統合失調症からの社会復帰を促せるか?認知リハビリテーションの効果

統合失調症では幻覚や行動の障害などにより、社会生活ができなくなることがよくあります。治療には薬のほか、心理社会的療法も使われます。認知リハビリテーションという訓練方法により、職業や学校に復帰することを目指す研究が行われました。
◆86人の治療後2年間の経過
認知リハビリテーションは、記憶力や言語能力などのトレーニングにより、脳の機能を改善させようとする治療法です。
この研究は、統合失調症の診断で入院した患者86人を対象に行われました。対象者は薬の治療に加えて認知リハビリテーションを受けるグループと、薬だけのグループにランダムに分けられ、治療後2年間までの経過を調べられました。
◆64%が社会復帰
次の結果が得られました。
試験群で再発率は18%、対照群では41%であり、無再発期間は試験群で22.22か月、対照群で18.55か月だった。雇用または通学ができた率は試験群で64%、対照群で43%[...]だった。
認知リハビリテーションを受けたグループのほうが、統合失調症の再発が少なく、また2年間のうちに雇用または通学に至った人が64%と、薬だけのグループよりも多くなりました。
統合失調症の原因はわかっておらず、薬の治療でも完全に回復しない場合があります。現在もさまざまな治療法が研究されている中で、認知リハビリテーションにも有望な面があるかもしれません。
執筆者
Effects of cognitive rehabilitation training on schizophrenia: 2 years of follow-up.
Int J Clin Exp Med. 2015 Sep 15
[PMID: 26629117]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。