心筋梗塞のカテーテル治療で血栓除去に意味はあるか
心臓の血管が詰まってしまう心筋梗塞の治療には、血管の中にカテーテルという細い管を入れて血管を拡げる冠動脈形成術(PCI)に加えて、カテーテルの先から血栓を吸い取る「血栓除去術」を行うことがあります。アメリカの研究班が、PCIと血栓除去術の両方による治療と、PCIだけの治療の効果を比較したところ、血栓除去術による改善の効果はなく、むしろ合併症のリスクが増えたという結果を報告をしました。
◆治療方法をランダムに割り当て
PCIを行ったとき、治療した場所よりも先に
しかし、過去の研究の中には、血栓除去術を加えてもPCIの効果はよくならないのではないか、という意見もあります。この研究はその議論を解決するために、10,732人という多数の患者を対象に分析を行いました。
対象になったのはSTEMIというタイプの心筋梗塞の患者で、それぞれ血栓除去術とPCIで治療するか、PCIだけで治療するかをランダムに割り当てられました。
◆治療効果には差がなく、合併症が増えた
血栓除去術を行ったグループと行わなかったグループで、治療後180日以内に
分析の結果、この2つのグループで、心臓の問題が起こった割合は統計的に
大規模な研究で血栓除去術の効果が認められなかったというこの結果を、心臓の治療を専門にしている医師の方はどのように考えるのでしょうか?
執筆者
Randomized trial of primary PCI with or without routine manual thrombectomy.
N Engl J Med. 2015 Apr 9
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。