2016.02.22 | ニュース

ステントリトリーバーを使うと脳梗塞患者はどのくらい回復するのか?

文献調査で検証
from JAMA neurology
ステントリトリーバーを使うと脳梗塞患者はどのくらい回復するのか?の写真
(C) Andrey Popov - Fotolia.com

脳梗塞は、脳の血管が血栓(血のかたまり)で詰まる病気です。脳梗塞の有望な治療法として、脳の血管内から血栓を取り除くステントリトリーバーという器具による血管内治療が注目されています。今回、その効果とリスクが検証されました。

◆血流を再開させる2つの治療法

脳の血管が血栓で詰まると、脳の血流が途絶え、脳の組織が死ぬ脳梗塞の状態になり、寝たきりなど重い後遺症を残すことがあります。

治療は、血栓を取り除いて、再び血液が流れるようにすることです。血栓を溶かすt-PAの点滴や、血管にカテーテルという細い管を入れ器具で血栓を取り除く血管内治療が行われます。

【ステントリトリーバーによる血管内治療】

足の付け根の血管から脳の血管にカテーテルを送り込む

カテーテルの先に取り付けたステント(金属の網目状の筒)で絡め取るようにして血栓を取り除く

 

◆5件の試験のデータを解析

研究チームは、t-PA治療に加えてステントリトリーバーを使用した脳梗塞治療の効果とリスクを測るため、過去の文献の系統的検索を行い、最終的に5件の研究(患者合計1287人)のデータを解析しました。

 

◆症状なし~軽度障害のみまで回復した割合が1.72倍に

以下の結果が得られました。

t-PA+ステントリトリーバー群ではt-PA単独群に比べて、脳梗塞発症90日後の機能的自立(修正ランキンスケールのスコアが0-2点)の割合が有意に改善した(率比(RR)1.72、95%信頼区間1.48-1.99、率差(RD)0.19、0.13-0.25)。

t-PAにステントリトリーバーを追加した群はt-PA のみの群に比べて、発症から90日後に、症状なし、または軽度障害のみまで回復した割合が1.72倍になりました。

血管内治療は脳の血管を傷つけ、死亡や脳出血などにつながるリスクがあると想定できます。しかし、この研究では、90日後の死亡と脳内出血・脳実質内血腫の発生リスクは2群間に差はなく、ステントリトリーバーによってリスクが明らかに上昇したという証拠は見られていません。

 

脳梗塞に対するステントリトリーバーの有効性が示されました。近年、従来のt-PAを上回るステントリトリーバーの良好なデータが相次いで報告されています。日本では、ステントリトリーバーは2014年から使用され、脳梗塞の有望な治療法として期待されています。

執筆者

中岡ひさ子

参考文献

Stent Retrievers for the Treatment of Acute Ischemic Stroke: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Clinical Trials.

JAMA Neurol. 2016 Jan 25.

 

[PMID: 26810499]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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