2016.02.10 | コラム

妊婦の人がインフルエンザにかかったら治療はどうすれば良いの?インフルエンザワクチンと治療薬の解説

妊娠とインフルエンザ

妊婦の人がインフルエンザにかかったら治療はどうすれば良いの?インフルエンザワクチンと治療薬の解説の写真
1. 妊婦がインフルエンザにかかるとどんな危険性があるの?
2. 妊婦がインフルエンザワクチンを予防接種するのは安全?
3. もし妊婦がインフルエンザにかかったら?薬は飲んでも良いの?

妊婦がインフルエンザウイルスに感染すると、水頭症や先天的な心臓の病気などいくつかの先天異常を発症する危険性が上がることが知られています。今回は、妊婦のインフルエンザワクチンの予防接種と治療薬について解説します。

◆妊婦がインフルエンザにかかるとどんな危険性があるの?

妊娠中にインフルエンザにかかった方のデータから、妊娠初期のインフルエンザの発症と先天異常の関係が報告されています。先天異常は、例えば、水頭症、先天性心疾患、二分脊椎などです。さらに、妊婦のインフルエンザ感染と、流産や早産、胎児の死亡が関係しているという研究もあります。

しかしながら、これらの危険性はインフルエンザにかかっていなくても見られる病気です。不必要に心配するよりも、しっかり治療を行い、重症化を防ぐことが大事です。

 

◆妊婦がインフルエンザワクチンを予防接種するのは安全?

一方で、もちろん予防するにこしたことはありません。しかし、妊婦がインフルエンザの予防接種を行うことで、子どもへの影響はないのでしょうか?

妊娠中であったとしても、インフルエンザの予防接種は安全性と効果が確認されています。アメリカでは、妊娠の時期にかかわらずインフルエンザワクチンを接種することが望ましいと発表しています。インフルエンザワクチンを妊娠中に接種しても、赤ちゃんや妊婦には影響がないと言われています。むしろ、妊娠中のインフルエンザ感染は、重症化しやすいことが知られているため、ワクチンの接種は重要と言えるでしょう。

他にも、妊婦がインフルエンザワクチンを接種すると、赤ちゃんが産まれたあと6ヶ月くらいまで、赤ちゃんのインフルエンザウイルスに対する抗体値が高くなるという研究もあります。赤ちゃんは生後6ヶ月までインフルエンザワクチンを打てませんので、お母さんが打つことが推奨されています。同様に、授乳中であってもインフルエンザワクチンを接種により赤ちゃんへの影響は少ないため、打つことが勧められています。

 

◆もし妊婦がインフルエンザにかかったら?薬は使っても良いの?

もし妊娠中にインフルエンザにかかった場合、薬は使っても大丈夫なのでしょうか?インフルエンザの診断を受けた場合や疑いがある場合、抗インフルエンザ薬を使うことが勧められています。抗インフルエンザ薬が、赤ちゃんに影響するということはほとんどないと言われています。もし多少の影響があったとしても、薬を使わずに症状が重症化して赤ちゃんに及ぶ影響の方がよほど大きいためです。

また、インフルエンザに感染している(または感染していると後々わかった)人と接した場合、妊婦は抗インフルエンザ薬を予防的に使うことが勧められます。ただし、基本的にはインフルエンザワクチンの予防接種を受けていない人で、他にインフルエンザを重症化させやすい病気(糖尿病や悪性腫瘍など)がある場合などいくつかの条件があるため、医師に相談する必要があります。

 

妊婦は、インフルエンザも含め妊娠中の体調不良に敏感になると思います。インフルエンザは特に赤ちゃんへの影響があるため、心配される方も多いでしょう。適切な知識のもと、インフルエンザの予防を徹底し、もしかかってしまったら落ち着いて医師に相談することが大事です。

執筆者

MEDLEY編集部

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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