つかりました。

 

これらの関連がなぜ現れるのか、円錐角膜の原因が不明のため説明は難しいですが、説明できる仮説を立てることで病態の解明に結び付くかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

The Association Between Sociodemographic Factors, Common Systemic Diseases, and Keratoconus: An Analysis of a Nationwide Heath Care Claims Database.

Ophthalmology. 2015 Dec 16. [Epub ahead of print]

[PMID: 26707415]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。