2015.09.02 | ニュース

仙骨神経に磁気刺激を行うと女性の尿失禁が改善する?

ランダム化比較試験により検証

from Archives of physical medicine and rehabilitation

仙骨神経に磁気刺激を行うと女性の尿失禁が改善する? の写真

腹圧性尿失禁は、少し力んだりするだけで失禁してしまう症状で、女性に多いことが特徴です。今回の研究は、通常の治療で十分に改善しなかった女性患者に対し、腰の神経に磁気刺激を行うと尿失禁が改善したことを報告しました。

◆仙骨神経への磁気刺激を行う群と偽刺激群にランダムに振り分け

磁気刺激とは、機械を用いて磁場を発生させ、その直下の神経に刺激を与えることで神経から伝わる信号をコントロールする方法です。

腹圧性尿失禁の女性患者34人を、膀胱に信号を伝える仙骨神経への磁気刺激を行う群と偽刺激群にランダムに振り分け、12週間の治療を行うことで、磁気刺激の効果を検証しました。

 

◆磁気刺激を行うと、尿失禁の症状が改善

以下の結果が得られました。

実験群では、U-UDIとOAB-qスコアの両方について、偽刺激群と比較して、介入後(p=.011-.014)と追跡調査時(p<.001-.007)に有意な改善を示した。

多変量回帰分析により、より重症な症状を持つ患者が磁気刺激からより多くの利益を得ることが明らかとなった。

腹圧性尿失禁の女性の仙骨神経に磁気刺激を行うと、頻尿や急にもよおす頻度といった尿失禁の症状が改善するという結果でした。また、もとの症状がより重症であるほど大きい効果が見られました。

筆者らは、「軽度症状の患者よりも、より重症な腹圧性尿失禁のある患者が、仙骨神経に対する磁気刺激により大きく反応し、長期的な治療効果も同様であるという観察は、腹圧性尿失禁を治療するうえで仙骨神経への磁気刺激の効果を確かめている。」と結論付けています。

 

高齢化が進むにつれ、尿失禁の患者数は多くなっていくと考えられています。仙骨神経への磁気刺激が治療として信頼できるかどうかは、将来多くの場面に関わるかもしれません。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Long-term sacral magnetic stimulation for refractory stress urinary incontinence.

Arch Phys Med Rehabil. 2014 Dec

[PMID: 25073008]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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