2015.06.20 | ニュース

脳卒中からの回復が、電気刺激で促進された

クロスオーバーランダム化比較試験により検証
from Brain : a journal of neurology
脳卒中からの回復が、電気刺激で促進された の写真
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脳卒中により失われた機能や能力を取り戻すために、必要な運動の訓練をすることがあります。今回の研究は、脳卒中患者に必要な運動学習をより効果的にするための方法として、経頭蓋直流電気刺激という、頭に電気刺激を行う手法の効果を調査しました。その結果、電気刺激を行った人では運動学習がより効果的になりました。

◆経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を実施しながら運動学習課題を遂行

今回の研究では、19名の慢性期脳卒中患者に対して、以下の方法で調査しました。

19名の慢性期脳卒中片麻痺患者が、[...]二重盲検ランダム化クロスオーバー偽刺激対照比較試験に参加した。

[...]麻痺側上肢の運動学習を行っている間に経頭蓋直流電気刺激または偽刺激を行う治療セッションと、治療1週間後に学習した運動スキルを実行している間の脳活動を測定するセッションを実施した。

運動学習課題は、サーキットゲームという、[...]コンピューターのマウスでポインタ複雑なサーキットに沿ってできるだけ早く、正確に動かすこととした。

tDCSを行ったときと、偽刺激(tDCSと似せているが脳には電気刺激が届かない刺激)を与えたときとを比較して、サーキットゲームというコンピューターのゲームについて、学習が促進されるか検証しました。 また、刺激の前後で脳活動も測定しました。

 

◆tDCSを実施した方が学習は促進され、1週間後まで効果は持続

調査の結果、以下のことが報告されました。

麻痺側上肢の運動学習課題を実施している間に、両側1次運動野に対して経頭蓋直流電気刺激を適用することで、偽刺激と比較して、(i)オンラインでの運動学習を促進する、(ii)その効果は1週間持続する、(iii)訓練していない課題の改善にも転移する、という結果であった。

治療後1週間の持続効果は、偽刺激と比較して、運動学習課題中の脳活動パターンの正常化と関連している傾向があった。

単に運動学習課題を行うよりも、tDCSを実施しながら運動学習課題を行った方が、より運動学習の効果が上がり、tDCSの効果は1週間持続していました。また、その効果は脳活動の正常化と関連している可能性も示唆されました。

 

脳卒中は、脳のダメージにより、運動麻痺や感覚麻痺を引き起こすことが知られています。障害された能力を回復するには学習が必要ですが、今回の結果を受けて、tDCSがその学習を促進するツールとなるかどうか、今後の研究に期待がかかります。

執筆者

MT

参考文献

Neural substrates underlying stimulation-enhanced motor skill learning after stroke.

Brain. 2015 Jan

[PMID: 25488186]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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