2015.07.02 | ニュース

骨盤底筋トレーニングで脳卒中後の尿失禁が改善した

31人の脳卒中患者のランダム化試験

from Clinical rehabilitation

骨盤底筋トレーニングで脳卒中後の尿失禁が改善したの写真

脳卒中のあとで、尿失禁を始めとした排尿障害が現れることがあります。尿失禁のうち、女性に多い腹圧性尿失禁というタイプの症状に対して、骨盤底筋トレーニングで尿を止める筋肉を鍛えることにより、改善が図られることがあります。韓国で脳卒中後に尿失禁症状のあった女性に対して骨盤底筋トレーニングの効果を試す研究が行われ、排尿に関わる症状の改善が見られたことが報告されました。

◆脳卒中後に尿失禁のあった女性31人をランダム化

研究班は、脳卒中後に尿失禁症状のあった女性31人を対象として、一般的なリハビリテーションだけを行うグループ(対照群)と、それに加えて骨盤底筋トレーニングを行うグループにランダムに振り分けました。

 

◆症状の改善あり

次の結果が得られました。

介入後、日常生活動作における不便のスコアの変化は骨盤底筋トレーニング群で-15.00(6.25)、対照群で-0.17(1.59)だった。加えて、骨盤底筋トレーニング群では下部尿路症状のスコアの変化が-4.17(4.00)と、対照群の-0.25(1.29)に比べて改善していた(P<0.05)。

骨盤底筋トレーニングを行ったグループのほうが、尿失禁を含む排尿に関わる症状がより良く改善していました

研究班は「これらの結果は骨盤底筋トレーニングが女性の脳卒中患者における尿失禁のマネージメントに有益であることを示唆している」と結論しています。

 

脳卒中による症状はさまざまで、運動能力の障害などにより骨盤底筋トレーニングが適切でない場合も考えられますが、ひとつの選択肢として参考になるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Pelvic floor muscle training for urinary incontinence in female stroke patients: A randomized, controlled and blinded trial.

Clin Rehabil. 2015 Apr 10 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 25862769]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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