2015.12.19 | コラム

こんな人は鍼灸治療を受けない方がいいかもしれない!?

安全確保の為に、鍼灸治療の可否を十分検討するべき病態の解説
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WHOが示す「鍼の基礎教育と安全性に関するガイドライン」では、鍼灸治療を避けるべき、もしくは十分注意して施術すべき病態を幾つか示しています。どのような病態について、どのような問題点や危険性が提示されているのか解説します。

◆鍼および灸治療で注意すべき病態

ガイドラインによると、以下の①~④は鍼治療で注意すべき病態、①~⑦は、灸治療で注意すべき病態として挙げられています。

① 救急の事態または手術を必要とする場合

例えば、骨が折れている、血がたくさん出ている、アナフィラキシーショックアレルギーが原因で起こる呼吸困難など)が起こった、倒れて意識がない、などの状況で、鍼や灸をしている場合ではありません。命に関わるので、一刻も早く病院で、医師による治療を受けるべきです。

② 出血性または血栓性の疾患、抗凝固療法中または抗凝固薬使用中

血が出やすかったり、逆に血が固まりやすい疾患を持っている人、または血がサラサラになるような薬を飲んだり治療を受けている人は、治療を避けるべきです。鍼を刺す事によって、出血しやすい可能性があったり、血液の凝固に何かしらの影響がある可能性があるためです。

③ 妊娠中

流産や陣痛の促進などの可能性があるため、原則として鍼灸治療は避けるべきです。しかし、つわりや腰痛、逆子などに治療効果があると言われているため、治療を希望する人も多くいます。この場合は、医師の診察を優先させ、説明をしっかり受けて納得し、同意した上で治療を受けましょう。

④ 悪性疾患

鍼灸による悪性疾患(がん)の改善が期待できないので、原則として鍼灸治療はさけます。ただし、疼痛(がんによる体の痛み)や薬物・放射線などの治療による副作用(吐き気など)の軽減など、QOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質の向上)を目的とした補完的な治療は臨床効果が知られています。医師の診察を優先させ、説明をしっかり受けて納得し、同意した上で治療を受けましょう。

⑤ 意識レベルが低い

意識がない状態であったり、意識がはっきりせずもうろうとしていて受け答えが十分にできない状態の人では、熱さの訴えができないなどの理由で、灸によるやけどなどのリスクが高くなるため、灸治療は避けるべきです。

⑥ 知覚障害

神経の病気などで、熱さの感覚が正常に感じられない状態の人では、熱さがわからず、やけどのリスクが高くなるため、灸治療は避けるべきです。

⑦ 精神障害

障害の程度や疾患の種類によると思いますが、意思疎通が困難であったり、理解力の低下があるなど場合には、不意な体動などによりやけどのリスクが高くなるため、灸治療は避けるべきです。

 

◆納得したうえで治療を受けましょう

上記の、十分注意して施術すべき病態に当てはまる人が鍼灸治療を希望する場合、まずはかかりつけの医師に相談してください。もし医師の許可を得られた場合、はり師きゆう師に相談して説明を受け、メリット・デメリットをよく理解し、納得したうえで治療を受けましょう。もちろん、上記の内容は、本来ならはり師きゆう師が事前に確認すべき項目ではありますが、適切な判断や治療をしてもらうためにも、時には自らアピールする事も必要ではないでしょうか。

執筆者

名原 史織

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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