2015.12.02 | ニュース

C型肝炎ウイルス1型から6型まで90%以上の効果を示す新薬

377人のデータを分析
from Annals of internal medicine
C型肝炎ウイルス1型から6型まで90%以上の効果を示す新薬の写真
(C) Male liver anatomy - Fotolia.com

肝細胞がんに進行しやすいC型肝炎の治療薬として、さまざまな薬が開発されていますが、原因となるウイルスの種類によっては、効き目が少ないものもいます。今回の研究では、C型肝炎に対する新薬を検証しました。

◆C型肝炎にソホスブビルとベルパタスビルを組み合わせて治療

C型肝炎を引き起こすC型肝炎ウイルスは、1型から6型など多くの種類に分類されています。治療法としてはかつてインターフェロンとリバビリンがよく使われてきました。しかしウイルスの種類によっては効きにくいものがあったり、発熱やうつ症状などの副作用が強いといった問題もありました。近年では日本人に多く見られる1型に対して、C型肝炎ウイルスの増殖を抑えるソホスブビルとレジパスビルの配合錠(商品名:ハーボニー)など様々な新薬が出ています。

今回の研究では、C型肝炎の患者377人を対象に、ソホスブビルとベルパタスビルを組み合わせた薬の量を変えて使ったときとの経過を検証しました。感染していたウイルスの種類は人によって違い、1、2、3、4、5、6型が見つかりました。

 

◆ソホスブビルとベルパタスビルの組み合わせでC型肝炎ウイルスの改善は90%以上

以下の結果が得られました。

[...]、12週間時点での著効率は、遺伝子1型ではベルパタスビル25mgで96%(26/27)、100mgで100%(28/28)、遺伝子3型ではどちらも93%(25/27)、遺伝子2、4、5、6型ではベルパタスビル25mgで96%(22/23)、100mgで95%(21/22)であった。

どの型に対しても、ソホスブビルとベルパタスビルを用いることで90%以上の人に、12週間の治療後にはウイルスがいることを示す物質が見つからなくなるという結果でした。副作用は、疲労感、頭痛、吐き気でした。また副作用とは断定できませんが、自殺に至った患者が1人報告されました。

 

新薬の登場で、さまざまな種類のウイルスを標的として、C型肝炎から肝硬変肝細胞がんに進行することを防げるようになるかもしれません。一方、今回の治療法の副作用とは断定できませんが、自殺した症例も見られました。インターフェロン治療では、うつ症状が現れる場合があることが知られていますが、今回の治療法でも副作用との関係性が検証され、実際の治療に使えるようになるかどうか、今後の情報が待たれます。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Sofosbuvir With Velpatasvir in Treatment-Naive Noncirrhotic Patients With Genotype 1 to 6 Hepatitis C Virus Infection: A Randomized Trial.

Ann Intern Med. 2015 Nov 10

[PMID: 26551051]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。