2015.09.08 | ニュース

血栓性外痔核に対する血栓除去術の効果、手術をしないときとの違いは?

アメリカの研究チームが230名を分析

from Diseases of the colon and rectum

血栓性外痔核に対する血栓除去術の効果、手術をしないときとの違いは? の写真

血栓性外痔核は、肛門疾患のひとつで、治療として手術が行われることがあります。『肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン』で引用された、血栓性外痔核に対する血栓除去術の有効性に関する2004年の論文を紹介します。

◆血栓除去術と保存的治療のどちらが血栓性外痔核に有効か検証

血栓性外痔核は、肛門の近くにある静脈の中で血の塊(血栓)ができることにより、硬く膨れて見える状態です。

今回の研究では、血栓性外痔核の患者231名の過去のデータから、血栓除去術を行った人と保存的治療(手術以外の治療)を行った人を分類し、どちらの治療が、痛みや出血の頻度、再発までの期間などに有効か検証しました。

 

◆血栓除去術は再発までの期間を長くする

以下の結果が得られました。

再発までの平均期間は、保存療法群で7.1ヶ月、手術群で25ヶ月であった(p<0.0001)。

血栓性外痔核の再発までの期間に対する生存分析の結果、再発までの期間は手術群で有意に長かった(p<0.0001)。

血栓除去術を行った方が、再発までの期間が長くなりました。一方、痛みや出血に関する頻度は手術群で多いという結果でした。

筆者らは、「保存的に治療を受けた多くの患者が症状の解決を経験するが、血栓性外痔核の切除の結果、より早く症状が解決し、再発の確率がより低くなり、改善のインターバルがより長くなる。」と述べています。

 

これらの結果も踏まえて、『肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン』では、「血栓性外痔核の治療の基本は保存的治療であるが、血栓が大きい場合、疼痛が強い場合、出血が続く場合には急性期の外科的切除を考慮する。」と記載されています。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Thrombosed external hemorrhoids: outcome after conservative or surgical management.

Dis Colon Rectum. 2004 Sep

[PMID: 15486746]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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