2016.01.29 | ニュース

頭の中に出血があるかどうか、診察で見分ける方法

文献の調査から

from JAMA

頭の中に出血があるかどうか、診察で見分ける方法の写真

頭にけがをしたとき、意識があり比較的軽傷に見えても、脳の周りの出血による症状があとで現れることがあります。診察で重症を見分けるには何が手掛かりになるのでしょうか。これまでに報告された内容がまとめられました。

◆診察と画像の対応は?

頭のけがの診察では、頭を見たり触れたりするほかに、影響されやすい目の動きや顔の感覚などの神経の働きを調べることで、CTなどの画像検査を使わなくても傷付いた場所をある程度見分けられます。

研究班は、関係する論文を検索し、主に成人を対象として、頭のけがで意識がある程度保たれているときに、症状などの特徴と脳の画像検査の結果を対応させたものを集めました。

意識の程度として、グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)という標準的な評価方法で15点満点中の13点以上の人についてのデータを集めました。GCS13点は、たとえば目を開けていて会話も成立するが、時間や場所を正しく言うことができず、手足を動かす指示に従うことができないといった状態が当てはまります。

 

◆2回の嘔吐などが関連

次の結果が得られました。

頭蓋骨骨折を示唆する身体診察所見があること(尤度比16、95%信頼区間3.1-59、特異度99%)、GCSのスコア13(尤度比4.9、95%信頼区間2.8-8.5、特異度97%)、2回以上の嘔吐(尤度比3.6、95%信頼区間3.1-4.1、特異度92%)、GCSスコアが少しでも悪化すること(尤度比の範囲3.4-16、特異度の範囲91%-99%)、自動車に衝突した歩行者(尤度比の範囲3.0-4.3、特異度の範囲96%-97%)は、CTで深刻な頭蓋内出血が見つかることと関連していた。

CTの画像で深刻な出血が見つかった場合に多い特徴として、以下のものが見つかりました。

  • 歩いているときに自動車に衝突した
  • 2回以上の嘔吐
  • 身体診察で頭の骨折があると疑われた
  • GCSが13点(対象とした中で最も重症)
  • GCSが経過中に悪化した

いずれも深刻な出血がない場合には数%にしか見られない特徴でした。

 

重症度を素早く判断して、危険な徴候を見逃さず画像などの検査に進むことが、救命のために重要です。こうしたデータが、隠れた危険にさらされた人を救うかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Will Neuroimaging Reveal a Severe Intracranial Injury in This Adult With Minor Head Trauma?: The Rational Clinical Examination Systematic Review.

JAMA. 2015 Dec 22-29.

[PMID: 26717031]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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