2015.11.29 | ニュース

薬が効かない遺伝子を持つ肺がんに、新薬は対抗できるのか?

肺がんの進行を抑える新薬オシメルチニブ
from The New England journal of medicine
薬が効かない遺伝子を持つ肺がんに、新薬は対抗できるのか?の写真
(C) Sergey Nivens- Fotolia.com

肺がんの治療には手術、抗がん剤による化学療法、放射線療法などがありますが、がん細胞の遺伝子のタイプによって、化学療法が効きにくくなる場合があります。特定の遺伝子変異に着目して、新薬オシメルチニブの研究が行われました。

◆薬が効かなかったら?

肺がんのうち、小細胞肺がんというタイプを除く非小細胞肺がんは、小細胞肺がんに比べて抗がん剤が効きにくいと言われています。しかし、がんが進行しているなどの理由で手術が難しい場合や、手術後の再発を防ぐ目的で、抗がん剤を使う治療が行われます。

非小細胞肺がんの治療薬に、EFGRチロシンキナーゼ阻害薬という種類のものがあります。ある程度の効果が知られていますが、人によって十分な効果が得られないこともあります。新薬のオシメルチニブ(AZD9291)は、がん細胞が特定の遺伝子変異(EGFR T790M)を持っていてEFGRチロシンキナーゼ阻害薬が効きにくいときに効果を現すことを期待されています。

今回の研究では、EFGRチロシンキナーゼ阻害薬の治療中に状態が悪化した非小細胞肺がんの患者253人を対象に、オシメルチニブががんに対して治療効果があるか検証しました。

 

◆オシメルチニブで腫瘍の大きさが小さくなった

以下の結果が得られました。

全体での客観的腫瘍応答率は51%(95%信頼区間45-58)であった。

評価が可能であったEGFR T790Mと確認された患者127人では、応答率は61%(95%信頼区間52-70)であった。

対照的に、評価が可能であったEGFR T790Mが検出されなかった患者61人では、応答率は21%(95%信頼区間12-34)であった。

オシメルチニブで治療を行うことで腫瘍の大きさが小さくなった人は全体の半分程度でした。そのうちで、がん細胞にEFGR T790Mがあった人の60%程度に効果が認められました。副作用としては、下痢、発疹、吐き気、食欲の低下が多いという結果でした。

 

オシメルチニブはアメリカでは2015年11月に承認されました。日本では未承認ですが(2015年11月時点)、今後その有効性と安全性が認められれば、治療薬のひとつとして使われる日も遠くないかもしれません。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

AZD9291 in EGFR inhibitor-resistant non-small-cell lung cancer.

N Engl J Med. 2015 Apr 30

[PMID: 25923549]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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