2015.09.23 | コラム

『鍼灸師』という資格は存在しない

鍼とお灸に関する資格の解説
『鍼灸師』という資格は存在しないの写真
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鍼灸師という名称を聞いた事があると思いますが、実は『鍼灸師』という資格は存在しません。では、鍼灸師と呼ばれる人たちは一体何なのでしょうか?資格について解説します。

鍼(はり)やお灸(おきゅう)をすることができる資格を持つ人は、一般的に「鍼灸師」と呼ばれています。この名称は一般的に浸透しており、この名称に疑問を持つ人は少ないのではないでしょうか。しかし、実は「鍼灸師」という国家資格は存在しません。これはどういう事でしょう?

実は、正式には「はり師」「きゅう師」という別の国家資格なのです。

「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」に基づいて行われる国家試験に合格すると、はり師及びきゅう師の国家資格を得る事ができますが、あくまで別の資格なのです。一般的にどちらも取得する人の方が多い為、総称して鍼灸師と呼ばれています。はり師ときゅう師にどのような役割の違いがあるのか、それぞれの資格について解説します。

 

◆はり師とは?

鍼(はり)とは、金属(ステンレス、金、銀など)の細い針(鍼)を身体にある経穴(ツボ)に刺したり摩擦などで刺激を与え、様々な疾病に対して治療的なアプローチをしたり、健康増進を図る医療技術。はり師はこの技術の施術を許された国家資格者のことをいう。

 

◆きゅう師とは?

灸(きゅう)とは、艾(もぐさ)という、よもぎの葉の裏の繊維のみを精製した物を皮膚の上で燃やして熱刺激を与え、様々な疾病に対して治療的なアプローチをしたり、健康増進を図る医療技術。きゅう師は、この技術を他人に対して施術することを許された国家資格者のことをいう。お灸を自分自身に施術する場合には資格は必要ないが、他人に対して施術する場合には資格が必要となる。

 

◆はり師、きゅう師になる方法

はり師ときゅう師の資格を取得するためには、はり師きゅう師を養成する施設(大学や専門学校など)に3年以上通学して単位を取得し、前述した通り、法に基づいて行われる国家試験を受験する必要があります。(ちなみに、医師ははり師きゅう師の資格を取得する必要がなく、医師免許のみで鍼灸の施術が可能です。)

 養成施設では、入学当初からはり師ときゅう師両方の資格取得を目指し、鍼灸どちらの知識・技術も学びます。鍼灸の考え方の もととなる東洋医学や、治療上必要不可欠である解剖生理や疾病などの医学的な基礎知識の学習だけでなく、実技の授業も行われ、施術の技術も学びます。

国家試験は、同日にいっぺんに行われます。試験方法は、鍼灸の共通問題があり、それとは別に鍼の問題と灸の問題が分かれて出題されます。採点は、共通問題と鍼の問題を足した点数がはり師の点数として、共通問題と灸の問題を足した点数がきゅう師の点数として計算され、それぞれの合否が決まります。両方合格すればはり師ときゅう師、どちらかの合格であればはり師またはきゅう師の資格が取得できます。 付け加えると、両方受験するのであれば受験料はそれぞれの分必要です。合格したら登録料(資格者として国に名前を登録するのにお金がかかる)もそれぞれの分必要です。もちろん免許証もそれぞれ別で交付されます。それぞれ独立した異なる資格だからです。

ちなみに、「鍼灸師はマッサージの勉強もするんでしょ?」とよく聞かれますが、はり師きゅう師はマッサージの勉強はしません。マッサージを施術するには、前述した法律の名前の中にもある「あん摩マッサージ指圧師(あマ師と略される)」という別の国家資格が必要になります。あマ師の資格を取るためには、はり師きゅう師とは別の学習単位が必要で、国家試験日も別になります。

 

鍼灸師という資格はない!とアピールして説明してきましたが、実際には一般的に鍼灸師という呼び方が浸透しており、当の有資格者たちも「はり師きゅう師です。」というよりも「鍼灸師です。」と自己紹介する人の方が多いと思うので、鍼灸師と呼んで怒るはり師きゅう師はあまり居ないだろうことを付け加えておきます。

 

【訂正9/24】

「施術」を「施述」とした誤字があったので訂正しました。

執筆者

名原 史織

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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