2015.08.22 | ニュース

肩腱板損傷の治療、理学療法と自宅でのセルフエクササイズにあまり差はない

ランダム化比較試験により検証

from Clinical Rehabilitation

肩腱板損傷の治療、理学療法と自宅でのセルフエクササイズにあまり差はない の写真

肩関節の筋肉で構成される腱板がダメージを受けると、肩が上がらなくなったり、筋力が弱くなります。今回の研究では、肩腱板損傷に対して理学療法士が自主トレーニングを処方した場合と通常の理学療法を受けた場合の効果が比較されました。

◆理学療法士が指導した自主トレを行った場合と理学療法を受けた場合の効果を比較

肩腱板損傷の患者を、理学療法士によって自主トレーニングを処方され自宅で行う群と、通常の理学療法を受ける群の2群に分けました。その後の肩関節の痛みや機能障害に対する効果を比較しました。

 

◆理学療法を受けても、自主トレと変わりなし

調査の結果、以下のことを報告しました。

[...]3ヶ月時点でのSPADIスコアの平均は、自主トレーニング群で32.4(標準偏差20.2)、通常の理学療法治療を受ける群で30.7(標準偏差19.7)であり、ベースラインの値で調整した平均の差は3.2(95%信頼区間-6.0-12.4、p=0.49)であった。

6、12ヶ月では、群間に有意差は認められなかった。

理学療法を受けても、理学療法士が処方した自主トレーニングを行っても、肩関節の痛みや機能障害に対しては、同じくらいの効果でした。

 

理学療法士が実際に患者に触ることも重要かもしれませんが、患者自身が自主的に管理することでも理学療法を受けることと同じような効果が得られる可能性があるという論文でした。

ほかの場合にも当てはまるとは限らず、肩腱板損傷についてもこの研究だけで判断することはできませんが、患者自身の頑張りがやはり大事だったのかもしれません。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

A self-managed single exercise programme versus usual physiotherapy treatment for rotator cuff tendinopathy: A randomised controlled trial (the SELF study).

Clin Rehabil. 2015 Jul 9

[PMID: 26160149]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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