2015.05.19 | ニュース

サウナに多く入るほど、心臓の突然死が減っている?

中年男性2300人を約20年間にわたって調査

from JAMA internal medicine

サウナに多く入るほど、心臓の突然死が減っている?の写真

サウナ浴は血行を良くするなど健康に好影響があると言われます。しかしながら、サウナ浴が心臓や血管の病気とどう関係しているかはわかっていませんでした。今回、フィンランドの研究チームがサウナ浴の頻度と入浴時間が、突然心臓死などの頻度、また全体としての死亡率とどう関係しているか調査し、サウナ浴の頻度が多いほど、また1回あたりの入浴時間が長いほど、死亡率が減少する傾向があると報告しました。

◆フィンランド人2,315人を対象に地域調査を行う

研究チームは中年の(42〜60歳)男性2,315人の地域住民を対象にした調査を行い、サウナ浴の頻度と入浴時間と、突然心臓死、冠動脈疾患による死亡、心血管疾患による死亡、全体としての死亡との関連を分析しました。

心血管疾患とは冠動脈疾患や心不全などを含む心疾患と脳卒中を含む総称です。

 

◆約20年間にわたる調査を行う

調査の結果は以下のとおりです。

およそ20年の調査期間中に死亡した人は929人、そのうち突然心臓死は190人、冠動脈疾患による死亡は281人、心血管疾患による死亡は407人でした。

サウナに入る頻度は、1週間に1回が601人、1週間に2回から3回が1,513人、1週間に4回から7回が201人でした。

入浴頻度と各死亡率との関係は以下のとおりになりました。

心血管疾患のリスク要因で調整した後、1週間に1回サウナ浴をする人と比べて、2回から3回サウナ浴する人の突然心臓死のハザード比は0.78(95%信頼区間(CI)、0.57から1.07)、4回から7回サウナ浴する人は0.37(95%CI、0.18から0.75)だった (トレンドに対してP=0.005)。

冠動脈疾患、心血管疾患、全死因死亡で同様の関係があった(トレンドに対してP≤.005)。

サウナに入る頻度が多いほど全体としての死亡率が減少する傾向にあり、死因ごとに見ても、サウナに入る頻度が多いほど突然心臓死、冠動脈疾患、心血管疾患が減少する傾向がありました。

 

サウナ入浴時間と死亡の関係は以下のとおりでした。

サウナの入浴時間が11分未満の人と比べて、11分から19分間入る人は突然心臓死の調整ハザード比は0.93(95%CI、0.67から1.28)、19分以上入る人は0.48(95%CI、0.31から0.75)だった(トレンドに対してP=0.002)。

有意な逆相関は致死性の冠動脈疾患と心血管疾患に見受けられたが(トレンドに対してP ≤.03)、全死因死亡イベントには見受けられなかった。

サウナの入浴時間が長いほど突然心臓死、冠動脈疾患による死亡、心血管疾患による死亡が減少する傾向がありました。

 

今回の研究では、サウナによく入る人がほかに健康的な生活習慣を持っていたなどの、計測されていない要因が死亡率と関係している可能性は否定できません。

サウナ浴に病気を防ぐ効果があるかどうかは、ランダム化研究を行えば検証できそうです。

サウナ浴が習慣であるフィンランド人のように、日本人が毎日サウナに入ることは難しいかもしれませんが、効果があるとすれば興味深い報告ですね。

執筆者

佐々木 康治

参考文献

Association between sauna bathing and fatal cardiovascular and all-cause mortality events.

JAMA Intern Med. 2015 Apr 1;

[PMID: 25705824]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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