ステントリトリーバーを使うと脳梗塞患者はどのくらい回復するのか?
脳梗塞は、脳の血管が血栓(血のかたまり)で詰まる病気です。脳梗塞の有望な治療法として、脳の血管内から血栓を取り除くステントリトリーバーという器具による血管内治療が注目されています。今回、その効果とリスクが検証されました。
◆血流を再開させる2つの治療法
脳の血管が
治療は、血栓を取り除いて、再び血液が流れるようにすることです。血栓を溶かすt-PAの点滴や、血管にカテーテルという細い管を入れ器具で血栓を取り除く
【ステントリトリーバーによる血管内治療】
足の付け根の血管から脳の血管にカテーテルを送り込む
↓
カテーテルの先に取り付けた
◆5件の試験のデータを解析
研究チームは、t-PA治療に加えてステントリトリーバーを使用した脳梗塞治療の効果とリスクを測るため、過去の文献の系統的検索を行い、最終的に5件の研究(患者合計1287人)のデータを解析しました。
◆症状なし~軽度障害のみまで回復した割合が1.72倍に
以下の結果が得られました。
t-PA+ステントリトリーバー群ではt-PA単独群に比べて、脳梗塞
発症 90日後の機能的自立(修正ランキンスケールのスコアが0-2点)の割合が有意 に改善した(率比(RR)1.72、95%信頼区間1.48-1.99、率差(RD)0.19、0.13-0.25)。
t-PAにステントリトリーバーを追加した群はt-PA のみの群に比べて、発症から90日後に、
血管内治療は脳の血管を傷つけ、死亡や脳出血などにつながるリスクがあると想定できます。しかし、この研究では、90日後の死亡と脳内出血・脳実質内
脳梗塞に対するステントリトリーバーの有効性が示されました。近年、従来のt-PAを上回るステントリトリーバーの良好なデータが相次いで報告されています。日本では、ステントリトリーバーは2014年から使用され、脳梗塞の有望な治療法として期待されています。
執筆者
Stent Retrievers for the Treatment of Acute Ischemic Stroke: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Clinical Trials.
JAMA Neurol. 2016 Jan 25.
[PMID: 26810499]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。